3.3.3 閑静な住宅地での歩行
<写真 静かな住宅地>
犬の操作や動きに集中できる静かな環境下で基本的な歩行方法を指導します。
3.3.3.1 道路横断(交差点での安全確認)
交差点の発見、停止方法を指導します。それに続いて交差点の直進方法、左折方法、右折方法、T字路交差点横断方法などを指導します。またクライアントの能力や道路状況によりSOC(入り込む道路横断方法:Squaring Off Crossing)での横断方法を指導します。
3.3.3.2 歩道段差発見
歩道のいろいろな形状の説明、歩道段差の発見方法、停止方法、道路横断方法を指導します。
3.3.3.3 障害物回避
障害物の回避方法を指導します。歩車道の区別のない道路を歩行している時の障害物の回避方法(停車車両、電柱、狭所通過など)と、歩道を歩行している時の障害物の回避(車道へ降りて回避)に分けて指導します。
3.3.4 準繁華街歩行
<写真 準繁華街>
閑静な住宅地より交通量や人通りのある場所で、基本歩行に加え、車の音や人の流れなどの情報を収集し、場所を特定するなどのオリエンテーション的な訓練の導入をして行きます。
3.3.5 歩車道の区別のある大きな交差点横断
<写真 大きな交差点>
交差点の構造説明や車の動き(右折車、左折車、矢印信号)の説明をします。その上でいろいろなパターンの横断方法(目的地の方向や安全により横断方法の選択)を指導します。また信号がある場合は信号判断(車音の判断)の指導も行います。
3.3.6 階段歩行
階段の発見方法や階段の昇降方法を指導します。また高齢のクライアントや歩行バランスが良くないクライアントには手すりを使う方法の指導も行います。
3.3.7 エスカレーター利用
エスカレーターを利用する場合の方法を指導します。
3.3.8 交通機関利用
3.3.8.1 電車利用
ホーム形状(壁型、島型、櫛型等)の説明とホームでの歩行方法を指導します。その上で電車の乗車と降車の方法の指導を行います。さらに電車に乗った場合の車内での犬の管理方法(座席の発見方法、座席での管理方法)も指導します。
3.3.8.2 バス乗降
バスの乗車と降車の方法、バス車内での犬の管理の方法を指導します。
3.3.8.3 乗用車乗降(タクシー)
乗用車およびタクシーの乗車と降車の方法、車内での犬の管理方法を指導します。
3.3.9 繁華街歩行
<写真 繁華街>
車の交通量が多く、また人通りが多い場所での歩行の方法を指導します。特に人通りの多い歩道や道路では人ごみを回避する方法を指導します。
3.4 オリエンテーション訓練
3.4.1 目的地発見
目的地までの安全かつ効率的なルートの組み立て方を指導します。また目的地が特定できるよう、車音や道路形状など周囲の情報を収集する方法を指導します。さらにルートを外れた場合などの失敗したときの回復方法も指導します。
3.5 その他必要な訓練
3.5.1 援助依頼
援助の必要性と必要な時に効率良く依頼できる方法を指導します。
3.5.2 雨天(傘さし)歩行
雨天時の歩行方法を指導します。犬用カッパやコートの着せ方の指導もあわせて行います。
3.5.3 雪道歩行
雪が多い地域に住むクライアントには雪道での歩行方法を指導します。
3.5.4 夜間歩行
弱視のクライアントや夜間の歩行を希望するクライアントを対象に夜間の歩行方法を指導します。とくに網膜色素変性症等で夜盲の弱視クライアントには必要な訓練です。
3.5.5 講義
歩行方法に関する講義、犬の健康と衛生管理に関する講義、盲導犬(歴史や法律)に関する講義等を行って、ユーザーとして知っておくべき知識を身に付けてもらいます。
3.5.6 試験(見極め)
クライアントが共同訓練で指導を受けたことを実践し、犬と安全かつ効率良く歩行できるか、あるいは生活できているかの見極めを行います。クライアントの歩行状態あるいは健康状態に合わせたコースや課題を設定して見極めを行なう必要があります。
(例)
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3.6 使用者証の交付
最終の試験で合格したクライアントには盲導犬使用者証の発行と交付をして、ユーザーとして認定をします。また身体障害者補助犬法で定められた盲導犬の表示(プレート)および身体障害者補助犬健康管理手帳の交付も合わせて行います。
3.7 訓練終了後のフォローアップ
共同訓練を終了し自宅へ帰宅した直後に、実際の場面での盲導犬との生活や歩行のアドバイスを行います。自宅での生活方法や歩行方法あるいは周辺のファミリアリゼーション、各関係機関(市役所、警察署、保健所)への挨拶や担当獣医の依頼などを行います(詳しくはフォローアップの項目参照してください)。
3.8 記録
指導内容や訓練の状況等の記録を取り保存します。
代替クライアントはすでに盲導犬との歩行方法や生活方法を経験しているため、新規クライアントと同じ共同訓練は必要ありません。しかしユーザーとしての基本を再認識してもらうこと、前の盲導犬ユーザー時代に付いた好ましくない習慣などを修正すること、新しい犬の特徴を理解してもらうことなど共同訓練を行う必要性は大きいものです。基本的に2週間という短い共同訓練期間となるので、実用性のある指導を行うことが求められます。
4.1 各課目の再指導
歩行方法や生活方法の基本を再認識できるような各課目の指導をします。
4.2 新しい犬の特徴を指導
今まで使用した盲導犬との違いを説明して、新しい盲導犬の特徴を生かした歩行方法や生活方法を指導します。
4.3 実用性のある指導
訓練終了後すぐに新しい盲導犬との歩行と生活ができるように、訪問による現地訓練など実用性のある指導をします。
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