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2 パピーウォーカーについて
 
<写真 パピー>
 パピーウォーカーとは、将来盲導犬になる可能性のある子犬を、生後2ヶ月頃から1歳頃までの約10ヶ月間、家庭で愛情豊かに育てるボランティアのことをいいます。
 子犬は幼犬の時期に十分な愛情をそそいでもらうことによって、人間への信頼が生まれ、家庭での生活のルールも覚えます。また、日常生活上でいろいろな場面を経験させることによって、訓練中に出会うであろうさまざまな場面に対応できる犬になります。
 訓練施設の中の飼育だけでは、1頭の子犬に十分な愛情と社会経験を与えることができません。そういう育て方をした子犬は、社会化も低く警戒心を持つ場合が多くあり、将来盲導犬として人間社会の中で働くにはいろいろな弊害がおこります。せっかく良い資質を持った子犬でも盲導犬として働くには難しくなる場合が多くなります。
 
 全国の盲導犬協会で共通している条件は以下の通りです。
・盲導犬協会の指導に従っていただけること
・子犬の飼育に十分な時間がとれること
・室内で飼っていただけること
・飼育費を負担していただけること
・いろいろな環境に連れ出し慣らすことができること
 また、各盲導犬協会でそれぞれある条件には、次のようなものもあります。
・小学生低学年以下の子供がいないこと
・他に犬を飼っていないこと
・「しつけ教室」に犬を連れて参加できること
・委託中の記録をつけていただけること
 
 預かっていただく子犬には十分な愛情をそそいでいただかなければなりませんが、普通のペットを飼うように甘やかせば良いというものではありません。盲導犬協会の指示のもとで、「将来、盲導犬になるんだ」という気持ちをいつも持ってもらいながらも、あまりのプレッシャーをかけないようにも理解していただく必要もあります。
 また、パピーウォーカーはあくまでもボランティアですから、あまり厳しい指導をしないように気をつけ、楽しく子犬を育てていただけるようにしなければなりません。
 
4.1 2ヶ月〜3ヶ月
 この時期に一番力を入れてもらわなければならないのは、トイレのしつけです。特に根気のいるしつけですし、タイミングも大事ですから、十分な指導をしなければなりません。
 また、子犬は一番かわいい時でもあり、何かで叱らなければならないことがあっても、叱れないパピーウォーカーが多くいます。しかし、この時期から主従関係をはっきりさせておかないと将来困ることになりますので、そのことをパピーウォーカーにわかっていただく指導も大変重要です。
 
<写真 2ヶ月齢程度の子犬>
 
4.2 3ヶ月〜4ヶ月
 大概の子犬はトイレのしつけもできるようになっており、生活パターンも決まってきてパピーウォーカーは少し楽な時期になります。この頃は、歯の生えかわりが始まる頃でもありますので、ガムなどの歯固めを与えるように指導し、家具などの破損がなるべくないようにしてもらいます。
 そろそろ子犬を外に出しての運動が大丈夫な時期になってきますので、運動時のしつけの注意点を事前に指導し、トラブルがないようにします。
 
4.3 4ヶ月〜6ヶ月
 基本的なしつけはほぼすんでおり、子犬を育てる中でも一番楽な時期だと言えるでしょう。しかし、気をつけなければいけないのは、犬社会では4ヶ月以降の犬は子犬時代から幼犬時代に移る時であり、大人の犬の仲間入りをします。従って、子犬は自立心が旺盛になり、リーダーになろうという気持ちが強くなってきます。中には、自分勝手な行動が目立つようになり、反抗期のように言うことを聞かなくなることもあります。
 
<写真 6ヶ月齢程度の子犬>
 
4.4 6ヶ月〜8ヶ月
 雌犬の早いものは発情が始まります。この時期は、外の運動時や他の犬との付きあわせ方への注意点を指導する必要があります。また、雄犬も交配可能になるものもいますので、同様の指導が必要です(盲導犬協会によっては、去勢手術を施します)。
 自立心はますます旺盛になり、今まで聞いていた命令にも従わなくなることがありますので、パピーウォーカーには再度主従関係をしっかりさせてもらう指導が必要になります。
 
4.5 8ヶ月〜12ヶ月
 体力もしっかりしてきて、精神的にもタフになってきますので、できる限りいろいろな経験をさせてもらうようにしましょう。慣れからくる甘やかしもでるようになりますので、パピーウォーカーヘの指導もしっかりします。
 そして、そろそろ別れの時期が近づいていることを、それとなくパピーウォーカーに伝え、心の準備をしてもらうように気を配ります。
 
 パピーウォーカーへの指導は、いかに楽しくかつ指導に従って子犬を育ててもらうかということにあります。育てる家庭がリラックスしていなければ、子犬も神経質になってしまいます。
 指導する側も細心の注意を払って指導にあたる必要があります。実際に全てを見ている状況で指導できる訳ではありません。パピーウォーカーとのコミューケーションを十分にとり、少しでも多くの情報を得て的確な判断と指導ができるよう心がけましょう。特に初めて子犬を預かる家庭には不安感を与えないなど、パピーウォーカーからの信頼を得ることが最も大切になります。







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