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5)ハクリ
 軸受の破壊の終局的な段階はハクリである。ハクリは合金が裏金から分離することであるから、疲労も焼付も最終的にはハクリの状況になる。従って、ハクリ状況になっている軸受を観察して、原因が何であるかを調査するとき、三つの場合に当面する。
(1)疲労が原因でハクリした場合(一部の焼付を含む)。
(2)焼付が原因でハクリした場合(一部の疲労を含む)。
(3)軸受の裏金と合金との接着力が弱いためにハクリした場合。
 (1)、(2)の場合は、それぞれ疲労、焼付と解釈し、ハクリとしない方が、分類上便利である。
 (3)の場合だけがハクリと解釈すると、ハクリは常に軸受事態の品質にだけ要因がある。
 
補・26図 ハクリの例
 
 
合金ハクリ部拡大
 
6)腐食
 腐食は軸受の合金面の穴となって表われる。ピンホール状の小さい穴が散在するものから、これらが密集発達して、やや大きな穴となるものもある。
 軸受合金は材質によって腐食に対する抵抗の度合が異なる。アルミニウム錫等を素地とする合金は腐食し難く、銅、鉛を素地とする合金は腐食しやすい。したがって銅鉛合金は鉛やインジュウを含むことにより耐食性を改善したオーバレイによって合金の耐食性をカバーする対策もとられる。
 腐食は化学現象と考えられるが、「スキマを小さくすると表面の剪断応力の繰り返しにより表面から損傷が起るので、腐食によって損傷がはなはだしくなる。特に耐食性の劣る銅鉛合金でいちじるしい」という説は注目に値する。
 
補・27図 腐食の例
合金腐食外観
 
 
腐食部拡大
 
 
腐食部断面組織







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