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1級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


4)配管工事
(1)配管計画
 艤装配管工事の中で最も重要な作業の1つは配管計画である。機関室内部の構造に合わせて機器配置を決め配管設計をするが、実際面では図面に表れていない点で色々と注意を払わなければならない点が出てくるものである。
 各機器各装置の配管工事と云うのは単にパイプを継なぐだけでなく適正な材料を選び充分な耐振構造にすると共にパイプ内部にはスケールや錆、ごみ等のない正常な状態に仕上げるまでの一切の工事を含むものなのである。パイプ内部の極微量のごみや水分でも装置の機能に著しく影響するし、配管の耐振性や修理の容易なことも要求されるので配管計画の上手下手によって作業の難易、工数の多少に大きく影響するものであり、もし計画が良くない場合には各機器が正常に働かなくなる恐れすら出てくるものである。
(2)配管材料
 流体の種類及び耐圧強度によって一般的に次の材料(5・1表参照)が使用される。
(1)配管用炭素鋼鋼管・・・通称ガス管
 比較的低い使用圧力(1MPa(10.2kg/cm2)以下)のポンプ吸込み側や、背圧のあまりかからないタンクの戻り側に使用される。
 亜鉛メッキの有無によって、白管、黒管に区分される。
(2)圧力配管用炭素鋼鋼管
 使用温度350℃程度以下、使用圧力10MPa(102kg/cm2)以下で使用する。
(3)高圧配管用炭素鋼鋼管
 5・1表に準ずる個所に使用する。
(4)配管用ステンレス鋼鋼管
 一般の場合に比較して内部の発錆を恐れる場合とか長期に亘ってパイプの内外面を侵す雰囲気にさらされることが予想される様な場合に用いられる。
(5)銅及び銅合金継目無管
 圧力計用配管とか遠隔操縦装置配管など特にメーカの指定ある場合に使用する。
 
5・1表 配管材料
種類 記号 適用
配管用炭素鋼鋼管 SGP 水、ドレン、ミスト
圧力配管用炭素鋼鋼管 STPG L.O、エア、スチーム
高圧配管用炭素鋼鋼管 STS L.O、エア、スチーム
配管用ステンレス鋼鋼管 SUS×××TP エア、スチーム
銅及び銅合金継目無管 C××××T  
 
(3)配管施行方法
(1)パイプの通り場所は(図面上に大体は指示されてはいるが)、サポート(支持)の取り易い場所を選ぶこと。
(2)出来るだけ直線部を長くとる様にし、また急激な曲がりは避けるようにすること。(直線部を先にとった方が作業がやり易い)
(3)フィルタの取付個所は点検のし易い場所とし、エレメントを取り出すスペースの余裕をみること。フィルタは水平に取り付けること。
(4)フランジ部はスパナが充分使用できる個所にすること。
(5)パイプが船内作業の邪魔にならないような位置を考えること。
(6)パイプは徐々に立上って行く様にし、立上ってからまた下る様な個所は出来るだけ作らない様にすること。
(7)特に油槽から油圧ポンプ吸い込み口までは中高にならない様にすること。
(8)配管中、止むを得ず中高になる部分には必ずエア抜きプラグをつけること。
(9)配管途中に油溜まりの部分のあるものはその部分に継手あるいはドレンプラグを設けること。
(10)甲板、甲板室、隔壁等により両端が固定されているパイプの膨張に対してはエキスパンションベントを考えること。甲板に据付けられたウインチが荷役の時その甲板が撓むこともあるし、長い間に船体自体に歪が生ずることもあるので、両端固定のパイプは中問部に相当量の湾曲をもたせる必要がある。(殆んど造船所手配となるが念のため)
(11)貫通部は海水に対しても気密を保つため特殊フランジを使用し、その前後にはエキスパンションベントを設けること。
(12)パイプはその膨張と振動についての対策を常に考えておくこと。
 配管を締付バンドで固定する場合に管の口径に応じた支持間隔は5・2表の通りである。
 
5・2表 振止めの支持間隔
口径 間隔 口径 間隔
A B mm A B mm
8 1/4 900 25 1 1,500
10 3/8 900 32 11/4 2,000
15 1/2 900 40 11/2 3,000
20 3/4 1,200 50 2 4,000
 
 サポートには鉛板のライナを、振動の激しい場合には木材(樫、欅)あるいは硬質ゴムのブロックを管の上下からはさみサポート台に固定する。
 配管の曲り部はなるべくその近くで支持すること。
 配管は出来るだけ剛性の大きい壁や床、架台枠に近い所を通し、何時でもサポート金具を追加取付けできるようにしておくこと。
 
5・13図 配管サポート金具図
 
(13)パイプラインと他のものが直接触れる恐れのあるところには鉛板やゴム等を捲いてパイプを保護すること。
(14)電気配線がある場合には、その下側を或いは出来るだけ離した位置に配管しその配線に油のかからないようにすること。
(15)おす、めすのフランジを使うことは出来るだけ避けた方がよい。フランジの合わせ面にガスケットを挿入する際パイプを充分引き離すのが困難になるからである。
(16)パイプ1本々々の内部が点検できない様な形のものは更にフランジ継手を入れて分割すること。
(17)エキスパンションタンクの位置はその配管系統の最頂部よりも高くすること。
(18)配管の取付け取外しは他の機器を取外さないでも出来るようにすること。
(19)各油圧機器のドレンは他の戻り管と結合しないこと。
(20)配管系の必要個所に点検用接続口を設けるが、図面指示以外には付けない方がよい。
(21)予備ポンプの他用途への共用配管は避ける。
(4)配管工事の注意事項
(1)パイプの切断にはパイプカッタや鋸を使用し、アセチレンガスやアーク等を使ってはならない。配管中に溶接スラグが入ると同時に溶断部付近に酸化膜が多量に生じ、これが後で運転中剥離して故障の原因になる。
(2)パイプを曲げる場合はなるべくベンダを使い、曲げ半径を管径の3倍以上にすること。また、シーム部分は真上又は真下(中心線上)におくこと。
(3)高圧の場合は電気溶接で三層盛りとし、一層めはアンダカット出来る程度に盛り込み、スラグを除去してから二層、三層で仕上げる。
(4)配管は通路等を通り最も長いパイプの所から始める。
(5)ねじ込み方式の接続は完全な油洩れ防止が困難なため、特に高圧管は避けた方がよい。止むを得ずねじ込み方式を使う場合にはテーパ部に対して予めねじ部の増し締めが出来るように計画すべきであり、ストレートねじに対しては必ずOリングを使用してシールすべきである。
(6)ねじ部のシールにテフロンテープ(シールテープ)を使う場合はねじ山の先端から2山程度内側から巻くこと。
 テープの切端や一部分が配管内部に出ていると流れに吸い込まれる恐れがあるため。
(7)喰い込み継手のスリーブは大体スパナの柄の長さが500mm位あれば喰い込む。
(8)仮り配管でフランジを締めつける場合は必ずパッキンを入れてボルトは全数締めつけること。この場合例えば2mmのパッキンの代りに2mmの棒をU字にして使うこともよくやる方法である。
 このようにしないと後で本溶接した時に入らないボルトが出てくる。
(9)ポンプに取り付くパイプの取付け部がずれている場合に、無理に引張って取り付けることは絶対に避けること。無理な配管は油圧ポンプやモータに変形を与え故障の原因になるのでこの部分のパイプは現物合せにより正しく形を定めなければならない。
(10)油圧機器のパイプ取り付け部にはごみや溶接くず等が跳び込むのを防ぐために閉止蓋がしてあるが作業中にこれを絶対取り外さないこと。また逆にパイプを取り付ける時に閉止蓋を外すことを忘れないこと。この様な初歩的ミスが現実にはよくあることであるから注意すること。
(11)パイプ内部の掃除にスポンジを使うのならよいが、ウエスを使ってはいけない。ウエスの細かい繊維が付着し油の中に浸入して油の性能を低下させたり、バルブ等に付着して故障の原因になる。
(12)パイプを途中で継ぐ場合はカップリングスリーブを用いて行なう。
 芋継ぎ(突合せ溶接)という手段は安価で手軽なため配管の接続に対してしばしばとられるが高圧配管に於ては極力使用しないこと。芋継ぎにより生じた溶接スラグは除去不可能であり、残留したスラグは機器使用中に振動や油の流れで剥離して管路を伝わって機器に達し機器破損の原因となる。
 但し、ポンプ吸込み側の管径の太い所で配管抵抗を少なくするためどうしても芋継ぎを使用したい場合には内面のスラグが充分除去出来る場所で行なうこと。
(13)L.O系、F.O系の配管は水圧テストした方がよい。或いはエアテストをして石鹸水でみるのもよい。エアの圧力は水圧の場合の半分でよい。
(5)酸洗い
 機関等に使用するパイプの内部に、ゴミ、錆及び溶接屑が付着していた場には、機器の故障等の重大な事故に発展する恐れがある。従がってパイプは配管後、機器取り付け前に洗浄作業を施行してゴミ、錆その他の異物を除去し、かつ防錆処理を施して事故の発生を防止する必要がある。作業工程としては一般的に次の通りであるが、これが不十分であると後のフラッシングをどんなに入念に行なっても管内を完全に清掃することは難しくなるので、この酸洗い洗浄は十分注意して行う必要がある。
(1)脱脂作業
イ)洗浄方法:溶液槽ドブ漬け
ロ)洗浄時間:40分間
ハ)洗浄剤:水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
ニ)検査:目視
(2)中和水洗
イ)洗浄方法:放水水洗(0.4MPa(4.1kg/cm2))
ロ)洗浄液:清水
ハ)洗浄時間:1〜2時間
ニ)検査:目視
(3)酸洗
イ)洗浄方法:槽にドブ漬け
ロ)洗浄時間:3時間
ハ)検査:2.3〜10%(平均6%)HCl(塩酸)
 酸洗い液の濃度を決めたら試験片を使ってデモンストレーションを行なった方がよい。(パイプ内の錆および汚損状態により濃度、時問を調整すること。また現地入手の塩酸濃度不明のものもあるので必ずテストを行う)
(4)中間検査:目視
(5)水洗(清水):1〜2時間
(6)中和処理:苛性ソーダ、1〜2%のもので1〜2時間
 この中和処理作業は手早く行わないと赤錆が発生する恐れがある。
(7)水洗(清水):1〜2時間
(8)乾燥
イ)方法:エア又は熱風乾燥
(9)防錆処理
イ)防錆液:CeBo(セボ)#930 NP−9型 防錆油
 メーカ:東洋薬化学工業(株)
ロ)浸漬、スプレ塗布又はハケ塗り
(10)密閉
イ)方法:開口部をキャップ又はガムテープで密閉する。
 尚、この密閉部材は配管取付時に忘れないで除去するよう十分注意すること。







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