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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


IV. 今後の課題
 事例研究から明らかなように高齢者の末期の判定は医師の間でも明確な基準・マニュアルはなく、さまざまな努力が行われているといえる。高齢者の場合、末期が自然に緩慢に進行することが特徴であり、すべてが同時に濃厚な医療が処置される若者の急性期と異なり、発熱→抗生物質、食欲低下→経管栄養・点滴、バルンカテーテル、酸素吸入→人工呼吸器などの処置が時間をおいてなされ、結果的に濃厚な延命治療が出現する。それぞれの処置はそれぞれの段階で必要なものとして判断され、実施されたものだが、それによっても回復することはなく、最終的にスパゲティ症候群として高齢者の末期医療が生まれてくる。こうした高齢者の末期医療の課題を解決するには、以下の3点をさらに検討する必要がある。
 第一は、医師の間での高齢者の末期の判定とその後の医療処置の違いの解明である。高齢者の末期医療においては、医師と高齢者本人・家族との信頼関係が重要となるが、専門職者としての末期医療の医学的基準・統一的な指針を検討する必要がある。
 第二は、高齢者の末期医療についての意思を確認する手続きの確立である。尊厳死協会等による意思表示カードなど一部にその動きもみられるが、なお口頭での確認が大部分であることが明らかとなっている。契約・署名の伝統を欠いた日本ではあるが、手続きの明確化による末期医療に対する関心を高めることも認められている。
 第三は、高齢者を看取り、見送ることと末期医療におけるケアの提供の連結の大切さである。入所者も参加した施設内での葬儀は、残された高齢者にも安心を与えて、健やかな人生の最期を保障するものとなる。生と死のケアを継続的なものとして構築することが高齢者ケアの施設において求められる。
 
IV. 研究の成果等の公表予定(学会、雑誌等)
『医療と社会』に投稿予定
 
表 介護老人施設におけるターミナルケアの現状
  介護療養型医療施設
「湖東病院」
介護老人保健施設
「よなご幸朋苑」
介護老人福祉施設
「温水園」
末期の判定プロセス:誰が、いつどのような基準・場で行うのか  ○各担当医師に任される。しかし、医師によって末期の判断は異なり、その後の治療の違いが存在する。
○施設での統一的な基準はない。院長は基準を作ること、医師への徹底の困難さを認識。
○医師とともに看護職が末期であることを判定し、介護職員に徹底する。判定の基準・マニュアルはない。
○看護職は常時、連絡を取れる体制に入り、看取りを介護職員と行う。
○看護職、介護職員が判断するが、施設での基準・マニュアルはない。
○緩慢な高齢者の自然死を職員全員でケアする体制が基本とされ、統的な基準づくりの考えもない。
本人・家族の末期医療についての意思の確認のプロセス・手続き  ○入所時に末期段階での処置(挿管、レスピレーターなど)の選択について口頭で家族の代表者に確認する。
○実際の末期において家族代表者に再度、確認する。
○入所時に末期段階での施設で提供可能な医療レベル(在宅医療、往診程度)を説明し、家族の代表者に医療の選択について意思を確認する。末期において再度、確認する。 ○入所時に末期段階での病院への転送など、医療の選択について口頭で家族の代表者に確認する。
○実際の末期において再度、確認する。
末期医療の内容:具体的な介入や本人・家族に対する精神的な支援など ○各医師が家族と相談の上、IVHや人工呼吸器などをやる場合もある。医師によって末期ケアの内容は大きく異なる。
○特別な精神的なケアはない。
○高齢者の突然の変化(脳梗塞、心筋梗塞など)は病院に転送するが、自然な変化による末期は家族の意思を尊重する。
○末期には個室に移して、チームで看取る。
○特別なものはなく、人間の尊厳をもとに看取っている。
死亡時の看取りのケアや家族へのケア ○特別なものは行っていない。 ○葬儀に担当のチーム職員全員が参加する。
○遺体は自宅にいちど戻ってもらい、その後葬儀に移ることに配慮している。
○施設内で葬儀を行うことが多く、入所者と職員が参加する。
○担当職員のうち弔辞を読むものをひとり決めて、見送っている。







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