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図8−1 点字ブロックと白杖
 
図8−2 シャンプーとリンスを区別するためにシャンプーの容器につけた凸凹
 
図8−3 プリペイドカードの切れ込み
 
図8−4 手すりに触ってわかる目印をつけているところ
 
図8−5 色のコントラストを意識した階段(岩手県立千厩病院)
 
図8−6 色のコントラストを意識したトイレ(岩手県立千厩病院)
 
図8−7 色の帯があることで開いているか閉じているかが明白な硝子のドア
 
図8−8 フロア毎に色を変えてあるため色でフロアを判断できる(岩手県立千厩病院の廊下・エレベータホール)
 
図8−9 「赤い椅子にどうぞ」というように誘導のため色を変えてある椅子
 
図8−10 食器の配置および配色の1例
 
 バリアフリー商品・ユニバーサルデザインなどの利用とその応用:障害のあるひとに便利なように作られたものがバリアフリー商品です。拡大読書器(図7−3)、点字ブロックや白杖(図8−1)、補聴器、車椅子などがその代表です。ユニバーサルデザインというのは障害のあるひとにも障害のないひとにも便利でやさしいものです。バリアフリー商品の対象は少数のことが多いので高コストになりやすいのですが、ユニバーサルデザインはスケールメリットがありますので低コストですみます。このユニバーサルデザインの代表がシャンプーとリンスを区別するためにシャンプーの容器につけた凸凹(図8−2)です。電話のプッシュボタン「5」やパソコンのキーボードの「F」と「J」などに付いているポッチ(凸)やテレフォンカードなどのプリペイドカードの切れ込み(図8−3)も位置や種類の判別に役立つユニバーサルデザインです。さらに障害のある人個々に応用や工夫の余地があります。触ってわかる目印を手すりにつけること(図8−4)で場所のオリエンテーションがつきやすくなりますし、階段(図8−5)やトイレ(図8−6)、入り口(図8−7)、廊下(図8−8)の配色やコントラストに配慮することは、ロービジョンのかたに限らず多くのかたにとって有用な情報となります。このことから、当院では患者さんを誘導するために敢えて患者さんが座る椅子の色を変えております(図8−9)。最後に、視野狭窄や半盲のかたで食器の場所がわかりにくい場合には時計の位置で説明することが多いようですが、さらに食器の色も考慮し、コントラストの強調に加えおいしそうに演出すること(図8−10)も望ましい配慮であろうと考えています。
 
<参考文献>
1)平塚義宗、小野浩一、金井淳:世界の失明はどうなっているのか. 日眼会誌105:369-373, 2001
2)佐渡一成:眼科領域の再生医療「視覚再生」への取り組みの紹介. 弱視教育39. 15-18, 2001
3)佐渡一成:眼科の検査結果の理解−視力・視野の基礎知識−. 弱視教育37, 28-31, 1999
4)佐渡一成:外来でのロービジョンケア. 眼科ケア3, 1142-1147, 2001







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