2)負荷変動
(1)オーバロード
負荷が大き過ぎる時は、回転低下を生じ、不安定な運転状態となり、回転不整となり易い。負荷を減少して様子をみることが必要である。
(2)摺動部焼付き
摺動部が軽い焼付やスカッフを生じると、回転が整定し難くなり、不安定な運転状態となる。
(3)クラッチスリップ
クラッチがスリップを生じると回転が上昇し、スリップが止まると、回転が低下し安定した運転ができなくなると共に、潤滑油の温度が上昇し、焼け焦げた異臭を生じる。トローリングや定速弁を操作する時は、機関回転を最低速に落して行なうので、殆ど異臭を感じることは余りない。
(4)負荷変動大
負荷の変動が激しい時は、それに応じてガバナが機能するため、機関の回転が整定しない。
3)ガバナ故障
(1)変動率の調整不良
ガバナの速度変動率の調整を鋭敏にし過ぎると、わずかな負荷変動に対しても、敏感に察知して対応するため安定した回転が得られ難くなるので、以下に示す通り速度変動率を調整しなければならない。
一般的な速度変動率の調整範囲
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発電機セットの場合 |
・ |
一般動力用の場合 |
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瞬時速度変動率 |
10%以下 |
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瞬時速度変動率 |
15%以下 |
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整定速度変動率 |
5%以下 |
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整定速度変動率 |
7%以下 |
a)メカニカルガバナ(RSV、RSUV形)
高負荷時の回転不整は、ガバナスプリング力が弱いので発生するから、スイベルレバーのアジャスティングスクリュを締め込み、バネ力を増す。締め過ぎると変動率が悪化するので、規定内に入るように調整しなければならない。この調整後は、無負荷最高回転速度の調整を行なわなければならない。
b)メカニカルガバナ(RUV、RQUV形)
上部のプラグを外し、フライウエイトのアジャスティングスクリュを時計方向へ回して、バネ力を増すと、速度変動率は鈍化して、ハンチングが止まる。
フライウエイトは、2個あるので、両方共に同量づつ均等に締め付けて調整する。最後に無負荷最高回転速度を調整する。
c)油圧ガバナ(PSG、RHC、UG形)
ニードルバルブの調整不良、汚れた油や気泡を含んだ油、パワーピストンの固着、内部部品の摩耗、ドレン孔の詰まりのほか、速度ドループの調整不良などである。
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速度ドループは、ガバナカバーを開き、次図に示す速度ドループブラケットの位置を、スライドして調整する。ブラケットの支点ピンが、出力軸中心線と一致した所が零ドループであり、通常は、適度な正のドループ(支点ピンがパワーピストン側へ移動している状態)。又、零ドループに近いか、負のドループになるとハンチングを生じる。
速度変動率を小さくし安定した運転ができるように(発電機セットの場合)調整し、客先要求を満足させる。
d)電気式ガバナ(EG形)
ゲインを増(時計方向へ回す)せば応答が鋭敏となり、回転が不安定になってくるので、スタビリティで回転を安定させる。ゲインは、出来るだけ時計方向へ回し、回転が不安定になる手前で止め、負荷を段階的に変化するか、スピードコントロールレバーのリンクを素早く動かして点検し、不安定ならばスタビリティを回して調整する。スタビリティで安定が得られぬ場合は、ゲインを反時計方向へ戻して、スタビリティで安定させる。
但し遅い周期の、ハンチングの時は、ゲインを時計方向へ回し、スタビリティで安定させる。
e)電気式ガバナ(DINA−1形)
下図は、カバーを外した内部を示す。Aの調整は無負荷状態で、アクチュエータが急速に振動(ハンチング状態)するまで、徐々に時計方向へ回し、ハンチングが止まるまで、反時計方向へ戻す。ハンチング状態のまま使用すると、アクチュエータが故障することがある。
アクチュエータのハンチングが止まらない時はゲインを徐々に反時計方向へ回して止める。
ゲインは通常、時計方向へ回し、ハンチングを始める手前で止める。
ゲイン、A、Dの各ポテンションメータのセットが完了したら、電源スイッチをOFFにして、機関回転速度が約1/2程度に低下したところで、再び電源スイッチを入れる。
機関回転速度が、セット回転より、オーバシュート(回転が高くなる)するならば、Iを反時計方向へ回して、セット回転を得られるようにする。
セット回転へ戻る時間が長過ぎる時は、Iを時計方向へ回す。
これらは全て無負荷状態で行ない繰返し調整すること。
A、D、DROOP、GAINを調整することによって、回転速度のセットが若干変化するので、SPEEDポテンションメータで正確に回転速度を合せる。
この時、DROOPが上記の調整時より、増加(時計方向)している場合は、Aを若干反時計方向へ回し、GAINをわずかに時計方向へ回して安定させる。
(2)主要部の摩耗(メカニカル式)
(1)ガバナスプリングのへたり
(2)フライウエイトピンの摩耗
(3)スリーブなどの摩耗
(4)ベアリングの摩耗
(3)油圧ガバナ不良
(1)ガバナ出力軸へのリンク不敵
(2)潤滑油のドレンポート閉塞
(3)ニードル弁の開けすぎ
(4)バッファスプリング不良
(5)主要部品の摩耗及び不良
4)シリンダの圧縮不良
(1)バルブシート不良
バルブガイドの摩耗、シート面のカーボン噛み込みなどにより、ガス吹抜けを生じると、圧縮もれを起こし、燃焼不良や着火ミスとなり、燃焼のバラツキを生じて、ハンチングを起こす。
(2)ピストンリング摩耗
ピストンリングが摩耗すると、オイルコントロールが悪化して、摩耗が促進すると共にオイルアップによる、潤滑油消費量が多くなる。同時にガスもれや圧縮もれを生じ出力が低下して、各シリンダ間のバラツキが大きくなり、ハンチングを起こすことがある。
(3)シリンダライナ摩耗
ライナが摩耗又は偏摩耗すると、ピストンとのスキマが多くなり、ピストンリングの摩耗同様に、ガスもれ、圧縮もれのほか、オイルアップを誘発して燃焼不良となり、各シリンダ間のバラツキが大きくなって、ハンチングを発生する
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