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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


19. 施設緩和ケアと在宅緩和ケアがバランスよく発展していくために必要なシステムを検討する
広島県立広島病院 麻酔・集中治療科・医長 藤本真弓.
 
平成14年度笹川医学医療研究財団 研究報告書
研究課題:
施設緩和ケアと在宅緩和ケアがバランス良く発展していくために必要なシステムを検討する
広島県立広島病院 麻酔集中治療科医長
藤本真弓
 
I 研究の目的・方法
 我が国の緩和ケアは、主にホスピス・緩和ケア病棟を中心とした施設緩和ケアが先行して発展してきた。在宅緩和ケアも行われているが、未だ十分とは言えない状況である。
 広島県においては、将来的(2004年)に『緩和ケア支援センター』を設立して、施設と在宅両方の緩和ケアを支援していく政策をうちだしている。この試みでは、他の地域で見られるような病棟付随の訪問診療になることなく、おのおのがきちんと自立して発展していくような介入が必要ではないかと考える。
 ホスピス先進国といわれる諸外国での状況を視察し、日本での現状と比較検討することによって、施設と在宅の緩和ケアがバランス良く発展するための問題提起ができると考えた。
 方法としては、自宅−病院−ホスピスをつなぐ『ホスピス三角形hospice triangle』を提唱しているオーストラリアを訪問し、アデレードのフリンダース大学で活動を続けているイアン・マドックス教授に教えをいただく。
 
II 研究の内容・実施経過
 平成14年7月13日〜28日の間、オーストラリアのアデレードを訪れ、フリンダース大学の緩和ケア学の拠点であるDaw House Hospiceおよび付随の緩和ケア研究所に滞在し、オーストラリアでの緩和ケアを、施設緩和ケア、在宅緩和ケア共に研修した。また、地域のネットワークや医療費の仕組み(行政)についても学んだ。
 Daw Houseの研究所は、教育研究活動も盛んで、それについてもちょうど滞在中に行われたシンポジウムに参加したり、外国からの留学生や見学者との交流も持つことができた。
 具体的な研修内容は、以下の通りである。
 
【第1日・7月13日】
AM 広島発、シンガポールを経由して(機中泊)アデレードヘ
 
【第2日・7月14日】
6:40(日本時間6:10) アデレード到着
 マドックス教授から、オーストラリアの医療について、医学部の学生教育について教えてもらい、そのあと市内の4つの病院へ、約10名の患者回診に同行
 
【第3日・7月15日(月)】
9:15〜16:30 『Sympodium for Higher Degree Research Students』に参加
 緩和ケアを学ぶ人々約30名が参加、看護師を初めとして、医師、MSWなど職種も多岐にわたる。韓国で看護学の教授をしているChoさんが研修にきていて、この週は行動を共にした。
12:00〜12:30 Prof. David Currow(フリンダース大学の緩和ケアの教授)と面談。
 オーストラリアの医療制度について、実際の緩和ケアについて、Daw Houseの母体である総合病院について、あるいはフリンダース大学との関係について
 
【第4日・7月16日(火)】
9:00 フリンダースが医学の医学部の講義を見学、学生の教育はすべて少人数による症例方式。人数が少なく、みんなが活発に発言していた。
11:00 Flinders Medical CenterのPain Management Centerへ
 硬膜外カテーテルリザーバー留置を見学、手技そのものよりも、事前の丁寧な説明に感銘を受けた。オーストラリアでは良性疾患の疼痛管理にも積極的に用いている手技だということ。
12:30 Daw Houseに移動、昨日に続いてシンポジウム第2日に午後から参加
 
【第5日:7月17日(水)】
AM Daw House Hospice見学、病棟の運営について、看護師の動きについて、ボランテイアの活動について、病棟のハード面について、説明をしてもらった。
14:00 リサーチ担当ナースのデビーから、オーストラリアの医療について説明。
●オーストラリアでは、一般の病院、ホスピスは共に急性期を対象としている症状が落ち着いた場合は、(1)Nursing home/hostel、(2)Aged care facilities、(3)在宅、のいずれかを選ぶことになる。
・Nursing homeとhostelの違いについては、以前はhomeは大規模でレベルが低い施設、hostelはグレードが高く、居心地がよい施設(ホテル並)という差があった。しかし最近ではNursing homeを良くしていく方向に動いていて、10年くらいの計画で全部を個室かそれに類するレベルの施設になる予定。施設自体はホスピスと同様。現在アデレードに約190施設。3000ベッドがある(人口は100万人)
・Aged care facilitiesは65歳以上の人が入れる施設、そこにいる患者の半数が85歳以上で、70%が女性。ちなみに、人口の15%が70歳以上(おそらく日本も同じ)
・お金持ちはこのような施設に入らず自分の家で(人を雇ったりして)過ごす。
・いずれも施設に入院している場合には、自己負担はない。Nursing homeには患者の自立の程度に応じて、$24〜$3/dayが、政府から支給される。
●オーストラリアの医療財源は、税金によるものが大きい。1996年の大改革で、日常生活品に15%の消費税がかけられ、入院医療費は自己負担がなくなった。そして、病院とホスピスは急性期のみで、落ち着いたらバックアップ施設か家で過ごすという原則ができた。消費税のうち85%はNursing homeに使われている。
●緩和ケアは癌患者だけのものではなく、治らない状況には必ず必要となる。従って、高齢者のケアを行うにあたって必須の問題。
 現在、老人に対する緩和ケアのガイドラインを作成中だが、EBMがないこと、広範囲をカバーしなくてはいけないこと、等の問題がある。ナースが見てわかるガイドラインの作成が望まれる。
 
【第6日:7月18日(木)】
10:30 地域看護師のカレンに、看護制度について教えてもらった
 在宅のケアについて、ナースのランク付けについて、オーストラリアの医療制度の中でも、publicとprivateについて、
13:10 Dr. Timothy Bulterの仕事について説明してもらった。緩和ケア関係の学会発表をいろいろな学会の抄録集から探しだし、それぞれにEBMからのランク付けをして、データベースを作るという仕事。
15:00 フリンダース大学の医学生マイケル(4年生=最終学年)のプレゼンテーションを聞く:医学部のローテーションで6週間緩和ケアに来ている
 
【第7〜9日:7月19日〜21日】
お休み、市内観光など
 
【第10日7月22日(月)】
AM 訪問看護婦のリズと一緒に患者さんの訪問
 4名の患者さん宅を訪問した。重症の方もあるが、完全に自立している人たちも訪問看護を受けている。重症度によって、訪問回数は頻回〜2ヶ月に1度までさまざま。
 リズの訪問業務は、週4回
PM Daw House(研究所)で臨床カンファレンス、この1週間でなくなった人(病棟も在宅も)のデスカンファなど。
 
【第11日:7月23日(火)】
AM フリンダース大学でoncology meeting、その後、病棟回診:緩和ケアチーム(医師・看護士)、レジデント、常勤医と学生と私の計6名。
 各病棟を順番に廻って問題点をあげ、対策を練る。7名廻ったところで午前の部終了。
PM 緩和ケア学の教授Dr. Currowの外来を見学。一人あたり約1時間かけていろいろお話しする。診察はもちろんだが、生活や環境などの背景について、雑談ともとれる内容の会話を進め、その中から患者さんを全人格的にとらえていく様子を学んだ。
 
【第12日:7月24日(水)】
AM メリーポッターホスピスの見学研修。
 ここは、約100年前に、メリーポッターというシスターが開設したのでそれにちなんで名付けられた。隣のClavary General Hospitalとくっついている。privateの施設
12:30 ランチセミナー:講師はDaw Houseから、参加者は市内の他施設の緩和ケアスタッフ
PM Royal Adelaide Hospitalの緩和ケアチームの動きを見学。
 総合病院なので、緩和ケアチームの関わりだけでなく、救急センターやペインクリニックの外来も見せてもらった。
 
【第13日:7月25日(木)】めずらしく雨
AM MSWに、bereavement groupの働きについて教えてもらう。
PM 日本の緩和医療の実情について、県病院での私の仕事についてプレゼンテーション
 
【第14日:7月26日(金)】
終日Daw House Hospiceでの見学研修
 ナースについて回り、具体的なケアなどについても学ぶ、午後はHumour Fundationというお笑い系のボランテイアの訪問あり
 
【第15日:7月27日(土)】
アデレード出発、シンガポール経由で(機中泊)広島へ。







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