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盲導犬訓練士養成テキスト

 事業名 盲導犬訓練士養成テキストの作成
 団体名 日本盲導犬協会 注目度注目度5


3 適性評価について
1. 適性評価の目的
 パピーウォーカーから戻ってきた犬が、盲導犬の訓練を始めるにあたって、その犬に盲導犬の適性があるかどうかを性質面および身体面から評価をします。また、適性がある犬に関しては、より細かくその犬のことを知った上で、訓練でどの部分を伸ばし、どの部分を矯正していくのかということへの参考にします。
 このことは、盲導犬の訓練に入る前に適性の無い犬を訓練する労力を省き、性質の良い健康な盲導犬を訓練する確率を上げるためでもあります。もっとも、適性評価で良い結果が得られた犬に関しても、訓練過程の途中で訓練中止ということも充分に考えられます。
 また、適性評価には、パピーウォーカー中の飼育過程も含まれます。
 以下のような犬が盲導犬の適性を持っています。
 
1.1 性質面
A. 健全で陽気な性格であり、動物や人間に対して友好的であること
B. 人間の声に良く反応し、人を喜ばせようとし、人間と一緒にいることを好むこと
C. 他の動物に対して強い興味を示さず、挑発的な行動をしないこと
D. 神経質な面がなく、攻撃的でなく、過剰な支配的性質を有していないこと
E. 優れた集中力と積極性、および環境への順応力があること
F. 乗り物酔いがないこと
G. 警戒心の強い性質でないこと
H. 落ち着いた動作で作業をすることができること
I. 排泄習慣が身についており、適切な場所で命令によりできること
 
1.2 身体面
A. 一般的な最低体高は50cm程度で、体重は犬種により好ましい重さであること
B. 健康体でバランスがとれており、体力があり、歩調が安定していること
C. 外見が良好で、皮毛の手入れが容易なものであること
D. 通常は、生後12ヶ月〜24ヶ月齢で訓練を開始するのが望ましい
 
2.1 警戒(Precaution):
・吠え、唸り
《対象》ドアホーン、来客、家族、犬舎
《状態》唸る、一声吠える、数回吠える、激しく吠える
 
2.2 攻撃性(Aggression):
 遺伝、学習、防御、所有などからくるもの
 
2.2.1 純粋(Pure):
・見知らぬ人などの手出しや行動、あるいは接近に対し特別な状況と受け止め威嚇、攻撃態度を示す
・人の行動を意図的、悪意的にとらえ威嚇、攻撃的態度を示す(排泄の出入りの際、指示的動作に反発したり、餌の時唸るなど)
 
2.2.2 動物に対して(Animal):
・動物(へ)の接近、接触に対し、毛を逆立てあるいは鼻にしわをよせ威嚇、攻撃的態度を示す
 
2.2.3 防御的なもの(Protective):
・動物からの威嚇、攻撃に対し、すぐに反撃的、防御的態度を示す
・叱責に対し唸ったり牙をむいたり威嚇、防御的態度を示す
 
2.2.4 神経質(Nervous):
・叱責や人の突然の動作などに過敏にあるいは粘着的に不安、神経質さを示し、人の手出しなどに攻撃的態度を示す
・犬舎など慣れない場所や狭い場所で自己制御できず威嚇、攻撃的態度を示す
 
2.3 注意力散漫(Distraction):
2.3.1 一般的(General):
・不特定の物事に執着ではないが、ことさら気を散らし、情緒が安定しない歩行をする
 
2.3.2 動物に対して(犬、猫、鳥、その他)Animal(Dog, Cat, Bird, Other):
・繋留された犬への執着、接近、挑発、散漫、興奮の度合い
・散歩中の犬への執着、接近、挑発、散漫、興奮の度合い(追跡)
・放れた犬への執着、接近、挑発、散漫、興奮の度合い(追跡)
・犬舎内の犬への執着、接近、挑発、散漫、興奮の度合い
・猫に対する執着、接近、追跡、散漫、不安の度合い
・鳥などその他の動物に対する執着、接近、追跡、散漫、不安の度合い
・通行人に対する執着、散漫、興奮の度合い
 
2.3.3 臭い取り(Scent):
・草むらの臭いを執着に嗅ぐ(度合い)
・ところかまわず臭いに執着する(度合い)
・特に執着ではないが、すぐに鼻を使う
・排泄痕への執着
・空気中を漂う臭いに対する執着
 
2.4 感受性(Sensitivity):
*感受性は中庸が望ましい
 
2.4.1 音(Hearing):
・平常時の声に対する反応
・中程度の興奮時、他への執着時の声に対する反応
・犬舎内での賞賛、叱責、命令への感受性(敏感→中庸→無視)
 
2.4.2 体(Body):
・愛撫に対する反応(興奮→中庸→無視)
・リードショックに対する反応(軽→中→強)
・静かに頭や体を撫でさせるか(静→動→活発)
 
2.4.3 感情(Temperamental):
・言葉がけや叱責などに対し過敏な感受性を示す
 
2.5 更着(Attachment):
・不安な状態での依存的反応ではないこと
・リード保持者に対し優しく寛大で感情豊かに反応する
 
2.6 不安(Anxiety):
・歩行中周囲の環境の変化におどおどする
・歩行中、リード保持者の動きにピリピリ、オドオドする
 
2.7 猜疑心(Suspicion):
・歩行中、通行入に対し気を許さないような目の動きがある
・歩行中、物体(ゴミ袋、見なれぬ看板など)に対し気を許さないような態度を示す
・犬舎内、リード保持者に気を許さないような
 
2.8 神経過敏(Nervousness):
・与えられたフードを食べようとしない
・排泄所での排泄がスムーズにできない
・他の犬、犬舎、その他新たな環境の変化の中で、目を見開きハーハーと落ち着き無く息をし、または胃液を戻しピリピリ、オドオドする
 
2.9 音シャイ(SoundShyness):
・(突然の)音に対し極端に取り乱した行動をとる
・突然の音に対し不安を示す(逃避的行動→後ずさり→すくむ→びくっとする→低位反応)
 
2.10 集中力(Concentration):
*特にDistractionと関連づけて評価
・Distraction Generalが無い状態
・大きな動揺を見せず黙々と歩行する時間が、ある程度持続する
・リード保持者に注意を向けるが、それは遊び、挑発あるいは依存的なものではないこと
 
2.11 作業意欲(Willingness):
・自発的に喜んで作業に取り組む
・歩行に意欲を見せるが、興奮のみによるものではないこと
・リード保持者に注意を向け、賞賛に対し穏やかに反応する
 
2.12 順応力(Adaptability):
・環境の変化や、リード保持者の変更に対する許容範囲の広さ
 
2.13 興奮(Excitability or Hyper Active):
・体全体をくねらせて喜びを表す状態が、くり返しある(過度のボディーランゲージ)
・突発的な動きが多く、自己抑制できない気質を本質的にもっている
・Concentration、Willingnessの優れた犬であるが、前進意欲の過度反応を示す
・息使いを荒くし、自ら興奮状態を作る、また、声を出すことが多い人、動物の接近、接触、挑発を過剰に期待し、コントロール下に置くために相当の努力を要する
 
2.14 排泄状況
・犬舎内(ケージ内)で
・施設内の決まった排泄場所で
・他の場所の排泄に適した場所で
・リードをつけたままでできる
・人が近くで見ていてもできる
・雨や雪の中でもできる
 
2.15 天候による歩行状態の変化
 
2.16 待機
・人がいる所で、一定の場所で静かに待機できる
・人がいない所で、一定の場所で静かに待機できる
・雑踏の中で、一定の場所で静かに待機できる
・車内で、静かに待機できる
・犬舎内(ケージ内)で、静かにできる
 
0. 問題無し
1. 矯正可能
2. 矯正に近いが不明
3. 矯正不可に近いが不明
4. 矯正不可
L. Low(低い)
M. Middle(中間)
H. High(高い)
 
 以上のような項目を参考にしながら、犬の適性を評価しますが、そのためには多くの犬を見ること、他の人の意見を聞き、自己の洞察力を深くすることが大切です。
 一番大事なことは、目的でも触れましたが、その時の評価だけが真実ではないということです。犬にもその時々の気分や体調もありますし、接し方によっても変ってきます。また、その評価事項が矯正可か不可かという判断も大きく影響してきます。
 
適性評価表(例)
 
氏名 水谷 評価期間 平成15年2月1日〜2月14日
犬名  生年月日 14年1月27日 おす
 
項目   具体的評価内容 分類 評価
体型および外観     特に問題なし
Precaution 吠え ドアホーン・ ・うなる    
うなり 来客・ ・一声吠える    
家族・ ・数回吠える   0
犬舎・ ・激しく吠える    
Aggression Pure 見知らぬ人などの手出しや行動、あるいは接近に対し特別な状況と受け止め威嚇、攻撃態度を示す 0 0
人の行動を意図的、悪意的にとらえ威嚇、攻撃的態度を示す(排泄の出入りの際、指示的動作に反発したり、餌の時唸るなど) 0  
Animal 動物(へ)の接近、接触に対し、毛を逆立てあるいは鼻にしわをよせ威嚇攻撃的態度を示す 0 0
Protective 動物からの威嚇攻撃に対し、すぐに反撃的、防御的態度を示す 0 0
叱責に対し唸ったり牙をむいたり威嚇、防御的態度を示す 0  
Nervous 叱責や人の突然の動作などに過敏にあるいは粘着的に不安、神経質さを示し、人の手出しなどに攻撃的態度を示す 0 0
犬舎など慣れない場所や狭し陽所で自己制御できず威嚇、攻撃的態渡を示す 0  
Distraction General 不特定の物事に執着ではないが、ことさら気を散らし、情緒が安定しない歩行をする 0 0
Animal
(Dog,Cat,Bird,Other)
繋留された犬への執着、接近、挑発、散漫、興奮の度合い    
散歩中の犬への〃(追跡) 1  
放れた犬への〃(追跡) 1 1
犬舎内の犬への〃 1  
猫に対する執着、接近、追跡、散漫、不安の度合い 1 1
鳥などその他の動物に対する〃 1 1
通行人に対する執着、散漫、興奮の度合い 1 0
Scent 草むらの臭いを執着に嗅ぐ(度合い) 0  
ところかまわず臭いに執着する(度合い) 0  
特に執着ではないが、すぐに鼻を使う 0 1
排泄痕への執着 0  
空気中を漂う臭いに対する執着 1  
Sensitivity Hearing 平常時の声に対する反応 H  
中程度の興奮時、他への執着時の声に対する反応 H M
犬舎内での賞賛、叱責、命令への感受性(敏感→中庸→無視) M  
Body 愛撫に対する反応(興奮→中庸→無視) M  
リードショックに対する反応(軽→中→強) M M
静かに頭や体を撫でさせるか(静→動→活発) M  
Temperamental 言葉がけや叱責などに対し過敏な感受性を示す L L
Attachment 愛着 リード保持者に対し優しく寛大で感情豊かに反応する M M
Anxiety 心配 歩行中周囲の環境の変化におどおどする 0  
不安 歩行中、リード保持者の動きにピリピリ、オドオドする 0 0
Suspicion 猜疑心 歩行中、通行人に対し気を許さないような目の動きがある 0  
歩行中、物体(ゴミ袋、見なれぬ看板など)に対し気を許さないような態度を示す 0 0
犬舎内、リード保持者に気を許さないような態度を示す 0  
Nervousness 神経質 神経過敏 与えられたフードを食べようとしない 0  
排泄所での排泄がスムーズにできない 0  
他の犬、犬舎、その他新たな環境の変化の中で、目を見開きハーハーと落ち着き無く息をし、または胃液を戻しピリピリ、オドオドする 0 0
Sound 音シャイ (突然の)音に対し極端に取り乱した行動をとる 0  
Shyness 突然の音に対し不安を示す(逃避的行動→後ずさり→すくむ→びくっとする→低位反応) 1 1
Concentration 集中力 Distraction Generalが無い状態 H  
大きな動揺を見せず黙々と歩行する時間が、ある程度持続する M  
リード保持者に注意を向けるが、それは遊び、挑発あるいは依存的なものではないこと M M
Animal-Scentへの集中ではないこと M  
Willingness 作業意欲 歩行に意欲を見せるが、興奮のみによるものではないこと M  
リード保持者に注意を向け、賞賛に対し穏やかに反応する M M
Adaptability 順応力 環境の変化や、リード保持者の変更に対する許容範囲の広さ H H
Excitability (or Hyper Active) 体全体をくねらせて喜びを表す状態がくり返しある(過度のボディーランゲージ) 0  
突発的な動きが多く、自己抑制できない気質を本質的にもっている 0  
Concentration、Willingnessの優れた犬であるが、前進意欲の過剰反応を示す 1  
息使いを荒くし、自ら興奮状態を作る、また、声を出すことが多い 0 1
人、動物の接近、接触、挑発を過剰に期待し、コントロール下に置くために相当の努力を要する 0  
  天候による歩行状態の変化 0 0
排泄   犬舎内(ケージ内)で 0  
施設内の決まった排泄場所で 0  
他の場所の排泄に適した場所で 0  
リードをつけたままでできる 1 1
人が近くで見ていてもできる 0  
雨や雪の中でもできる 1  
待機   人がいる所で、一定の場所で静かに待機できる 0  
人がいない所で、〃 1  
雑踏の中で、〃 1 1
車内で、静かに待機できる 0  
犬舎内(ケージ内)で、静かにできる 0  
評価基準 0・・・問題なし 1・・・矯正可能 2・・・矯正可に近いが不明 3・・・矯正不可に近いが不明 4・・・矯正不可 L・・・Low M・・・Medium H・・・High
総合評価 適性あり 警戒心や不信感は見られない。 全体的に歩行に対する意欲や集中力が高いが、犬・猫・鳥などに対するディストラクションが少し見られる。 (矯正可能)







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更新日: 2019年7月20日

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