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情報誌「さぁ、言おう」 2002年11月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


ありがとうを循環する 地域通貨 20
ドブロクで「ゆい」づくりを
「ひょうたん村と通貨ドブロク」
(取材・文/飯村 薫)
 
 7月下旬「瓢鰻亭」で寄合が開かれていた。取り囲んだ机の上には、墨で描かれた瓢箪の絵が数枚広げられている。グループのホームページの表紙絵の検討であった。メンバーは「ひょうたん村と通貨ドブロク」というグループの面々。このひょうたん村が地域通貨に取り組もうとしている。
交換の基準はそれぞれの価値観で自由
 このグループは福岡県北東郡の豊津町の「瓢鰻亭」に事務所を置き、県北東部の京築地方を中心に活動している。ひょうたん村の母体は「瓢たん鰻の会」という勉強会で、『ドブロクをつくろう』の著者として知られる故前田俊彦氏の著作を学習する目的で1998年から月1回の会合を開いてきた。生活に身近な自然環境、教育や食などについて話し合う中から、前田氏の思想にも通じる地域通貨について継続的な話し合いを持ってきたのである。そして今年2月、『エンデの遺言』のビデオ上映会を実施し、4月には準備会が発足。以来毎月、会合を重ね、現在は通貨の本格運用準備の最終段階である。
 この村の楽しさはさまざまな名称に表現されている。村名の「ひょうたん」は前田氏が発行した個人誌『瓢鰻亭通信』の題名から、また事務所を「村役場」、毎月恒例の例会(寄合)は“ひょうたん村に集まる”という意味で「ひょうまる」、そして通貨の名称は「ドブロク」、通貨の流通を「酌み交わし」と表現している。ちょっと懐かしさを感じさせてくれるネーミングである。
 ドブロクの単位の基準については紆余曲折あった。当初は、ドブロクを飲み干す一人ひとりの心の中にあるぐい呑みの大きさはそれぞれ違うのだから、統一する必要はないだろうとのユニークな考えに立っていた。しかし、現実の展開を目指しての協議を重ねた結果、「1時間=10ドブロク」にしようとの結論に達したのである。このドブロク、利子は付かないのでどんどん使って村全体の活性化を、と呼びかけていく方針だ。
 
(拡大画面:41KB)
ひょうたんの絵がユニークな「どぶくろ」カード
 
 まず「村人」になるためには村人登録をする。その際、「ついじゃるもの」(提供できるもの・こと)と「よばれるもの」(受けたいもの・こと)の一覧を「村役場」である事務所に提出。すると役場より「どぶろく酌み交わし帖」と「ついじゃる・よばれる一覧」が渡される。その一覧を見て自分が欲しい「もの・こと」があれば相手に連絡し、ドブロク何杯に相当するかを交渉をする。取引が終わったら自分の酌み交わし帖に日付、ドブロク杯数を記入し、お互いに酌み交わし帖を交換、確認のサインをして返すという仕組みだ。
 酌み交わし帖が使用済みになったら、ひょうまる(寄合)で新しいものをもらう。酌み交わしの内容としては、(1)野菜・果物などの食品、(2)子供服・ベビーベッドなど子育て用品、(3)書籍・雑誌類、(4)農作業などの手伝い、(5)家事支援、(6)修理・製作、(7)話し相手・声かけ、(8)趣味・特技の伝授、(9)事務作業など、が想定されている。農家の方がいることを反映しての特色が出ている。このシステムの基本の考え方はレッツ方式によるもの。つまり、通帳方式で「ついじゃるもの」はプラスの欄、「よばれるもの」はマイナスの欄に記入し、スタート時はマイナス50から始まるというシステムである。
試行しながら柔軟に対応
 さて、冒頭に紹介した寄合風景だが、夜の7時半過ぎに始まりおよそ50分間、メンバーの1人が作成したホームページの原稿をみんなで確認、手直ししながらの賑やかな会合で、次から次へと話が進む。最年少の「村人」である小学生も含め、全員が思ったことを発言して、良い意見はすぐに採用。どんどん変更が加えられていった。当初考えられていなかった登録費もこの話し合いの中で決定した。また「酌み交わし帖は家族単位で使えないの?」という運用上のかなり重要な声も出てきたが、「それはやっていく中で考えていこう」と非常に柔軟な結論に。お互いの信頼関係の強さが随所に光る。
 話が一区切りつきかけたころ、「早くしないと・・・」との声。実はこの寄合、各自手作りの料理やお酒等を持参してきて、それをみんなでワイワイ食すのが目的なのでもある。
 現在の参加者は12人。職業も農業・公務員・会社員・小学生、年齢は10代から60歳までとバラエティーに富んでいる。「どんどん増えてほしいが、お互いの顔が見える範囲ということで80人くらいですね」とメンバーの1人は語る。ドブロクが酌み交わされることで、人と人とが自然と集まり結ばれていく。いくつもの人の輪がやがて大きな人の輪となっていく。子どもからお年寄りまで地域でつながっていく、かつての「ゆい」を創ろうと「村人」たちはその一歩を踏み出そうとしている。
 
 
地域通貨の表現の単位を決める
 地域通貨をやり取りするときには、交換の基準がないと機能しない。そこで交換の基準となる表現の単位を何にするのかを考えてみよう。
 大きく分けると、次の2つがポイントとなる。
1 誰でも平等に持っている「時間」を単位とするのか
2 「経済的な価値」(サービスやモノの交換の内容)を単位とするのか
 経済的な価値基準とは、たとえば1○○=100円程度というように、市場での価値を基準とすることである。
 なお、さわやか福祉財団では、誰もが平等に持っている「時間」を単位とした地域通貨を「時間通貨」と呼び、特に推進している。
 
なぜ「時間」を単位とするのか
 市場経済の論理や資本の論理からすればおかしなことであっても、誰もが平等に持っている時間を基準にすることで、これまで市場では生かされにくかった人々の能力、たとえば子どもや高齢者・障害者などの能力を生かし、生きがいをもたらすことができるからである。
 どんな人にも生かせる能力や才能があり、その力を引き出して生かし合うこと、そのことでお互いに助けられ、助けるという「地域での支え合い」が生まれてくる。そのきっかけをつくり出そうというわけだから、能力的な差があったとしても認め合っていけばよいとする考え方である。
 サービス内容や年齢差、素人とプロとの間で差を設けたりせず、簡単な基準としているところが時間を単位とする地域通貨の特徴である。
 あくまでも、地域通貨はコミュニケーションツールであり、やさしさやありがとうの心をカタチで表現し、仕組みをつくるツールである。
 自分たちのまちの生活や福祉のサポート、環境に良いライフスタイルの実現、ボランタリーな活動など目的はさまざまだが、自分たちの目的に合わせて、時間か経済的な価値を基準とするのかドブロクのように全く自由にするかなど、メンバーで話し合ってみてはいかがだろうか。







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