近代捕鯨は、別名ノルウェー式捕鯨と言われています。
汽船の船首に大砲を取り付け、弾丸のかわりにロープのついた銛を打ち込みます。命中すると銛の先に詰めた火薬が爆発して、ウィンチでロープを巻き取ることによってクジラを船まで引き寄せるというものです。この漁法によって、汽船を使うので遊泳力のある種類のクジラの捕獲ができるようになりました。
また、スリップウェイというクジラを船に引き揚げるための、滑り台のようになっている甲板が考案されたことで、母船の上で解体ができるようになりました。
このような新しい漁法は、乗組員の安全性と捕獲効率を高めました。
75mm捕鯨砲
展示場所:船の科学館 2階 「船と魚」コーナー
アメリカ式捕鯨の始めは、北米東部海岸です。船に積み込んだ捕鯨用ボートで捕獲したクジラを海の上で解体して、船の上で油をとり樽(たる)に詰めていました。主な捕獲の対象は、脂肪層と鯨油(げいゆ)が多く、捕ったあとに海中に沈まないマッコウクジラです。
最盛期は、19世紀の中頃で、日本近海にも進出しペリー来航の目的の中には、捕鯨船への食糧や水の補給といった捕鯨船団の希望も含まれていました。
約1世紀半に渡って繁栄したアメリカ式捕鯨は、南北戦争の勃発(ぼっぱつ)による港湾封鎖、ペンシルバニアでの石油発見による鯨油の価格暴落、カリフォルニアのゴールドラッシュによる労働力の減少、乱獲によるクジラの激少などにより衰退(すいたい)しました。
イラスト:薮内正幸
日本でも古くから鯨を利用してきました。ヤリで鯨を突いて捕る方法が長く行われてきましたが、延喜7年(1975)にクジラを網に絡めてからモリで突いて捕る、網取式捕鯨が考案されました。
この方法を使うことで、大型のクジラを捕まえられるようになりました。また、網に絡めてあるので、死んだ後に沈んでしまうザトウクジラなども捕獲対象になりました。この業漁は、クジラに網を絡める舟・クジラを岸まで運ぶ舟・陸上で解体する人・舟や銛の修理をする鍛冶屋(かじや)や大工など、総勢700人近い大集団であったと言われています。
19世紀半ばになると、日本の沿岸にもアメリカの捕鯨船が進出してきたことで、沿岸でクジラを待って捕るこの漁法は、急速に衰退していきました。
展示ケースの中に絵巻があります。見てくださいね。
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