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クジラとイルカはどこが違うの?
 クジラとイルカは、学術的には同じグループに入ります。クジラとイルカの違いは、簡単にいえば大きさが違うだけです。
 大体3.5〜4メートルを基準にして、体長がそれよりも小さいものをイルカ、大きいものをクジラと呼んでいます。このクジラとイルカの区分の基準は、日本でも欧米でも同じです。
 学術的な呼び方をした場合、ハクジラ類にはクジラと呼ばれるものとイルカと呼ばれるものと両方がいますが、ヒゲクジラ類の中にイルカと呼ばれるものはいません。
 つまり、イルカは小型のハクジラ類ということができます。
 
「日本近海に住む鯨類」のパネルを参考にしてください。
 
クジラの種類−ハクジラについて
 クジラヒゲを持つクジラに比べて、歯を持つクジラの種類は多く、6科66種を数えます。ハクジラの歯は、犬歯や臼歯(きゅうし)といった区別がありません。また、一度はえてしまうと抜けかわることがなく、成長しつづける種類もいます。
 ハクジラの歯は、種類によって餌(えさ)を捕まえる(つかまえる)ことに使ったり、餌を噛み(かみ)切ることに使ったりまた、戦いの武器としてなど種類によって使われ方が違います。
 
シャチの歯
写真所蔵:石川創氏
 
マッコウクジラの歯
写真所蔵:(財)日本鯨類研究所
 
クジラの種類−ヒゲクジラについて
 クジラヒゲを持つヒゲクジラ類には、3つの科があり合計10種が生息しています。
 このクジラの仲間は、胎児の時には歯がありますが、生まれてくるときには消えてしまい、代わりにクジラヒゲを持つようになります。このクジラヒゲは、種類によって色や枚数が違います。
 クジラヒゲは、歯ブラシみたいになっていて、弾力性があります。ヒゲは中世から近世にかけて、コルセットやかさの骨などに使われました。
 ヒゲクジラは、大漁の海水と一緒に飲み込んだ動物プランクトンや魚を、クジラヒゲでこして食べています。
 
白いのがクジラヒゲです
写真所蔵:(財)日本鯨類研究所
 
クジラは海水が飲めるの?
 海にすんでいるクジラは、のどが渇いたとき、海水を飲んでいるのでしょうか。
 動物は体重の約70%が水分でできていて、そのうちの10%を失うと生命が危険な状態になります。
 クジラは、海水を飲むことはできません。海水の方が体液より濃度が濃いので、体から水分が奪われてしまうからです。そのかわり、クジラは水を失わないように工夫しています。
 体から水分が失われる原因は、発汗(はっかん)・呼吸・排泄(はいせつ)の3つです。クジラには汗腺(かんせん)が無いので汗はかきません。また、呼吸も洋上の空気は湿度が高いので、失われる水分量は少なくてすみます。最後に排泄についてですが、クジラの腎臓(じんぞう)は効率よく、これによって余分な塩分を排泄しています。
 
食べるときも海水を飲み込まないようにしています。







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