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III 研究成果
1、緩和医療科の日常診療実績:
1)入院患者の実態:2002年9月から2003年3月までに延べ176人の患者が入院した。標榜が緩和医療科であった為か予測に反して入院患者数が多く見られなかった。また、地域がんセンターの緩和ケア施設としては、本邦で初めての試みとして二つの病棟を用意した。一つは他科の病棟と全く同じ環境下に本棟4階に全個室とした。さらに別棟に自宅環境に近い雰囲気の平屋病棟を用意した。両病棟の選択は患者家族の意志を優先して、選ばれるように配慮した。また緩和専門医や臨床心理療法士などコメディカルの人的配置は両病棟同一にした。(1)本棟と別棟の患者背景因子でみると、入院患者数、年令、在院日数転帰、在宅への移行率などには大きな差は認められなかった。告知率には大きな差はないが、予後告知率は本棟で多く認めた。疾患別では、本棟に頭頚部癌が多く、別棟では肺癌が多かった。(2)また、病棟選択理由と入院経路をみると、本棟では他科からの転棟が多く、別棟は他院から紹介患者が多く認めた。本棟は利便性と転棟の環境変化への不安、別棟へは距離や隔絶感などが選択理由となっていた。一方別棟では環境が最期を迎える場として適している。平屋であることから、庭への接近、家族との過ごし易さなどであった。従って本人家族が最後の看取りに場として選択する比率が高った。(3)その結果、予想に反して緩和ケア施設への入院希望者は少なかった。その要因について当センター緩和医療科病棟へ入院した患者について検討を加えた。患者の多くは、当初新設の先端医療を望んで来院し、最後まで積極的な治療に希望を託しており、緩和医療科への移行を受容していなかった。また担当医師は病態告知は行っているが、患者の病態の変化に伴い、治療の限界性や予後については最後まできちんとした説明がなされていなく、終末期を迎えていた。院内の各科専門医師の緩和医療への認識不足と緩和ケアチーム医療の未熟性も大きな原因であった。(4)しかし、図2に示されたように病院全体のがん終末期の5割以上が緩和医療科に入院していた。病院全体の死亡患者の過半数が緩和医療病棟で最後を看取られていたことから、本病棟の存在価値は大きいと判断される。
2)外来患者総数は90名、他科病棟コンサルテーション総数は50名であった。
3)開院までの5か月間に、緩和教育係を設けて30回に渡る緩和ケア勉強会を開催した。開院時に「緩和ケアマニュアル」を作成し、緩和ケア病棟以外に院内全病棟へ配付し、緩和ケアの標準化の一助とした。
2、心理療法士の介入実績数:本年3月7日までに緩和医療科外来患者はサポートチーム依頼含めて45名程度であった。他科依頼患者(家族)は45名でうち小児科7、呼吸器内科6(看護師からの依頼1含む)、乳腺外科5、消化器内科5(看護師からの依頼2含む)、大腸外科4(師長からの依頼1含む)造血幹移植科:4、胃外科4(師長からの依頼3含む)、婦人科3、よろず相談3、脳外科2、眼科1(師長からの依頼)、整形外科1名であった。また、スタッフからの相談が11名に認めた。これら患者家族に対してIIで述べた内容の介入を行った。
 
図1:緩和ケア病棟の病床稼働率
(拡大画面:39KB)
 
図2:
病院全死亡数の緩和医療科で占める割合
 
静岡がんセンター内 (平成14年9月6日開院〜平成15年1月)
単位:名
  9月 10月 11月 12月 1月 2月
緩和医療科 5 10 20 16 20 17
センター全体 9 18 27 28 44 25
比率 0.556 0.556 0.741 0.571 0.455 0.68







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