われら地域市民
企業と社会を結ぶ“童話の花束”
株式会社ジャパンエナジー
JOMOのガソリンスタンドでおなじみのジャパンエナジーを訪ねた。同社は1997年、基本理念「エナジーの創造」を制定、“あたたかく、活力ある人間社会の実現をめざして”新たなスタートを切った。基本理念推進本部の近藤奈美さんに同社の社会貢献活動について話を聞いた。
基本理念と社会貢献活動について。
基本理念は、“社会との関わりは企業にとって欠かせない部分である”という認識を新たにし、社会貢献活動を推進していく姿勢をはっきり示しました。会社としては、経団連(現日本経団連)の1%クラブへの加入や財団法人オイスカが主催する「30日間緑のボランティア」への協賛などを行ってきましたが、さらに社員のボランティア活動も積極的に支援していくことを明言しました。
基本理念推進本部の社会貢献活動推進への役割は?
社会貢献活動のうち、後でお話する「童話の花束」や「バスケットボールクリニック」のような会社の自主プログラムは、広報が主体で行っています。基本理念推進本部は基本理念に謳う社員に対するボランティア意識の高揚という立場から、社員のボランティア活動の支援、情報発信等を中心に担当しています。とはいえ、まだ緒についたばかりで、使用済み切手・テレホンカードを日本キリスト教海外医療協会に寄付する、盲導犬を育成するための募金箱を社内に設置し盲導犬センターへ寄付する、職場献血、ボランティア休暇の活用推進、ボランティア情報の社員への発信など身近な活動を中心に行っています。
JOMO童話賞は有名ですね。
「心のふれあい」をテーマに、毎年広く一般の方々からオリジナルの創作童話を募集しており、今年は33回目になります。我が国の公募による童話賞では歴史も古く最大規模のものと聞いています。昨年は、「自然とのふれあい」というテーマを追加し、3月下旬から5月末まで作品の募集を行い、「心のふれあい部門」一般の部(中学生以上)6223編、児童の部(小学生以下)410編、「自然とのふれあい部門」1936編、合計8569編もの応募がありました。応募者は2歳から95歳と幅広く、海外在留邦人の方からも作品が寄せられました。選考は西本鶴介(児童文学者)、立原えりか(童話作家)、角野栄子(童話作家)、いもとようこ(絵本作家)、岸田今日子(俳優)の諸先生により厳正かつ慎重な審査が行われます。毎年11月末頃にJOMO童話賞授賞式を開催し優秀作品を表彰するとともに、優秀作品を1冊にまとめた「童話の花束」(写真)を発刊しています。
「童話の花束」は社会福祉活動に活用されていますね?
「童話の花束」は東京善意銀行やその他の社会福祉団体を通じて、全国の福祉施設や母子家庭などに寄贈しています。また、全国JOMO会(JOMOステーションを運営している特約店の全国組織)、全国LPガスJOMO会(LPガス特約店の全国組織)及び関連会社各社、当社役員や社員に買ってもらい売上金のすべてをJOMOグループで協同設立した「JOMO童話基金」に組み入れます。そこから毎年、社会福祉法人、全国社会福祉協議会に2000万円の寄付を行っています。この寄付金をもとに、全国社会福祉協議会が福祉施設や母子家庭などの子どもたちを招待する「子ども海外体験の旅」を企画・実施しています。こうしてJOMOグループが一体となった社会貢献活動が行われています。
女子バスケットボール部「JOMOサンフラワーズ」は日本のトップチームとして活躍しています。チームは社会貢献活動にも熱心とか。
95年から中学生を対象としたバスケットボール指導教室「JOMOバスケットボールクリニック」を開催しています。各地区のバスケットボール協会により選抜された中学生男女合わせて約80名を対象に、バスケットボール部の選手・コーチ・スタッフ陣が、バスケットボールの基本動作、オフェンス、ディフェンスの実技指導をしています。毎年全国各地で開催し、見学は自由で、バスケットボールを通じて地域の方々とコミュニケーションを深めています。
中学生を対象にバスケットボール教室
今後の活動については?
今年4月から年間3日のボランティア休暇制度がスタートしました。また、同月には緊急人道支援にかかわるマッチングギフト制度もでき、アフガニスタン北部地震被災者及び難民・国内避難民支援のためグループとして140万円の寄付も行いました。このように、基本理念推進本部はトップ直属の組織のため意思決定が比較的早くできるというメリットがあります。これからも、情報の収集により一層努力し、種々の施策を迅速に社員に提供しながらボランティア活動を応援していきたいと思います。
(取材・文/三上 彬)
コラム
企業の社会貢献活動担当者共通の悩みは社員のボランティア意識への動機づけ。近藤さんも例外ではない。今年4月に担当になった近藤さんだが、以前は社内報の編集に携わっていた。その経験を生かし、口コミで拾い上げた情報を社内報でクローズアップするなどの方法を取っている。募集したり自薦を待っていても出てこないのがこの種の情報だという。「社会との関わりを持ちたいと思っている社員は多いはず。その人たちのためにも積極的に情報を発信し続けたい」と意欲的だ。
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