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情報誌「さぁ、言おう」 2002年8月号

 事業名 高齢者のためのボランティア普及啓発活動
 団体名 さわやか福祉財団 注目度注目度5


堀田 力のさわやか対談
真の住民参加が問われる
地域福祉はみんなの手で
地域福祉計画策定に向けて
 
ゲスト 厚生労働省社会・援護局地域福祉課長
川井 一心さん
 
 いよいよ来年4月から地域福祉計画がスタートする。言葉の通り地域福祉のあり方を計画するもので、推進する立場の各市町村では、今それぞれにプランづくりを進めている最中だ。中でも注目すべきは、法律で地域福祉の推進とその計画の策定に「住民参加」が具体的に位置づけられたこと。皆が参加する福祉、皆で支え合う福祉とはどうあるべきなのか? 国として計画推進を指揮する立場の厚生労働省川井課長に目指すべき方向性について話を聞いた。
“法律に盛り込まれた”住民参加
堀田 今回の地域福祉計画の方向付けはとても画期的なもので、大いに期待しているんです。「やってあげる」という福祉から、「本人の尊厳、気持ちを大切にし、本人も参加してみんなで支えていく福祉に転換していこう」、そうした変革を地域で具体化する基本がこの地域福祉計画ですからね。
川井 介護保険がスタートして、ご指摘のとおり福祉の旧来のシステムが大きく変換する中で、その他の福祉サービスも今日的にふさわしいものを構築しようと、一昨年の6月に従来の社会福祉事業法をはじめとする関係の法律を改正し社会福祉法ができたわけです。テーマは大きくいえば2つで、一つは措置制度の変更により対等な関係の確立や質の向上などを目指すというもの、そしてもう一つが、「地域での総合的な支援」に対応するこの地域福祉計画です。
堀田 住民参加が重要である、住民の参加がなければ地域における福祉は進まないという姿勢が明確に打ち出された。
川井 これまで住民参加といっても形式的になりがちでした。今回の地域福祉計画では、まさに住民参加をキーワードに、そのシステムとして「策定委員会」をまず立ち上げていただく。そこに自治会・町内会の団体や民生委員さん、児童委員さん、ボランティアの団体、住民参加型の在宅サービス団体や農協、生協、福祉に関連する民間事業者、諸々含む地域の様々な皆さんに参加していただいて計画を立てていただこうと。
堀田 本当に住民がどれだけ参加してくれるのか、そして従来の手法に慣れている行政側が住民と対等の立場で知恵を受け入れ、参加を支援していけるのか、問題はそこですね。厚生労働省の立場としては、なるべく自治体の自主性に任せたい。でも従来の例では、住民主体といっても、結局自治体が「古手の町内会長さん、福祉系で古手の施設長さん、あなた方、住民代表」・・・となってくる。これでは、せっかくの策定委員会の趣旨が死んでしまいます。
 
堀田 力(ほった つとむ)
さわやか福祉財団理事長、弁護士
 
川井 確かに“地域の顔役”が集まりましたというのでは意味がありません。審議会の意見書の中にも「代表者の形式的な参加ではだめですよ」と非常に厳しい言葉で書いてあります。厚生労働省とすれば、先駆的な取り組みをお伝えしながら、地域福祉計画の出来上がりを競う前に、まず、どんな体制で委員会を構成するのか、その参加の仕方も自治体同士、大いに競っていただきたいんです。実際に聞いてみますと、いろいろな公募もされていて、ユニークなところでは学生さんも入っていたりします。
堀田 公募は一つの有効な手法ですよね。私どもは平塚市と組んで一種のボランティアの地域活動を仕掛けていますが、市で30人ほど公募してくれて、なかなかいいメンバーが揃いました。ただ、これはかなり限定された地域で自分たちでやろうという人たちですからいい人が集まったんですが、一般には、市民公募というのはそう簡単なものでもないぞというのが私の実感なんです。
多くの市民の参加が成功の鍵
堀田 私の経験で言えば、公募されてきた委員の中には、基礎的な知識が足りない若い学生さんの例もありましたし、あるいは年齢に関係なく、自分が言いたいこと、非常に限定された分野の話を主張するばかりで、全体についてはまるっきり考えられない。はっきりいえば、そうした人のほうが多数でした。だから公募といっても、ただ数名の市民代表を選ぶというのではなくて、もっと数多くの市民が、何度も会合を重ねてまず住民同士で議論する。制度も学び、問題点を理解して、みんなの知恵を集約していく。そうするといい提言になってきます。そこから市民の代表として何名かに参加してもらい、みんなの声を反映してもらう。手間はかかりますが、実際にそうした取り組みを進めている自治体もありますし、それでこそ住民の心を掴み、本当の行政がやれるんじゃないでしょうか。その意味で実は今が非常に大事な時期なんです。
川井 いかに多くの方の意見を集約できるか、その体制をきちっとつくれるのか、まさにそれが策定委員会の重要な点ですね。それと、さらにいえば、もう一つ、この策定委員会は策定をして終わりではないということです。計画の進捗状況の評価や見直し等も含めてその後も必要に応じて関係すべきことが強調されています。住民は計画段階で意見を言うだけでなくて、その推進過程にもサービスの提供にも具体的に携わっていく。従前の行政の手法からいうと、相当特色のある内容ですし、ぜひそうした意識改革をしてもらいたいと思っています。
堀田 ところで、私どもはふれあいボランティア活動を展開していますが、では実際に住民がどういう分野で参加していけばいいのかという課題があります。地域福祉計画の中では、教育から就労、他の関連分野ともすべて連携した非常に幅広い、従来の縦割りにとらわれない計画を立てるのが好ましいという方向づけが出ていて、これは素晴らしいと思うのですが、厚生労働省の立場としては、実際どうお考えですか。
川井 各論のお答えはなかなか難しく、逆にいろいろとお教え願いたいのですが、たとえば労働問題でも、生きがい就労のような範囲なら福祉の分野でも手が届くでしょうし、環境問題なども含めて住民の生活上の課題は極めて幅広いのです。要するに福祉を中心にしながら、周辺の生活課題を無理のない範囲で解決するよう努めていただく。従前のように狭い意味での社会福祉事業に限ってやったのでは、生活上の問題は解決しませんから、地域福祉計画の中では、もっと幅広に福祉を考えてやりましょうと強調しています。
堀田 地域の課題、生活上の課題をみんなで力合わせて解決しましょうという、その認識が一番大事なんですまね。行政とボランティアも地域住民も全部力を合わせてやらなきゃいけない。福祉を利用する側・利用される側の隔てもなくなって、介護保険の世話になっているおじいちゃんが子どもの相手をしたり、それがまた生きがいになって精神的に元気になり介護予防にもつながります。とにかく常時地域のニーズを引き出し、常時情報が入り、それで動く人も決まる。そんな柔軟な動きをうまく引っ張り出すような仕組み、人材がこれからは必要で、現にそういう気持ちでやっているのがボランティア、NPO。必ずあちこちの地域におりますね。公務員は彼らのエネルギーを引き出すような形で、うまく委員会をリードしてもらう。「カリスマ公務員」とか言われていますが(笑)、そうした特色ある行政職員が地方の中にたくさん出てくると、面白いもので、地域もどんどん動き出すんじゃないかと期待しているんですよ。
 







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