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(4)園芸療法(Horticulture)
 全てのホスピスは、イギリスらしく素晴らしいガーデンが付設されている。単なるイギリス的というより、自然の風景がいかに人の心を和らげるかという原則に基づくものである。コッツウオルズケアホスピス(ストラウド)では、園芸療法士による活動が印象的であった。又、最近の緩和ケア雑誌では、トリニテイホスピス(ロンドン)のガーデニングプランと、その取り組みについて紹介されている。
 
 
 
【追記;ボランテイアの働き】
 ホスピスにボランテイアは欠かせない存在である。それは「仏作って魂入れず」というにも等しいのではないだろうか。イギリスのホスピスは、例え15床くらいの規模であっても、全ての機能を持っていることは前に書いた。そして、ボランテイア活動も様々な方面で活発である。およそ家族が行うであろう事から、医療従事者に至るまで、かなりの種類でボランテイアは活動している。その中でも特に、定年退職あるいは無職でも余裕のある年配の市民による参加は大きい。デイホスピスや病院への送り迎えのドライバーから、ベッドサイドの付き添い、ガーデニング、また一方ではアロマセラピーなど各種のプロフェッショナルセラピスト、そして縁の下の援助者であるホスピスショップ担当など、非常に多岐にわたっている。コッツウオルズケアホスピスでは、在宅での独居者のためのヘルパーや精神的サポート、ターミナル時の付き添いを提供している。しかし、その分ボランテイアとしての枠を超えないように、教育や経験も必要である。
 私の研修中に、ボランテイア講習会なるものに参加する事ができた。それは、かなり丁寧でかつ希望者の内面にまで及ぶような、厳しいセッションだったと思う。(参考資料
 いずれのホスピスも数百名の登録があると、誇らしげに語られていた。その膨大な数を組織的に活動するために、専任のコーディネーターは面接から計画まで、かなりの経験と配慮が必要である。面接時のチェックシートもかなり細かく、保証人や犯罪歴も調査の対象になる。それだけの経過を経て、尚且つ再考の時間を2週間くらいあけて最終決定しているところが多かった。そしてその結果始めたボランテイアの人々の顔は、どの人も強い意思と自信にあふれていたように思う。
 
 







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