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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


18. 医学部における卒前緩和医療教育の実態調査
― とりわけアジア・パシフィックの実情について ―
緩和医療教育国際調査委員会 加藤恒夫
 
平成14年度 笹川医学医療研究財団 研究報告
I. 研究の目的
医療の中で広がる緩和ケアの役割
 日本におけるホスピス緩和ケア運動の開始を、1977年の「死の臨床研究会」の創設とすると、その歴史は、はや26年を迎えようとしている。そして、平成15年2月末の日本における緩和ケア病棟の数は、113施設を数えている。
 このように、ホスピス・緩和ケアは、日本の医療の中ですでに無視することが出来ない存在となっているにもかかわらず、現在の医学教育は、それについての知識、技能、態度を十分な体系を持って教育しているとは言えない。その結果、医療現場では、がんの様々な身体的、精神的、そして、たましいの苦痛を持った患者・家族とともに、医療者もまた日々苦悩しているのが現実である。
 
緩和ケアのアジア・パシフィックでの進歩
 一方、アジア・パシフィック地域では、ここ数年間ホスピス・緩和ケアに関わる発展が目覚しく、同地域を対象として開催されるホスピスカンファレンスの演題レベルは、年を追って向上の一途をたどっている。このことは、これらの国々のホスピス・緩和医療教育の充実を意味するものに他ならない。このカンファレンスに参加したことがある日本人の多くは、わが国の実態がすでにアジアの諸地域よりも遅れをとり始めていることに気付き始めている。
 
不十分な日本の緩和ケア教育資料
 日本では、2001年全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会が卒後研修用の「ホスピス・緩和ケア教育カリキュラム」を作成し配布したが、その内容は教育用としては不十分といわざるを得ない。なぜなら、そこには、いまや世界で主流になりつつある在宅ホスピス・緩和ケアについての項目が無く、また、各項目の構成も「態度、技術、知識」として統一されておらず、到底教育現場では使えるとは思えないものであるから。
 
アジア・パシフィックの実状を踏まえたより良い緩和ケア教育の素材を提供する
 私たちは、アジア・パシフィックの緩和ケア教育をめぐる実状と日本のそれを比較する中で、1)日本のおかれている状況を明らかにし、2)今後の医療全体で重要になると思われる緩和医療の教育資料(カリキュラム)を作成することを目的として、本研究を行った。
 
II. 研究の経緯
(1)平成14年3月30日
議題
1)調査・研究方法について
2)調査研究の実行方法の検討
3)調査研究計画の分担
(2)平成14年5月2日―4日
アジア・パシフィックの実態調査および連絡網作り
Asia-Pacific Hospice Conferenceへの参加
於 Malaysia、 Kota Kinabalu
(3)平成14年10月26日―27日
1)アジア・パシフィック実態調査報告と今後の方向の検討
2)カリキュラム作成ワークショップ(1)
(4)平成14年11月23日
実態調査の進めかたについての再検討
(5)平成15年1月12日―13日
カリキュラム作成ワークショップ(2)
(6)平成15年3月5日―8日
アジア・パシフィック実態調査の追加と作成したカリキュラムの国際的検証
Asia-Pacific Hospice Conferenceへの参加
於 大阪
 
III−1 研究結果
[1]研究はこれまで主として加藤恒夫が英国から集めた緩和医療に関するシラバスの解析による計画の立案から開始した。検討報告は以下のとおり。
 
第1回緩和医療教育国際調査委員会 報告
緩和医療カリキュラムの文書解析に関する検討報告
〔はじめに〕
 患者の死を巡る本人と家族のよりよい生き方を支援する緩和医療の質の向上と普及をめざし、わが国の大学医学部・医科大学と海外医学校の緩和医療カリキュラムに関する資料を比較するため、下記資料をもとに作業の第1段階の素案について検討したので報告する。
〔検討資料〕
(1)Univ. of Southampton医学校の「Medical Curriculum Booklet」
(2)Univ. of Bristol 医学校の「ONCOLOGY AND PALLIATIVE CARE WORKBOOK」
(3)九州大学医学部の「授業時間割 専攻教育科目教育目標」(平成13年度)
(4)1993年の日本医学教育学会大会「ターミナルケアの教育」抄録(医学教育24(5): 324−327、1993)
 
〔検討過程〕
 検討者:佐藤英俊(シラバスなどの作成経験あり)、吉田素文(医学部カリキュラムの開発・運営に従事するほか、臨床実習指針の文書解析経験あり)
 吉田が一般的なカリキュラム比較の要点と以前行った文書解析の手法について概説した後に、以下の点について話し合った。
 
(1)(1)〜(4)に目を通して気づいたこと
(2)資料・情報の入手と解析の具体的な進め方
(3)ディスカッションの進め方
 
〔検討結果〕
(1)(1)〜(4)に目を通して気づいたこと
(ア)(1)は5年間のカリキュラムの概説書で、Palliative Medicineについて記載があるのは51−52ページ、および5年間の中での位置づけについて9−10ページに記載がある。
(イ)(2)は(1)と違い、5年生(最終学年)が4週間で癌の診断・治療と緩和医療について学ぶ、患者実習を含めたコースにおいて、参照や書き込みに使われるとても具体的な学生用資料である。
(ウ)(3)は(1)に類似。学習・教授方法が「講義のみ」であり、知識の獲得のみをねらいとしている。
(エ)(4)は9年前の今回に類似した研究の動向を示す資料であり、今としてはすでに古くなっている。今の状況を比較してカリキュラムの改善点を提案するためには新しい調査が必要だろう。
 
(2)資料・情報の入手と解析の具体的な進め方(作業の第1段階素案)
*STEP 1『文書の入手』:国内、国外の施設から、(1)や(3)のような「入学から卒業までの概要」を入手する。これに加えてできれば(2)のような具体的な「コース資料」を入手し、解析する。(評価表よりもPCへの直接入力の方が便利?)
*STEP 2『質問状送付』:入手情報の標準化や明確化を目的として、更に知りたいことを抽出してアンケートを作成し、資料提供施設に問い合わせる。
 
Q:誰が、いつ、どのように、資料入手や解析作業を行うか?
Q:資料が英語かどうか?
Q:STEP2のアンケート項目の追加や削除は?fill-upの必要の有無は?
● Learning Objective (Knowledge, Skill, Attitude), Teaching & Learning Method, Assessment
● 学生が学ぶ時期(前後のカリとの関連)、期間、時間数、全員必須か選択か
● 学生や教育者によるinformal activityの状況、formal curriculumとの関連
● 変更の沿革・将来計画、カリキュラム(コース)評価の方法と現状
 
[2]この計画に基づき、1)アジア諸国の代表者と連絡網を作ること、2)可能な限りシラバスを集めること、3)アジアの実状を調査すること、を目的として、平成14年5月加藤恒夫が、マレーシアのコタ・キナバルで開催されたAPHC(Asia-Pacific Hospice ConferenceおよびAPHN(Asia-Pacific Hospice Network)の年次総会に出席した。参加報告は次ページのとおり。







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