クジラの鼻の位置は、長い時間をかけて頭の上の方に移動してきたと言われています。この鼻の位置は、水面に浮かんだときに、最初に水面に出やすい場所になっています。鼻の場所は、水の中で暮らすためのクジラの体の大きな特徴のひとつです。
鼻の穴は、普段は強い筋肉で引っ張られて閉じていますが、呼吸のときだけ筋肉が緩んで鼻の穴が開かれます。このため、クジラは水の中に入っても、溺れる(おぼれる)ことはありません。
ハクジラ類の鼻は鼻道が左右2つありますが、穴の近くでつながっているため、鼻の穴は1つです。ヒゲクジラ類の場合は鼻の穴は2つで、呼吸のために穴を開いた時に見ると、ハの字型で人間の鼻によく似ています。
写真所蔵:(財)日本鯨類研究所
クジラが海岸に打ち上げられるというのは、世界各地で見られることです。クジラの座礁には大きく分けると、病気や怪我(けが)で弱ったクジラが打ち上げられる場合と、元気なクジラが自分から座礁してしまう場合と2種類あります。
元気なクジラが座礁してしまうのはなぜでしょうか?これには色々な説があります。
クジラは、超音波で周りの様子を探って泳いでいますが、遠浅(とおあさ)の砂地ではこの機能が狂って座礁してしまうという説や、群れがパニックを起こした場合や、磁気の異常によるものなど様々な説がありますが、まだまだわからないことがあります。
マッコウクジラの集団座礁 写真所蔵:石川創氏
クジラはその全生涯を水の中で過すので、当然出産も水の中で行われます。近年、飼育技術の進歩や飼育環境の改善によって、多くの水族館や研究所でハクジラ類の出産が観察されるようになりました。
哺乳類のうち、通常1度に1頭の子を産む種類では、生まれてくる子は頭から先に出てきます。しかし、クジラの子は出産後すぐに水面まで泳いで呼吸しなければなりません。そのため、クジラの子は尻尾から先に生まれてきます。頭から先に水中に出ると、溺れる(おぼれる)恐れや産み出されたときの勢いで深い方に向かって泳いでいく危険があるからです。
よりそって泳ぐクジラの親子 |
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