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図2.1. 6部位双極導出法による安静脳波
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図2.2. 6部位双極導出法による安静脳波
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II.2. 安静脳波の平均PS値
 対象者C・D氏における安静脳波の1999、2001年のピーク周波数分布では、体動や眼球運動によるノイズによる影響をカットするために、δ波(1−4Hzα)及びβ2波(20−60Hz)を省いた。図2.1では、重度痴呆性高齢者C氏が、1999年よりも2001年にα波β1波でPS値が減少し、大幅な徐波化が見られる。一方コントロールの軽度痴呆性高齢者D氏(図2.2)は、対照的にPS値がβ1波>α波>θ波である。ことにD氏は、1999年より2001年にPS値がα波、β1波で増大し、脳の活性化が確認される。
 
II.3 「斎太郎節」の聴取時と聴取後のRRPS
II.3.1. 「斎太郎節」の「固有テンポ」と非固有テンポにおけるRRPS
II.3.1.1. 重度痴呆性高齢者C氏の場合
 II.2の図2.1.で明らかなように、C氏の2001年安静脳波のピーク周波数が、全てδ波に落ちているにもかかわらず、2001年の「固有テンポ」の「斎太郎節」を聴取時(C4−P4で1.46)、および聴取後(C4−P4で1.35)、および非固有テンポの聴取時(C4−P4で0.70)、および聴取後(C4−P4で0.57)のα波領域をみる、と、いずれも1999年よりもはるかに高いことから、C氏にとって「斎太郎節」はC4−P4部位に有効な刺激となっていることが確かめられる(図3.1.)。実際音楽療法セッションでも、「斎太郎節」が始まると、それまで睡眠時間であったC氏の目が開き、ドラムのバチを渡すと、歌に合わせて静かに打っことができた。そして歌が終わると同時に、バチの手を止めることから、C氏の中では、口こそ動かさないが、確かに「斎太郎節」が流れていたことが想像される。恐らくもはや歌詞を思い出すことが出来なくなったが、斎太郎節のリズムと旋律は、C氏の中に受信され、理解され、撥の演奏賭しての発信行動に結びついたと考えられる。
II.3.1.2. 中軽度痴呆性高齢者D氏の場合
 図3.2.で明らかなように、D氏の2001年安静脳波のピーク周波数は、前頭部でδ波領域に留まっているとはいえ、他の部位は全て2001年のRRSP値がいつも上昇している(図3.3&3.4.)。つまりD氏の斎太郎節の「固有テンポ」聴衆時(0.67)および聴取後(1.17)、そして非固有テンポの聴取時(0.71)および聴取後(0.93)のα波領域は、P3−O1部位でいつも、P4−01が聴取後のみ、1999年よりもRRPS値に増加がみられる。
 実際D氏は、1999年には車椅子で参加していたが、2001年頃から杖で支えながらではあるが、自力で歩いて参加にやってくる。毎回積極的に参加し、集団セッションを楽しみにしている様子が表情から伺える。
 
図3.1. C氏の斎太郎節の「固有テンポ」聴取時のRRPS<2001−1999>
 
図3.2. C氏の斎太郎節の「固有テンポ」聴取後のRRPS(2001−1999)
 
図3.3. D氏の斎太郎節の「固有テンポ」聴取時のRRPS(2001−1999)
 
図3.4. D氏の斎太郎節の「固有テンポ」聴取後のRRPS(2001−1999)







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