2.3 角度の測定器
1)直角定規
一般に用いられるスコヤは角度90°の測定器である。
2)角度ブロックゲージ
普通のブロックゲージは直角を基準としたものであるが、角度ブロックゲージは組合せにより色々な角度を作り出すことができる。
3)水準器
線や画の水平角度を点検する測定器として広く用いられている。
4)クリノメータ
傾斜角計と呼ばれるもので傾斜角度を測定する。
5)テーパの簡単な測定法
2個の適当な内径の異なるリングゲージをテーパ棒にはめ、リングゲージの間隔を測ればテーパは簡単に求められる。
またテーパ穴については適当な外径の異なる2個の円板ゲージをテーパ穴にはめ込み、円板ゲージの間隔を計測することによりテーパは簡単に算出できる。但し、この方法ではゲージの面をつぶさないようにする。又、軸に対して直角にはめ込むなどの注意が必要である。
2.4 重量の測定器
重量はそれ程、精密さを要しないため普通の秤、又はばね秤などを用いて計量する。
2.5 時間の測定器
時計又はストップウォッチなどを用いて行う。
2.6 温度の測定器
1)アルコール膨張温度計
一般に室温、冷却水温、油温などの温度計測に用いる棒状温度計である。この温度計はアルコールを封入したガラス製であり、−20℃〜100℃の範囲内にある気体、液体の温度を測定する最も簡単なものである。
2)水銀膨張温度計
排気ガスや給気温度など高温測定用に用いられ、石英ガラス管内に窒素又は炭酸ガスなどを封入したものであり、一般に棒状形で最高750℃程度まで測定できる。
3)熱電対温度計
クロメルーアルメル(C−A)、鉄−コンスタンタン(I−C)など異種金属の2線を両端で接合し一方の接合部を測温部に置くと、線間に起電力が発生する。
この起電力の大きさを知ることにより温度を測定するものである。その概要を4・11図に示す。
測定温度はC−A線の場合、1,600℃程度までI−C線の場合は800℃位までの測定ができる。一般に感温部は被覆して用いることが多い。市販の携帯式デジタル温度計などはこの形式の温度計であり、測定温度は、一般に−100〜1,000℃程度となっている。
4・11図 熱電対温度計
4)表面接触温度計
銅−コンスタンタン(C−C線)の、一般に用いられる熱電対温度計であり、軸受メタルなどの表面温度を計測する場合に用いられ、通常は−100℃〜300℃の範囲の温度測定ができる。
5)ブルドン管式温度計
感温部に適当な液体を入れておき、導管で計器のブルドン管へ連結しておく。感温部の温度が上昇すると液体は熱膨張し、導管を通ってブルドン管を伸して温度計の指針を振る。冷却水温度計として用いることが多い。
2.7 回転速度および回転数の測定器
1)ハスラ形回転計
4・12図にハスラ形回転計の外観と構造を示す。始動ボタンCを押すとバネDにより時計機構が作動し、一定時間(約3秒間)だけスピンドルの回転が指針に伝わり1分間当りの回転数を示すようになっている。接触輪をスピンドルの先端に付けることにより円周速度(m/min)も測定しうる。原理は積算時間を一定とし直接指針で回転数を読み取ることができるようにしたものである。測定に当ってはスピンドルの中心を回転軸の中心に合せスリップのないように軽く押し付け保持しながら測定する。
4・12図 ハスラ形回転計
2)タコメータ式回転計
瞬間速度を連続して指示するもので構造が比較的簡単であるが広範囲の回転速度を正確に示すことは若干無理があり回転範囲により5〜10%程度の誤差を伴うのが一般的である。小形機関の計器盤などに回転計索をもって連結し、連続的に回転速度を示すようにしていることが多い。
一般的に用いられているタコメータ式回転計はハスラ形の積算時間を短くし、その示度を瞬間速度に近づけ連続的に示すようにしたものである。
3)電気式回転計
発電機を測定軸に連結し発生した電圧を測定し、回転速度を読めるようにしたものであり最近は交流式発電機が多く用いられている。発電機の発生電圧および周波数は磁場の強さが一定していれば回転数に比例する原理を応用したもので誤差は1%以内で比較的精度の高い回転計と言えるが200min-1(rpm)以下の低回転域では指針の振れが大きく実用にはならない。中形機関以上の回転計として広く用いられている。
4)短時間計式回転計
別名計数器式回転計と呼ばれるもので瞬間的な短時問における平均回転速度を連続指示するようにしたもので、実験室などで広く用いられ、その精度も高い。測定軸に突起を設けた鉄製円板を取付け、これに近接して磁極を配し、電気的パルスを発生させる。一方水晶発振器などを用い、定間隔で発生するパルスに入る電気パルスの数より回転数をデジタル式に表示させるようにしたものである。
5)光電式回転計
携帯用の簡便で精度の高い現地用の回転計として広く利用されているもので、フライホイールなどの回転体の外周面にスコッチテープを貼付け、これに光を当てて反射させ電気的にその回転をデジタル式に表示するようにした回転計である。スコッチテープの貼付個所に正しく近接して光を当てさえすれば比較的正確に回転数を表示するので航走試験を始め現地において最も多く用いられる。
2.8 比重の測定器
比重測定は主にバッテリ電解液、燃料および潤滑油などに多く使用されるものである。以下に比重測定器について説明する。
1)目盛浮秤
これは電解液、燃料などの比重測定に広く用いられているもので、4・13図に示すようにガラス又は金属製の管の下部に膨らみを設け、底部に水銀又は鉛などの錘を配し、液中で直立するようにし、液面に接する管上の目盛からその液体の比重を読むようにしてある。
一般にボーメ比重計と呼ばれるもので液体の種類に応じて専用の比重計があるのでそれを用いる。殆んどは大きなスポイトの中に比重計が納められ、液を吸い上げ測定する。バッテリの電解液は水より比重が重く、燃料や潤滑油などは水より比重が軽い。なおこれら液体の比重は温度により変化するので基準温度における値をそれぞれ定められた換算式により算出して用いなければならない。
4・13図 比重計
(a)バッテリ電解液
S20=St+0.0007(t−20)
St:t℃の時の計測比重
S20:20℃の時の比重
t:電解液の温度(℃)
(b)燃料と潤滑油(水より軽い場合)
d:15℃の液体の、水15℃に対する比重
B:測定比重(ボーメ度)
2)バッテリクーラントテスタ
バッテリクーラントテスタは不凍液の凍結限界温度、不凍液の濃度およびバッテリ液の比重を、すばやくチェックすることのできるハンディタイプの測定器である。
〔特徴〕
(1). わずか1滴の液で測ることができる。
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4・14図 バッテリークーラントテスタ
(2). 数秒の簡単な操作で測ることができる。
(3). 不凍液の凍結限界温度、濃度を直接読み取ることができる。
(4). バッテリ液の比重がすぐわかる。
(5). 溶液の濃度に対して±0.2%という正確さをもっている。
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