日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 社会 > 成果物情報

情報誌「さぁ、言おう」 2002年8月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


ありがとうを循環する 地域通貨 17
中学校の教室が事務局
地域通貨「にこ」
(取材・文/北村 哲也)
 
 今回の取材は東京都板橋区立高島平第二中学校(略称「高島二中」)の地域開放教室での待ち合わせから始まった。取材先「高島平地区小地域ネットワーク」の事務局は高島二中の中にある。学校が事務局の地域通貨って? そんな期待と疑問を持ちながら訪問した。
 
 「にこ」は2001年10月から検討を始め、試行を2回繰り返した。そして今年4月から本格的な流通が始まった。現在、「にこ」の流通に必要な「にこにこカード」を持っているのは小地域ネットワークの会員140名のうち80名と、高島二中の全校生徒約380名のうち80名。
 カードの流通はすべて、団地内の口コミで広がっている。費用と手間はかけない。「にこ」は思いやりと感謝の気持ちをポイントでやりとりするシステム。これを活用することでサービスを提供した人に対して受けた人がすっきり感謝の気持ちを表すことができ、提供した人も、その際に得たポイントを自分がサービス提供を受ける時に使う。
 「にこ」は、物との交換は認めていない。心と心のふれあいで使い回すことで「やさしさ」「思いやり」のやりとりを活発にさせることが目標だ。「にこ」はいろいろな人と助け合ってその輪が広がっていくためのもの。家族で使うのも大いに勧めている。誰のサービスも全く同じ。身近に助け合える機会を増やし、遊び心も加えて、町そして活動がより活発になってほしいという願いが伝わってくる。「にこ」のやりとりは町での花づくり、高齢者の世話、陶芸、そば打ちなど。「にこ」はカードの欄がいっぱいになるのがよい。そのためには手伝うこと、手伝ってもらうことの両方が必要になる。
大規模団地にもふれあいを
 各地の団地で近隣の人間関係が希薄になっている中、高島平のような大規模団地で地域通貨の流通が始まったのはどうしてなのだろう。
 高島平団地は、他県から団地への高齢者の流入が多く、その結果、一人暮らしの高齢者が増えてきた。「高齢者たちの日々の見守りを、自分たちの学区でやりたい」。そんな思いを持った堀口吉四孝さんを中心としたメンバーが、板橋区社会福祉協議会や高島二中の逢見百樹校長と相談しつつ組織された。しかし、実際に見守り活動をしてみると、地域とつながりのない高齢者は扉を開けてくれない。そこで、地域で高齢者が参加できるイベントを企画した。まず、地域との結び付きを持ってもらおうというのである。
 その後、徐々に地域での理解者も増え、高齢者や子どもが安心して暮らせるように、そして、家庭も地域も学校も生き生きとしてほしいから「ささやかでもいい、自分でできることをやろう」という高島平地区小地域ネットワークが99年11月に誕生した。1年ほど経過した頃、グループ内で地域通貨を導入しないかという話になった。そのメンバーの一人、高島二中の逢見百樹校長が自分の中学校でも取り入れたいという話になり、中学生たちも含めてやってみようというところから始まった。
 
植栽ボランティアの中心「しゃべる倶楽部」
 
「にこにこさんロード」の植栽をする高島二中生
校長も積極的に地域参加
 「にこ」の大きな特徴は学校内で流通しているところにある。この活動の中心となっている地域開放教室は、地域住民の学校に対する敷居を低くした。その結果、地域の学校を中心に子どもたち、高齢者を地域で守っていくという考えが広まっている。
 なぜ地域通貨が中学校を巻き込んで広まったのだろうか。それはPTAのOB組織がしっかりしていて、各年代の地域住民を結び付けたことだ。そして逢見校長の存在が大きい。
 中学生の登録カードのしてほしいことの欄に一番多かった内容は、「地域の人に挨拶をしてほしい」というものだった。サッカーを教えてほしいといったニーズが中心と思っていた私はびっくりした。
 中学生が多く参加しているのは、にこにこさんロードという花の植栽だ。この植栽には多くの高齢者も参加している。高齢者は中学生と作業をしている間、会話をすることで元気をもらい、中学生も高齢者との会話を楽しむ。そんな光景が広がる。また、日々の水やりも高齢者のボランティアの場となる。
 高齢者が得意分野で活躍すること、また、町に高齢者が出てくることによって当初のネットワークの理念である見守りは必要がなくなった。
 「中学生が地域の高齢者との交流を通して、地域で共に生きる人間としてのかかわりを深め、生き方などを学ぶことは地域の教育力の再生につながる」という逢見校長の考えが垣間見えた。
 今後は中学生同士、中学生の保護者、先生も巻き込んだ利用など、小地域ネットワークという会の名前のように、地域からネットワークが広がることを期待したい。そして堀口さんの夢である地域通貨がなくても助け合いが団地内に広がることを期待したい。
 
ボランティアの力で創り上げた「にこにこさんロード」
 
活動は世代を超えた交流の場でもある
 
コーディネーターの役割
コーディネーターとは何か
 コーディネーターは日本語にすれば調整する人という意昧。つまり世話焼きさんである。地域通貨を使ってサービスを求める人と提供する人を結び付ける役割を持っている。そのような結び付けをマッチングといっている。
 マッチングはコンピュータでもできるが、当然ながら人間はコードでは表せない多様性があり、柔軟で親切な対応という事になると、地域通貨の理念を知り、団体活動の中軸的な立場の人が必要となる。
 
コーディネーターは団体の顔
 一般的にコーディネーターは事務局的な機能を持っている。サービスのマッチングを行う以外に、地域通貨を広める日常活動を担うことが多い。つまり地域通貨に慣れていない外部の人に対する顔ということになる。
 
コーディネーターの仕事
 コーディネーターは、サービスを必要とする人と提供する人との仲立ちをし、初めて参加する人には仕組みの説明をする。地域通貨を流通させるやり方としては、サービスリストを参加者全員に配り、提供者と利用者が直接やりとりをするコーディネーターを置かない運営方式がある。またサービスの利用者と、提供者が月に何回か集まって、予約会などの名前の情報交換会をする運営方法もある。しかし仲間が顔見知りの範囲を超えると、やはりコーディネーターを置くことが必要となる。コーディネーターを置くためには事務所などの費用も必要になるし、人件費等の配慮も必要だ。
 
コーディネーターに向いている人
 コーディネーターに求められる基本的な性質は次の5つといわれている。
(1)何よりバランスのとれた社会常識を身に付けていること。
(2)利用者のニーズをそのまま受け止め、批判しないで聞く能力を持つこと。
(3)会員の隠された能力や才能を引き出すことができること。
(4)プライバシーを守れること。
(5)柔軟性があって、人扱いが上手なこと。
 我こそはと思う人、ぜひ始めてみませんか?







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
3,297位
(33,821成果物中)

成果物アクセス数
2,104

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2021年11月27日

関連する他の成果物

1.情報誌「さぁ、言おう」 2002年9月号
2.情報誌「さぁ、言おう」 2002年10月号
3.情報誌「さぁ、言おう」 2002年11月号
4.情報誌「さぁ、言おう」 2002年12月号
5.情報誌「さぁ、言おう」 2003年1月号
6.情報誌「さぁ、言おう」 2003年2月号
7.情報誌「さぁ、言おう」 2003年3月号
8.情報誌「さぁ、言おう」 2002年4月号
9.情報誌「さぁ、言おう」 2002年5月号
10.情報誌「さぁ、言おう」 2002年7月号
11.情報誌「さぁ、言おう」 2002年6月号
12.「ワールド シー ワールド 春」写真
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から