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盲導犬訓練士養成テキスト

 事業名 盲導犬訓練士養成テキストの作成
 団体名 日本盲導犬協会 注目度注目度5


4. 眼疾患
4.1 BVA(イギリス獣医学会)/KC(イギリスの犬種団体)/ISDS(国際シープドッグ協会)で認定されている遺伝子疾患
 ラブラドールレトリバー;網膜全剥離随伴性網膜異形成、汎進行性網膜萎縮、中心性進行性網膜萎縮、遺伝性白内障
 ゴールデンレトリバー;中心性進行性網膜萎縮、遺伝性白内障、汎進行性網膜萎縮、多病巣性網膜異形成
 
4.2 BVA(イギリス獣医学会)/KC(イギリスの犬種団体)/ISDS(国際シープドッグ協会)で現在調査中の遺伝子疾患
 ラブラドールレトリバー;多病巣性網膜異形成、色素性緑内障
 ゴールデンレトリバー;遺伝性先天性白内障、原発性緑内障(先天性隅角発生異常)
 
4.3 遺伝子疾患
4.3.1 原発性緑内障(先天性隅角発生異常)
 発症はたいてい中年齢で起こる。隅角鏡検査を使えば生後5〜6ヶ月で隅角異常の有無の診断がつくため、隅角鏡検査はこの疾病を早期に診断、治療できる。
 
4.3.2 多病巣性網膜異形成
 ゴールデンレトリバーでは常染色体劣性遺伝による遺伝性眼疾患。ラブラドールレトリバーでは遺伝性かどうか調査中。多くの場合、明らかな視覚異常を認めないことが多く、6ヶ月以内の子犬では眼底検査のみで判別するのは難しい。
 
4.3.3 網膜全剥離随伴性網膜異形成
 網膜剥離を伴った網膜異形成で、ラブラドールレトリバーでは遺伝性眼疾患であり生後7〜8週令で罹患犬は盲目となる。その他の眼異常、小眼球症、眼球振蕩、白内障、角膜色素沈着、眼内出血および心臓奇形を伴うこともある。ゴールデンレトリバーではその他の網膜異形成として骨格異常を伴うものが報告されており、このタイプでは白内障を伴った完全網膜剥離による視覚消失が生後8週で観察される。
 
4.3.4 遺伝性白内障
 ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーと共に不完全優性による優性形質が疑われる。その他ゴールデンレトリバーでは遺伝性先天性白内障が報告されている。
 
4.3.5 汎進行性網膜萎縮
 夜盲から始まり、症状が進行すると暗がりだけでなく、明るいところでも盲目状態となる。このとき虹彩は散瞳し、対光反射は弱くなる。続発性の白内障を発症することも多い。遺伝形式は単純常染色体劣性遺伝と考えられており、発症はラブラドールレトリバーで3歳以降(4〜7才の発症が多い)、ゴールデンレトリバーで中年齢以降である。常染色体劣性遺伝。
 
4.3.6 中心性進行性網膜萎縮
 検眼鏡で観察できる眼底の異常所見は12ヶ月令くらいからであるが大半は18ヶ月以上である。飼い主は明るいところで犬が思うように仕事ができなくなることで気づくが、一方薄暗いところでの視覚は進行するまで傷害されないことが多い。中心部の視覚が傷害されるが、対光反射は多くの場合陽性で、完全な盲目になることは少ない。
 
4.4 検査の流れ
汎進行性網膜萎縮症
 獣医眼科専門医による眼底検査、および可能であればDNA検査(Optigen)。
 盲導犬として用いる予定の犬、そして繁殖に用いる犬はすべて、毎年度眼科専門の獣医師によって眼検診(眼底検査及び隅角検査)を行なうべきである。および繁殖を計画する際は、PRAに罹患している犬(DNA検査でAA)やキャリア(DNA検査でAa)同士の犬を交配するようなことにならないようにしていくことが大切。
 キャリア同士の親犬から生まれる仔犬の50%がキャリアとなり、25%がPRAを発症する(盲目となる)ことになる。
 なお、眼科検診で可能なのは、診断時点において「正常か」「異常か」のみの判定で、キャリアの判定はできない。
 
Optigen(www.optigen.com)テスト結果
パターン/遺伝子型 リスク 繁殖の可能性 汎進行性網膜萎縮の発症の可能性
A I;正常 どんな犬とも繁殖可能 なし
B II;影響はでない 汎進行性網膜萎縮のキャリア なし
C III;ハイリスク 汎進行性網膜萎縮のホモ遺伝子を持つ 発症する可能性
 
Optigenテストを使用した繁殖モデル   
親1 パターン/遺伝子型 親2パターン/遺伝子型
A B C
A 全てがパターンA 1/2=A 1/2=B 全てがパターンB
B 1/2=A 1/2=A 1/4=A 1/2=B 1/8=C 1/2=B 1/2=C
C 全てがパターンB 1/2=B 1/2=C 全てがパターンC
 
犬種結果
犬種 報告日時 パターンA パターンB パターンC 異常
LR 00/09/30 291(27%) 520(49%) 252(24%) 1,063
 
*ゴールデンレトリバーのDNA検査は現在のところ行うことができない。
 
4.4.2 その他の遺伝性眼疾患
 眼科専門獣医師による1年に1度行なう眼検診眼底検査、隅角検査、眼圧など。
 
 震える、失禁、起立不能、空気を噛もうとするような異常行動、視点が定まらないような状態で空を見つめる、などの発作が30〜60秒、もしくは数分にわたって続く。
 遺伝形態は不明。しかしながら真性(突発性)テンカンは遺伝性が強く疑われている。診断法としては脳波計による脳波診断によって、テンカンが後天的要素によるものか(頭へのケガなど)あるいは先天的なものなのかの診断ができるが、一般的ではない。真性(突発性)テンカンにおいては、通常生後6ヶ月から5歳の間に発症がみられる。
 発作が1ヶ月に一度以上おきるようであれば、フェノバルビタールなどの抗痙撃薬を用いることが多い。治療は生涯にわたるものになり、きちんと日常的にケアをしているのであれば、テンカン発作ではめったに死に至るようなことはない。しかしながら、群発性発作を起こすような犬の場合は治療が難しくなることがある。
 テンカンのある犬は繁殖に用いるべきではない。また、テンカンを一回でも起こしたことのある犬は潜在的にテンカンの要素があると考えるべきで、これらの潜在的な要素をもつ犬同士を交配しないよう細心の注意が払われるべきであろう。
 
 後ろ足の膝蓋骨(人で言う、いわゆる膝のお皿)は通常、膝関節の中央にあるべきですが、その正常な位置に収まらず外れてしまった状態を「膝頭骨脱臼」という。この病気には、内側に外れる「内方脱臼」と、外側に外れる「外方脱臼」があり、小型犬では「内方脱臼」、中・大型犬は「外方脱臼」が多いとされ、外方脱臼は、股関節形成不全が見られる場合に発症頻度が高い。この病気には、外傷性(後天性)と遺伝性(先天性)があり、外傷性(後天性)は、打撲や落下といったことが主な原因になる。遺伝性(先天性)の場合は、出生時点から解剖学的な問題(膝関節の発育不全、膝関節周囲の筋肉や靭帯の異常)があるとされている。
診断:
 膝蓋頭骨脱臼は触診でわかるが、レントゲン撮影により正確な診断ができる。症状は、グレード1〜4まで4段階に分類され、この数字が大きくなるほど重篤である。グレード2以上は外科的手術により修復する必要があると言われている。
グレード1:
 最も軽い程度。この場合、時に無症状であったり、症状が出ても自然と膝蓋骨が正常の位置に戻って痛みもない場合が多い。
グレード2:
 膝関節が不安定で、脱臼した場合に自然と修復されることはないが、指で押し戻して修復(正しい位置に膝蓋骨を戻す)ことが可能。若いうちは特に生活に支障はなくても加齢と共に骨の変形を伴ったり、膝蓋骨を支える靭帯が伸びてグレード3に移行するとされている。
グレード3:
 膝蓋骨が常に脱臼している状態だが、まだ指で押し戻して修復することができる範囲。膝を折り曲げたまま跛行するようになる。
グレード4:
 外れた膝蓋骨を指で修復することはできず、犬はかがみ込むような姿勢で膝を曲げたままの状態で跛行する。
 膝蓋骨脱臼には強い家族性がみられる。遺伝形態は不明だが、劣性ポリジーン及び多病巣性遺伝とする資料もあり、パテラと診断された個体は繁殖ラインから外すべきというのが一般的な見解である。
 
 犬の甲状腺機能低下症は甲状腺それ自分が機能不全で十分な甲状腺ホルモンの産生および維持ができなくなるものである。腫瘍または下垂体の外傷などによる二次的な機能不全もあるが、そのほとんどは原発的あるいは免疫介在性のものである。
 発生頻度が高い犬種のひとつとしてゴールデンレトリバーが含まれており、これらの犬種では臨床症状が2〜5歳に初めて観察される(頻度の少ない犬種では老齢時の疾患の傾向がある。)。これらの種による発生頻度の高さや発症開始が高いことを考えると、遺伝性素因を示唆することができるので、発症頻度の高い犬種の罹患個体を繁殖目的に供すべきでない。
 
甲状腺機能低下症の症状
 行動変化(精神的鈍麻、嗜眠、易疲労性)、肥満(食欲は正常あるいは減少)、体温調節の異常、皮膚症状(毛が乾燥してもろくなる、容易に抜ける、両側性対称性の駆幹の脱毛症、毛刈り後の発毛遅延、子犬のような毛)
 重症例では皮膚肥厚、脂漏症、再発性膿皮症、細菌性過敏症、創傷治療遅延。さらに重症例では叙脈、不整脈が見られる。
 
甲状腺機能低下症の続計(2000.12.31);www.offa.org
  頭数 自己免疫性甲状腺機能低下症 特発性甲状腺機能低下症 疑いあり
ゴールデンレトリバー 287 7.2% 1.0% 18.6%
ラブラドールレトリバー 75 3.9% 1.3% 18.2%
 
 皮膚疾患の中で遺伝性のものは確定されていないが、アトピー性皮膚炎・鼻鏡角化症・全身性毛包虫症は遺伝性・家族性が示唆されている。両者とも皮膚の状態をコントロールしながらペットとして飼育することは可能であるが、作業犬としては不適当である(アトピーでは掻痒を伴う場合が多い)。そのため罹患個体を繁殖目的に供するべきではないと考えられる。
 
<参考資料>
犬の股関節の新しい診断法
陰山敏昭 Surgeon1. 1997 メディカルサイエンス社
犬の遺伝的眼疾患(1)
小林由佳子 JVM Vol.55 No.5 2002 文永堂出版
犬の遣伝的眼疾患(2)
小林由佳子 JVM Vol.55 No.6 2002 文永堂出版
犬の遺伝的眼疾患(3)
小林由佳子 JVM Vol.55 No.7 2002 文永堂出版
Orthopedic Foundation for Animals, Inc.
Optigen Inc. www.optigen.com







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更新日: 2019年5月18日

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