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情報誌「さぁ、言おう」 2002年11月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


今 心の教育を考える
(取材・文/川尻 富士枝)
 
“小さい頃から身近にボランティアがある環境をつくりたい”
愛知県東邦高等学校3年 久保田 健人さん
 
 さわやか福祉財団が呼びかけている学校協力勝手連。地域の我々から、学校にどんどん積極的に働きかけ参加していこうという趣旨なのだが、それを地域ですでに実践している高校生がいる。子どもたちにボランティアの楽しさや大切さを伝えようと、小学校に「押しかけ授業」をしている高校生、久保田健人さんだ。
 
 久保田さんは愛知県東邦高校の3年生。学校でJRC(青少年赤十字)部の部長を務める彼は、中学3年の時からスペシャル・オリンピクス(※)の愛知県最年少コーチとして知的発達障害者のプールサポートをしている。この活動が認められ、保険会社のボランティア賞を受賞し、2001年5月、親善大使として渡米。全米から集められたボランティア活動をしている同世代の若者100余名と交流した。そこでアメリカと日本のボランティアの意識の違いに驚き、なぜ同じ年頃なのにこんなことを考えられるのかと疑問を抱いた。聞けば、「小さい頃から親がやっていた」「地域で見てきたから」など、アメリカでは、小さい頃からいつも身近にボランティア活動があることを肌で実感したのである。
 
スペシャル・オリンピクス 知的な障害を持つ人々に、スポーツを楽しみ、そして成長してもらおうという全世界的な運動
 
 「ボランティアを広げるには、小さい子に教えることが大切。今すぐにでも伝えたい」という思いを熱くした久保田さんは、小学校で自分の体験を通じたボランティアの授業を開こうと考えた。帰国後、彼が選んだのは、小学校の時の恩師炭竈昭一先生が在職している名古屋市立味鋺小学校。2001年12月、ここで5年生のクラスを担当し、子どもたちにボランティア活動がとても身近であること、人や生き物に対する自然なやさしさに気づいてほしいことなど、ボランティア活動の意義や魅力を伝えた。
 授業を終えた子どもたちは、「ボランティアって何かいいんじゃない?」「自分でもできそう・・・」と目を輝かせていたという。
 「健人は君たちと何も変わらない、同じだったんだよ。それがこんなふうに成長し、こうして会いに来てくれて・・・」と子どもたちに語りかける炭竈先生。かつての教え子とともに授業を創り上げた喜びは教師冥利に尽きるというもの。
 
(授業風景)
「ボランティアをやって得た感動っていうのは人それぞれ違うんだよ」とやさしく子どもたちに語りかける久保田さん
 
 久保田さんはこの8月、さわやか福祉財団主催の第8回スクールボランティアサミットのシンポジウムで、200名近い教師の参加者を前に、「日本をボランティアが自然にできる国にしたい、そのために先生方はボランティアの種を播いてください」と力強く語り、感動を与えた。これまで活動を続けてきた中で、一部の学校や教師の中には彼の足を引っ張るような言動もあったからこその、強い思いでもあったろう。
 
一家でスペシャル・オリンピクスの活動をする久保田ファミリーは笑顔が一杯
 
 しかし、そんな彼もごくフツウの高校生だ。テレビや新聞に紹介されるごとに周囲の期待も高まり、それがプレッシャーにもなる。JRC部で一緒の親友吉田陵平さんによると「ボランティアのことになると熱いけど、いつも何か悩んでばかりいる」のだそうだ。「へこんでもうまくそれを取り込んで、アメーバみたいに変形しながら生きていくタイプ」という父裕重さんの言葉通り、授業の直後には、ボランティアを広めるボランティアグループ「NeverLand」(ホームページhttp://www.ne.jp/asahi/hyper/try/)を立ち上げた。今年の夏休み中の8月25日には、近くの公民館で「2002年コミュニティープロジェクト」と題した会を開催し、同じ地域の人たちにも広めようと頑張っている。
 彼にスペシャル・オリンピクスの活動を勧めた母さなみさんは、「私たち夫婦がこの活動に出会ったのは、健人がボランティアに出会うためだったんだなと思えるんです」と感慨深げに語る。未成年は会場を借りるにも大人のサポートが必要だ。若者の心意気に応じよう。助け合いが身近にある環境づくり、それはまず我々大人の役割であることは間違いないのだから。
 
コラム
がんばれ、JRC!
 ここ3年ほど、神奈川県横須賀で障害のある児童生徒の余暇支援活動が活発に展開されている。その中心となっているのは「サポートホリディネットワーク」というい平均年齢20歳というボランティアグループ。活動内容は年度によって異なっているが、毎月イベントを行っている。回を重ねるごとに好評となり、たくさんの参加者が集まるようになってきた。しかしその反面、グループのメンバーだけでは対応が難しくなってきている現実がある。
 そこで強力なサポーターとして参加しているのが地域(三浦半島地区)の高校生たちだ。毎回20名以上がワイワイと賑やかに集まってくる。活動の準備や片付けを手分けしてテキパキとこなしていく。活動の間は自分の役割にしっかりと取り組む。時には上手く障害児に対応できずに途方に暮れる場面も見られるが、仲間に励まされ頑張っている。笑顔で「またね!」と帰っていく姿はすがすがしい。周りで見ている保護者や教員は彼らの姿を見て胸を打たれることが多い。
 彼らの多くは高校のJRC(青少年赤十字)部に所属している。JRCは、ボランティアという言葉が社会にあまり浸透していないころから、全国の中学校や高校中で奉仕活動を実践してきた歴史がある団体。対外試合や発表会などで成績を残すことがないため地味な印象を与えているが、学校にボランティアの依頼をする際の窓口としての役割も果たす、実に頼もしいメンバーの集団である。
 部員が集まらず休部や廃部になったり、男子の数が少ないなど、運営には難しい問題があるようだが、彼らの活動が周囲の生徒や大人たちに与える影響は小さくない。より一層の活動の活発化と周囲の支援拡大を願うものである。
(飯村 薫)







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