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平成14年度(2002年)研究報告

 事業名 医学医療に関する研究助成
 団体名 笹川保健財団  


ステージII がん・死への疑い
2−1. 死への認識
 入院から一ヶ月目頃、家族及び医療従事者への怒りが一段落し、患者は第一ゲートを通過し、死について語り始める。将来、自分に起こり得るかもしれない死へと目が向けられていく最初の段階である。しかし、そこで語られるのは自分の死ではなく、他人の死であり、一般論としての死である。すなわち漠然と死を感じながらも明確には意識していないことがある。
2−2. 恥
 入院から2〜3ヶ月目、患者は自分の病気の社会的影響について語る。自分の病気のことを『こんな病気』と表現し、それが社会から特別視される病気であると認識を示す。このステージにおいて、患者は自分の病気を日本社会で共有されている文化に照らして、それは家系の恥じであると理解している。
2−3. 挫折・別離
 入院から4〜5ヶ月目、この段階では死を考えるにあたって、そろそろ自分の身に置き換えて考え始める。自分の死を仮定しながら、『自分の死による家族への経済的・心理的影響』を心配し、『後に残してしまうかもしれない家族への思い』を抱き、家族との別離を予感する。また、自分の人生の意味を自らに問いなおし、人生への挫折感を表す。
2nd Gate 拒否
 第2ステージで自分の死を仮定して語り始めた後、患者は第2ゲートを通過する。このゲートは患者自身が自分の病気の重大さ、または病気によって死に至るかもしれない可能性をうすうす感じ始めた中で、医師や家族から得た自分の身体・病気の情報に納得できず、不安と苛立ちをつのらせる。ここで患者が何らかの情報を周囲から得ることはなく、そのことが次のステージにおいて自分の死への実感とつながっていく。
 
ステージIII がんへの認識
3−1. 死に対する態度
 入院から4〜6ヶ月目、家族・医療従事者を拒絶した患者は、自分の病気に関する情報も与えられず、家族・医療従事者とのコミュニケーションも少なくなる中、患者は自分の死について語りつづける。
3−2. 心配(治療への心配)
 入院から5〜7ヶ月目、自分の死を語り始めた後、患者は多様な検査からくる苦痛への不安を口にするようになる。検査には患者が今までに経験したことのないものが多く、それは苦しみ、痛みを伴う。そうした身体的苦痛は、患者が死の受け止め方に迷う中で、身体的にも精神的にも患者を弱気にする。そして、患者はいっそう死への実感を強めていく。
3−3. 死への恐怖
 入院から7ヶ月目以降、さまざまな検査に明け暮れ、自分の身体も精神も傷ついた後、このステージにおいて患者は自分の死を一般論として語らなくなる。患者は自分の病気はがんであるとの認識をはっきりと口にし、もはや死から逃げられないかも知れないという恐怖を調査者に表明する。
3−4. 空虚感
 入院から8ヶ月以降、前段階で家族や医療者の態度からがんであると認識し、死への恐怖心や不安感を訴えた後、一ヶ月以上経過してこのステージに達する。患者は穏やかに自分の死を思い、自分の死後のこの世における存在意義について考える。そこから感じられるのは空虚感である。自分に死が近いことを悟り、自分にたいする家族の思いを理解するに至る。
3rd Gate 他人の死を語る
 死への恐怖、空虚感を語った後、患者は他人の死を語るというゲートに達する。ここで患者は同じ病室の人の死について触れ、死に対する自分の思いを語り、それに対する家族の様子を観察する。患者は他人の死を語り、それを通じて自分の死に対する思いを語り、それに対する家族ら周囲の人間の反応や態度から自分の病気や死の可能性に関する情報を得る。その結果患者は除々に、そして間接的に、自分の死への実感を更に深めていく。
 
ステージIV がんと死を結びつける
4−1. 人生の試練
 入院から9〜11ヶ月目、がんであることを認識した後、死を概念化した上で、死と自分の人生を重ねて語り始める。そこにはもはや自分の死は避けられないものであるという認識、それに対する覚悟やあきらめさえ感じられる。患者は、自分の人生の価値は死を迎えなければわからない、あるいは、人間は死を迎えなければ完成しないのだと主張し、死が人間にとって不可避の人生の試練である以上、それを前向きに受け止めようと努力する姿勢が伺える。
4−2. 死後について考える
 入院から11〜13ヶ月目、自分の来世について話しはじめる。患者は自分の中で死を積極的に受けとめたのち、死を現実的につきつめて考えることをしないで、この世やあの世で生まれ変われる、また満ち足りたところへ行けると、死を表現する。
 
4th Gate 悲しみ
 死を避けることのできない環境の中で少しでも肯定的な意味を死の中に見出そうと努力した後患者はこの悲しみのゲートにいたる。死の中に何らかの意味を見出し、1人で闘ってきた患者は、ここで本来の1人の人間に戻り、これまで抱えていた感情を一気に表に出す。このゲートを通り過ぎると、患者は穏やかな心になり、死の受容へと進んでいく。
 
ステージV 死の受容
5−1. 生きがい
 入院から14〜16ヶ月目、この段階で患者がすることのひとつは、自分の人生の再確認である。患者は、家族や友人との関係を語る中から自らの人生を再確認し、そうした身近な人々の中での自分の存在意義を確認する。また社会の中での自分の人生を総括する。
5−2. 思い出
 入院から16〜19ヶ月目、周囲の人々の中での自分の存在意義を確認した後、患者はこれまでの人生における様々な場面を思い出す。ここで思い出されるのは人生の良き思い出だけであり、その思い出に患者自身が勇気付けられ、心が穏やかに満たされる。このステージで、患者は過去の思い出を色々話すことで、今までの自分の人生をもう一度振り返る機会を持つ。
5−3. 家族への感謝
5−4. インタビュアへの感謝
5−5. 夢
 入院から19〜20ヶ月目、末期ガンを告知されなかった患者の死の受容に至る最期のこのステージでは、患者は家族と夢を語る。それは普通の健康な人が日常生活の中でいつも交わしているのとあまり変わらない、ごく普通の、明日にでも実現しそうな、ありふれた夢である。
 
 このような死の受容までの心理的プロセスが明らかになったのは日本では初めてであり、このプロセスは、現代日本の終末期医療における医療者側のケアのあり方を考えていく上で、一つの有用なデータを提供する。







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