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3)燃焼のバラツキ
(1)ノズルの噴霧不良
 ノズルの噴霧状態が悪化すると、各シリンダ間の燃焼にバラツキを生じ、ハンチングを起こすことがある。
(2)噴射ポンプ不良
 デリベリバルブ及びプランジャなどが摩耗損傷した場合は、噴射量のバラツキや、あとだれによる燃焼不良を生じてハンチングすることがある。
(3)噴射量調整不良
 各シリンダヘ送られる噴射量の差異が大きくなるとハンチングを起こすことがあるので、列形ポンプの場合は各シリンダの噴射量差異が許容値内に入るようにポンプテストスタンドで調整しなければならない。
 ユニット式の場合は、各シリンダのヘッド出口排気ガス温度が、定格負荷運転時に30℃以内に入るように噴射量の微量調整をしなければならない。
 
4)リンクの作動不良
(1)連結リンクの不良
 直列機関の場合は、リンクのこじれ、曲がり、ピンの摩耗などにより、連結リンクの作動が円滑に動かなくなると、ハンチングを起こすことがある。曲りやこじれ、ピンなどの摩耗によるガタを修正しなければならない。
 また、V形機関の場合は左右の連結リンクが曲ったり、こじれにより円滑な作動ができなくなると、噴射量がアンバランスとなり、ハンチングを起こすことがある。曲がりやこじれなどを修正し、連結リンクを取付ける場合は、右側のガバナ付噴射ポンプのコントロールラックを、一様に押し込み(無噴射状態)、左側の噴射ポンプのコントロールラック(常にバネにより引き戻されて、無噴射状態となっている)の連結リンクピン穴を、ターンバックルを調整して合せ、ロックナットで固定してから、連結ピンを挿入して連結する。この時、ピン穴にわずかのずれがあると左右のコントロールラックの動きに差異ができるので、ピン穴にずれが生じないように、ターンバックルを調整しなければならない。
(2)ユニットポンプ
 軸やリンクが曲ったり、こじれたりすると円滑に作動できなくなるので、ハンチングを起こすことがある。
 曲がりやこじれなどを修正し、円滑な作動ができるように修正しなければならない。
 各シリンダのコントロールラックと軸をリンクで連結する時は、軸が回転しないように、ストッパを差し込んでおくとやり易くなる。
 またスピードコントロールレバとリンクを連結する時は、コントロールレバを停止位置に固定し、リンクの連結ピン穴をターンバックルで調整して合わせ、ピンを挿入して連結する。
 
5)ガバナの故障
(1)スプリングの摩耗へたり
 ガバナスプリング、低速バネ、アイドリングサブスプリングなどに、へたりを生じた場合はハンチングを起こす。RSV、RSUV形の場合はスイーベルレバのアジャスティングスクリュを締め込んで調整するが、その他のものは、ガバナスプリング(低速バネ)を交換するかシムにて調整しなければならない。
 アイドリングサブスプリングの場合は、ネジを若干締め込んで調整する。
(2)ウエイトピン等の摩耗
 フライウエイトのピン部が摩耗すると、ハンチングを起こす。またスリーブやベアリングなどが摩耗すると円滑な作動ができなくなり、ハンチングを起こす。
 特にフライウエイトが大きな場合は、ピン部の摩耗が早くなるので、ハンチングを生じ易いので注意しなければならない。
(3)油圧ガバナの不良
 専用濾器エレメントの目詰り、ニードル弁の開け過ぎやパワーピストンの作動不良、その他各部の摩耗損傷のほか、ドループ調整時に変動率を小さく鋭敏にし過ぎた場合に、ハンチングが発生し易くなる。







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