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ありがとうを循環する 地域通貨 22
ありがとうが何周も回るように・・・
仲間通貨・地域通貨「周(しゅう)」
(取材・文/坪井 映美)
 
 以前からふれあい切符(時間預託制度)による助け合いを行っていた静岡県袋井市のNPO法人たすけあい遠州で、「地域通貨の取り組みを始めた」という話を耳にした。「このような団体が、どんな目的で地域通貨を?」、そんな興味から代表の稲葉ゆり子さんに話を伺った。
自分たち流で始めたい!
 たすけあい遠州では、これまでも時間預託による家事援助や外出介助などの助け合い活動を行ってきた。その他にも、いつ来てもいい、いつ帰ってもいい「もうひとつの家」、夕ご飯の宅配を行う「ごっつぉうハウス」などの事業も行っている。
 「仲間通貨・地域通貨“周”」を導入するきっかけとなったのが、「何かのついでにちょっと薬を取ってきてほしい」といった、ちょっとしたサービスのときに、1点のふれあい切符をもらうのは少し気が引ける、ちょっとした無償サービスを記録できないか・・・そんな思いだったという。
 「地域通貨はいろいろあるけど、自分たち流で始めたい」との思いで、昨年9月から「仲間通貨・地域通貨“周”」としてスタートした。会員が主に使うということから、仲間通貨というタイトルも付けた。
 「周」という名前は、遠州→円周、円は有償をイメージし、「周」は無償をと、お金が介在せずに人の気持ちだけが回るように、ありがとうが何周も回るように、という願いを込めたものなのだとか。
 
事務所にも「周」の手帳が・・・
 
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この手帳を使ってお互いにやりとり
「周」は楽しい!
 「周」は、導入時に、たすけあい遠州の会員約270人に配られた。会員は年会費1000円(団体は5000円)を払っているため、手帳に10周(団体は50周)を最初に記入して配布した。会員でない近所の人も口コミで「周」に参加している。手帳は会員でもある印刷屋さんに、余り紙に格安で印刷してもらって作成したが、特に「周」のための会費は集めていない。
 「周」の単位は、1時間程度のサービスで1周という目安だが、1つのサービスにつき1周であったり、たくさんのことをしてもらったら5周にしたり、といったように、その時々の気分で決めることもあるという。「周」はマイナスになっても使えることになっており、「助けられ上手さん」の存在も重視している。ちなみに、たすけあい遠州は団体として「いろいろ助けられっぱなし」だとか。
 もともとの有償サービスでの信頼関係も会員間にできており、知っている人同士は個人でやり取りが行われている。「こんなことを頼んでいいの?」とか「誰に頼んだらいいかわからない」という時は、たすけあい遠州が間に入ることも。小さなコーディネーター役になることで、交流のなかった会員同士に新たな交流も生まれている。「周」でのやり取りは、個人間だけにとどまらず、たすけあい遠州の会員になっている施設などで会員がボランティアをするときは、その人が「周」の手帳を持っていき、施設の手帳から「周」を受け取っているそうだ。特別養護老人ホームや在宅介護支援センターなどでのボランティア活動にも活用されている。
 特にメニュー表などはつくってはいない。精米に行ってもらう、お祭りの買い物、包丁とぎ、たすけあい遠州のエプロンを縫ってもらうということもあるという。できることを生かして、さまざまなメニューが広がっていきそうである。
 また、毎月の会報にどんなやり取りがあったのかを載せることで、「こんなことも頼めるのか・・・」と知ってもらったり、逆にその記事を見た会員から「こんなことができるよ」という申し出もあるとか。こうした工夫が「周」の流通にも結び付いている。
 有償ではないので、やる側も気軽に「やろう」と言える、そんな気軽さが会員の「周は楽しい」という言葉に表れているようだ。
 
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今日は窓拭きを「周」でお願い・・・
たすけあいの原点へ
 「周」を始めて変わってきたことがあるという。
 ちょっとしたサービスが「周」を介することで「有償でなくてもいいよ」という機運が生まれてきている。中には、今まで貯めた時間預託をたすけあい遠州に寄付して、今後の活動は「周」だけでいい、という人も出てきている。「そういう雰囲気になってきていることがうれしい」と稲葉さん。
 昨年から始まった「もうひとつの家」のカレーの日。毎週土曜日の子ども支援の日をカレーの日と名づけているのだが、カレーの日が定着してきたら、高齢者も子どもも関係なく、「周」を使ってできることをできる人が、という感じになっていったら・・・、というのが今後の希望でもある。
 「周」を通して、地域や仲間同士の助け合いが広がりを見せていくことが楽しみである。「周」のつながりが大きな地域の輪になっていくことを期待したい。
 
運営に必要なものは何?
 地域通貨を運営するために、当面必要なものは何だろうか?次の4点があれば、だいたい運営には十分であるし、試行を重ねながら整えていくことも可能だ。
(1)会員申し込み用紙や登録カード
(2)サービスメニューリスト
(3)地域通貨をやりとりするための決まりごと(会員規則)
(4)仕組みをわかりやすくまとめたチラシ
 ここでは、特に会員規則やチラシなどについて、説明してみよう。
 
会員規則
 会員規則は、会員が地域通貨をやりとりするためのルール。地域通貨の目的や会員の定義づけ、事務局の役割、会費や会計などについて記載されているものが多い。
 たとえば、愛媛県関前村の「だんだん」の会則には、「地域の助け合いと交流を図りながら、関前村で安心して楽しく生活していくこと」を目的とし、世話役として会長、班長、副班長、事務局を置くこと、年会費が500円とすることなどが記載されている。
 メンバーで試行錯誤を重ねながら、みんなでつくり上げていくことが重要だ。
 すでに活動を始めている団体の会則などを参考にしてみるのも一つの方法だろう。
 
チラシ
 地域通貨を運営していくには、会員を集めるための普及活動も重要になる。
 地域通貨の特徴や会費、「こんな人を募っています」といった会員募集や会のニュースなどをわかりやすくまとめたチラシを作成してみるといいだろう。
 単に仕組みを説明するだけではなく、地域通貨を使ってのイベントのお知らせなどに活用するのも一つの方法だ。
 地域通貨は地域の人たちに理解してもらうことが何より重要。活動を進めていく中で、会報で活動を具体的に紹介したり、ホームページを作成してみる、FAX送信票の欄外を活用するなど、さまざまな方法で活動をPRしてはどうだろうか。
 
 堅苦しく考えずに、白分たちの思いや個性をうまく反映して、ユニークな発想で考えてみよう。






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