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2.9 圧力の測定器
1)圧力の実用単位
 最も広く用いられている単位はkgf/cm2またSI規格ではPaであるが大気圧などはatm、水銀柱mmHg、バールなどで表わし、排気圧などは水柱mmAqで表わす。
 これらの諸単位の関係は4・1表に示す通りである。
 
4・1表 単位換算表
  pa bar kgf/cm2 atm mmHg
1Pa 1 1×10-5 1.01972×10-5 9.86923×10-6 7.50062×10-3
1bar 1×105 1 1.01972 9.86923×10-1 7.50062×102
1kgf/cm2 9.80665×104 9.80665×10-1 1 9.67841×10-1 7.35559×102
1atm 1.01325×105 1.01325 1.03323 1 7.60000×102
1mmHg 1.33322×102 1.33322×10-3 1.35951×10-3 1.315791×10-3 1
 
2)マノメータ
 測定する気体の圧力を液体柱の作る圧力と釣合わせて測定する圧力計であり比較的小さな圧力差を測定するために用いられる。構造は4・15図に示す通りで、U字管のガラス管又はビニールパイプに、あらかじめ液体を入れておき一方は測定する気体に連結し、用いられる液体には水銀又は水などが多く用いられ、水銀の場合のU字管はガラスで製作される。大気圧や過給機による給気圧などは水銀マノメータを用い、排気圧は水柱マノメータにより測定する。他方は大気へ開放する。
 
4・15図 マノメータ
 
 排気圧などの測定には高熱により、ビニールパイプが溶けぬよう、導入管には銅管などを用いてマノメータヘ接続する。
 
 水柱の場合はO.1MPa≒1kgf/cm2=1×104mmAq=10mAqである。
 
3)ブルドン管式圧力計
 気体や液体の圧力をブルドン管の弾性変形による応力と釣合せ、その歪みの大きさによって圧力を測定する。一般に圧力計(ゲージ)と呼ばれ広く用いられている。
 4・16図はブルドン管式圧力計の内部を示すものであり、圧力計の取付けネジ部へ測定流体をパイプで導くとブルドン管はその圧力で矢印方向へ拡げられる。これによって指針が動き圧力を指示するのである。この形の圧力指示は大気圧は示さず流体の有する圧力を示す。そのほか弾力性を利用したものにベロー式やダイヤフラム式などの圧力計がある。大気圧以下の圧力計を一般に真空計という。
 
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4・16図 ブルドン管式圧力計
 
4)電気抵抗圧力計
 金属の電気抵抗が圧力によって変化することを利用した圧力計であり、比較的高圧用の圧力計として用いられ、その誤差は0.1%以内で精度の高いものである。
 
5)圧電気式圧力計
 適当な方向に切った水晶板をセンサとし、流体の圧力を加えると電荷を生ずるのでこれを電気計で測り圧力計に指示するようにしたものである。一般に電気式圧力計として多用されている。
 
6)指圧計(インジケータ)
 シリンダ内の燃焼ガスの圧力を測る計測器であり各種のものがある。いずれもインジケータコックに取付け、必要な時にシリンダ内の爆発圧力を計測する。
 4・17図a)は和田式指圧計でありシリンダ内のガス動圧を記録紙に示すようになっており、その他に平均ガス圧力や最高ガス圧力などを測定する指圧計がある。
 4・17図b)は長野式指圧計でありディーゼル機関の燃焼ガス最高圧力、圧縮圧力などの測定に使用される。
 
4・17図 指圧計
 
7)圧縮圧力計(コンプレッションゲージ)
 ディーゼルコンプレッションゲージはエンジンのシリンダ内の圧縮圧力を測定するために使用される。新品に比較して20%以上圧縮圧力が低下した場合は、機関の圧縮圧力を回復すべく機関を整備しなければならない。コンプレッションゲージのアダプタは各種のものがあり、それを使いわけて測定する。4・18図にゲージアダプタを、噴射弁ホルダ取付けフランジを利用して取付けた状態を示す。
 
4・18図 圧縮圧力の測定
 
注(1)測定を確実にするため、各シリンダとも2回以上の平均値をとる。
(2)ゲージを取付ける前に、必ずエンジンの油温を正常な温度に上げておく。
(3)バッテリが放電していると、必要な回転が得られないので注意する。
8)ラジエータキャップテスタ
 圧力キャップの作動圧力の測定および清水タンクの内部の水洩れ調査等に使用される。外観を4・19図に示す。
 
4・19図 キャップテスタ
 
 
2.10 粘度の測定器
 燃料の粘度や潤滑油の粘度などは下記の粘度計を用いて測定する。
 
1)レッドウッド粘度計
 一定温度に於ける液体50ccが流出するに要した時間(秒数)をもって粘度を表わし、これをレッドウッド秒と呼ぶ。
 
2)セイボルト粘度計
 潤滑油用と燃料油用があり、一定温度に於ける試料60mlが流出する時間(秒数)をもって粘度を表わし、これをセイボルト秒と云う。







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