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クジラは何で、水中で生活できるの?
 クジラは、私たちと同じ哺乳類なので、酸素は空気中からとらなくてはなりませんが、食物は水中で捕っています。そのため、クジラの体は水中生活に適応した進化をしました。
 水中生活への適応の第一歩は体温の保持と遊泳能力です。海水の温度は熱帯でも、30度以下と体温(37度以内)よりも低い温度となっています。
 次に、水中で食物を捕るためには泳ぎの名手でなくてはなりません。そのために、クジラの体型は、泳ぐのに適した紡錘(ぼうすい)型です。
 また、この体型は体温の保持にも役立っています。体の表面積が少なくなる分、熱を取られないからです。さらに、クジラは呼吸回数を少なくしたり、表皮のすぐ下に多量の脂肪を貯蔵して熱を遮断し、体温の低下を防いでいます。
 
水の抵抗が少ない体型をしています。
 
クジラの年齢はどうやって調べるの?
 大型のクジラが一体どれくらいの寿命を持つのか?これは長い間大きな謎でした。大洋に生きるクジラを継続して観察することができないので、寿命を知ることができなかったのです。
 ヒゲクジラ類の年齢は、外耳道に詰まっている耳垢栓(じこうせん)というワックス質が手がかりです。この栓を縦に切ると縞模様があり、縞の明るい色と暗い色が1組で1年をあらわしているので、これを数えることで年齢が判ります。
 ハクジラの場合は、歯を縦に切ると縞模様の成長層というものがあり、この層は幅の狭い透き通った部分と幅の広い不透明な部分でできていて、この1組の層が1年分なので、これを数えることで年齢が判ります。
 
ミンククジラの耳垢栓です
写真所蔵:(財)日本鯨類研究所
 
クジラはどこで眠ってるの?
 クジラが水面に浮かんで眠ることは、かなり前から知られていました。なかには、水面でウトウトしているうちに、船に衝突(しょうとつ)されてしまったマッコウクジラもいます。
 飼育されているマダライルカやマイルカ、野生のバンドイルカなどでは泳ぎながら眠る姿が観察されています。数頭が一緒になって、ゆっくりと小さな円を描いて泳ぎ、何十分か回転した後、逆方向に泳ぎます。
 水中に潜って眠る場合は1〜2分おきに水面で呼吸して、再び潜って眠るというごく短い眠りの連続のようです。また飼育されているクジラでは、同じ場所で浮いたり沈んだりしながら眠っているものもいます。
 







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