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7.2.8 視覚補助具の処方・使用訓練
 視覚補助具には、拡大鏡、遮光眼鏡などの光学的補助具と白杖、書見台、盲導犬などの非光学的なものがあります。光学的補助具は比較的眼科臨床に近いところにあります(それでも普及はいまひとつです)が、非光学的なものも有効な補助具ですので積極的に試みるべきです。処方や使用訓練についてはふれませんが、患者さんが主に使用する補助具の種類・数は多くありません。使用しない補助具は処方しないよう少なくても1週間程度の試用期間を設けて処方は決定すべきです。購入を悩むようであれば処方は急がず見送るくらいでちょうどよいようです。遮光眼鏡(図7−2):羞明(まぶしさ)を訴える方はもちろんですが、まぶしさが見えにくさの中に含まれていることに気づいていない方が多いのです。ロービジョンの方の多くはまぶしさを持っていると考えてまず問題ありません。ロービジョンクリニックの多くで最も処方頻度が高いのが遮光眼鏡です。側方や上方、下方からの光も遮る工夫が必要かどうかも確認すべきです。側方からの光を遮るにはサイドシールド(図7−2)、上方はふちの大きな帽子を併用するのが一般的です。
 
図7−2 遮光眼鏡(サイドシールド付)
 
図7−1 拡大鏡
 
 拡大鏡(ルーペ):手持ち式(図7−1)、スタンド型、眼鏡設置型に分けることができます。手持ち式やスタンド型にはライトが内蔵されているものがあります。レンズの形も丸型の他に長方形のものがあり、長方形のものを好む方も少なくありません。大きいレンズのほうが視野が広くよく見えますが、多少見え方を犠牲にしても携帯に向いた小さいものを好む方のほうが多いようです。その方にとっての、見え方と利便性のバランスが「体の一部」になる拡大鏡処方のポイントです。
 単眼鏡:少し離れた所を拡大して見る(一部の特殊なものを除くと)唯一の補助具です。倍率が高くなると視野が狭くなるため、見たい所を探す練習が必要になります。「よく見えること」よりも「使えること」を優先するくらいがコツです。
 
図7−3 拡大読書器
 
 拡大読書器(CCTV:図7−3):最近はカラーでオートフォーカス、価格19万8千円という機種が増えました。多くの種類の中から常にその方にとってベストの機種を選定するのが理想ですが、実際に多くの機種を準備し使い比べてもらうことは困難です。しかし、準備されているものを使っていただき、それらの中から十分に使えることが確認できたものを選定することで問題はないと考えています。使い勝手の悪い機種が届いたという話が少なくないので、機種の選定、指示などはきっちり行います。CCTVならどれでも可というわけではありません。
 
図7−4 リーディングスリット(罫プレート)とリーディングバー:右はリーディングスリット(白)を用いて新聞のテレビ欄を拡大読書器で白黒反転したところ
 
 タイポスコープ(罫プレート):「読むべき場所」「書き込むべき場所」がわかりにくい、あるいは見失いやすい場合には有効な補助具です。定規などで簡単に代用できることもありますし、厚紙やプラスティック版で容易に作成できます。ちょっとした工夫で有効なケアにつながることが多いのです。(国立函館視力障害センター生活指導専門職の山田信也が作成したものをいただいた)当院のもの(リーディングスリット:図7−4)は表と裏がつや消しの黒と白になっており、CCTVで白黒反転したときでも使い勝手がよいようになっています。さらに作成過程でできた棒状の部分もリーディングバー(図7−4)として重宝しています。
 
図7−5 突起シール
 
 突起シール(図7−5:参天製薬):判別の困難なものに貼り付けることで判別の手助けになります。数種類の点眼ビンの判別、牛乳や酒・ジュースなどの紙パック同士の判別など、ひとそれぞれの用途に使用できます(シールに限らず輪ゴムを巻くなどさまざまな工夫があります)。
 
図7−6 書見台(+スタンド式ルーペ)
 
 書見台(図7−6):倍率や目と目標との距離、作業中の姿勢、作業時間などによって、疲れやすい場合などに適切な書見台を併用することは、結果として疲労を軽減し視覚補助具の処方の成功につながります。







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