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 さわやか福祉財団が任意団体として活動を始めたのが1991年。さわやか福祉推進センターとしてわずか2名で事務所を開いたのが11月のことでした。それから早11年。昨年丸10周年を迎え、また新たな気持ちで船出した1年もあっという間に過ぎてしまいました。
 この間、ふれあい助け合いのボランティア活動への関心は予想を超えて高まっています。また新たな活動の歴史を刻む1年に向けて、スタッフ一同頑張ります・・・。
 
News Spot
活動報告 NEWS&にゅーす
学校から地域へ、生きる力を地域に学び、地域と学ぶ
第8回 東京都共同募金会助成事業
スクールボランティアサミット開催
社会参加システム推進グループ
 
 先月号誌上でもその一部をご紹介しましたが、去る8月22日、さわやか福祉財団では第8回スクールボランティアサミット「総合的な学習の時間」に社会貢献教育を始めよう!を開催しました。昨年は台風直撃という悪条件下での開催でしたが、今年は晴天にも恵まれ、延べ257人の参加者を迎えることができました。
 今年のスクールボランティアサミットの特徴は、事例を学校の先生だけでなく、連携して活躍された地域の方との共同で発表する形式を取り、また、ボランティア活動(ボランティア体験学習)をしている小学生・中学生・高校生の発表を設けた点です。当日の概要をご報告します。
 
午前 社会貢献教育の実践に向けて〜
小学校・中学校・高等学校の3分科会
 第1分科会は、山口県の小学校と特別養護老人ホームとの生け花交流をきっかけにした事例でした。交流を通して小学生が個別課題を設定し、共通する課題でグループをつくって活動を発展させた事例です。協議では、小学生の活動をどのように支援していくのかという話題になり、全教職員と地域で見守る雰囲気づくりの重要性と、ボランティアコーディネーターの必要性が提起されました。
 第2分科会は、大阪市の中学校で学校医がコーディネーターとなり、さまざまな職業を持つ地域の人たちが授業に参加した事例です。専門家ならではの話と実際的な体験を通して、中学生が自分の目標を育んできています。また、中学生の地域理解や地域への愛着を養い、地域も中学校を知るという効果もありました。協議では、事前の準備を早め早めに進めていくことの大切さが提起されました。
 第3分科会は、富山県の商店街を舞台に小学校・中学校・高等学校がそれぞれの課題に応じた活動を展開している事例が紹介されました。発表は商業高校から、商店の仕入れを行ったり、1日店長を体験したり、広告チラシやカードを作成したりして、高校生の学習と商店街の振興を両立させた内容です。協議では、高校生が社会人に成長していく上で、地域での実際的な活動の有効性が提起されました。
 各分科会とも事例発表の後、講師のボランティア活動(体験学習)の専門家からの講演がありました。3分科会とも共通していたのは、ボランティア活動を通して、子ども達が地域や社会で起きている問題を理解し、問題に対して自分はどう考えるのか、何ができるのかといった探求があり、さらに、新たな活動に結び付けていく可能性があるということでした。各講師から参加者に対し、このような可能性を意識した実践を行ってくださいというエールが送られました。
 
(拡大画面:58KB)
地域の方と学校の先生の信頼関係が伝わってきた分科会
 
午後 社会貢献教育から得たもの〜体験発表
全体会I 小学生・中学生・高校生の生の声を聞く
 全国で、ボランティア活動(体験学習)をしている小・中・高校生各2名、計6名が舞台に上がり、活動内容やその中から学んだことを発表しました。ボランティア活動の喜びについて、中学生が「自分が活動することで、相手が喜んでくれること」と言うと、高校生は、「その喜びを小学生・中学生に伝え、後輩達が活動しやすい環境づくりをしたい」と応えました。また、大人や先生に望むこととしては、「ああしろ、こうしろではなくて、ボランティア活動の種を播いて、困ったときに手助けしてほしい」ということと、「ボランティア活動をする姿を見れば、自然とボランティア活動を始めます」と、大人達へのボランティア活動の勧めもありました。中・高生の話を聞き、小学生も「身近なことから活動を続けていきたい」と発言していました。(関連「今、心の教育考える」)
 ボランティア体験学習は、その性格から学校の中だけで考えていても有効なものにはなりません。今回、地域の方と主体者である小・中・高校生の発表を聞き、その思いがより一層強くなりました。これからもさわやか福祉財団では、地域の方や児童・生徒の声を紹介していきたいと考えています。
(※全体会IIのてい談については、『さぁ、言おう』10月号に掲載)
(伏見 明)
 
小・中・高校生が熱く語ってくれた「体験発表」

家庭教育から社会が求める人材まで、話は豊かに展開した(全体会II・てい談)
 
市民との協働をどう根付かせるか
各地の自治体を回って
自治体プロジェクト
 
 1995年に、社会参加システム推進グループで各地の企業を訪問し、市民団体に学びに行った。当時は市民活動の力はまだまだ弱く、企業は営利中心。日本が変わらねばならい、そんな思いを持ちながら、自治体であれば、首長の考え次第で改革ができると各地でふれあい社会づくりを説き、介護保険導入前から、自治体に介護保険両輪論と庁内横断的プロジェクトチームの重要性を啓発してきた。今、改革のカギは首長との考えに、行政幹部はうなづく。
 中央官庁に比べ、知事が元気だ。地方から日本の改革を力強く進めている。市町村長も元気な人がいる。福祉分野で、介護保険のサービスを充実し、元気高齢者の介護予防・生活支援にそして子育てに、地域資源、即ち、人−住民、場−空いた民家、商店、を活用しやさしい福祉のまちづくりを進めている。先進事例を見ると、情報が公開され、公募の100人委員等、自らが地域の課題を考え、行政と解決に取り組んでいる。首長の考えを受け止めてくれるボランティア、NPO団体が存在する。そしてNPOが「住民たち」の意見もしっかり取り上げている。
 来年度から始まる地域福祉計画は住民参加が大前提だが、自治体に『住民代表とは何か?」と質問すると、残念ながら大半が自治会、民生委員等といった答えが出てくる。また、私の参加する地方の委員会等では、委員となっていても意見の見えない人がいる。
 一般に、行政は、ボランティア団体、NPO法人を言葉では知っていても、実態は知らないことが多い。しかし地域福祉計画では、JA、生協とともにNPO法人が構成員として明記されており、行政も順次認識が高まっていくことと期待している。
 あるところで、某県理事が「タテ割り組織も含め、行政の意思・言葉が県民に伝わらず、県民の意識を吸い上げる仕組みが課題」と言われた。また、県NPOセンター長は、「県民は地域のニーズを把握しているが、提案力が足りない」と語る。その一方で、行政職は地域の情報をほとんど持っていない。両者が連携すれば住民の立場に立った真の企画が立てられ、かつ、参加者が実践者の一人となる形で有効に推進できるのではないだろうか。
 厚生労働省老健局、堤修三前局長(現・社会保険庁長官)は、介護相談員のフォーラムで「地域福祉づくりは、介護保険50%、自治体の知恵と工夫25%、住民参加25%」と述べられた。NPO法人が新しい市民公益「公共」の担い手として、その活動が地城で評価された上で、行政の研修会やワークショップに参加し、相互にその理念、実績を認め合うことで、初めて、協働の入り口に到着するものだと思う。
(和久井 良一)







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