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(6)フラッシング
 油系統配管作業完了時点において、下記基準によりフラッシングを施行し、配管系統内部の錆、繊維、溶接屑、塗料、土砂などの爽雑物を除去するとともに内部を洗浄し、機関の安全運転を確保するために行うが、次の2通りの場合がある。
・配管組立時、酸洗いによって剥離されたものや組立時の管内汚染物などの除去を目的とする場合
・作動油交換時、長期間の中に溜まった管内堆積物や付着物あるいは汚染作動油除去を目的とする場合
フラッシング要領
(イ)配管系統
a)シリンダ油、システム油移送管系統
b)シリンダ油、システム油主管系統
c)システム油機関循環系統
d)燃料油系統
(ロ)フラッシング実施順序
a)フラッシング前点検
b)フラッシング準備
c)フラッシング実施
d)判定(判定基準に達しないときは、繰返しフラッシングを行う)
(ハ)フラッシング油の選定
 前処理の良否、機械の重要度により使用油を選定する必要があるが、下記の性質を有するものとする。
a)低粘度であること。
b)洗浄性を有すること。
c)発泡しないこと。
d)腐食しないこと。
e)引火点の高いこと。
f)潤滑油との混油に際し潤滑油の性状を劣化させないこと。
 尚、状況によっては、使用油のみで施行することもあるが、完全でないので注意が必要である。
 一般には次の通り使用区分する。
a)一次フラッシング フラッシング油
b)二次フラッシング 友油(添加剤が入っていないベースオイルで可)
c)三次フラッシング 使用油
(ニ)フラッシング施行前点検
 フラッシング工事の成否は、管内の状況の良否に掛かっているので、充分注意すること。
a)タンク及び配管チェック
 系統検査、外観検査
 機器取付位置、サイズ、曲り、溶接仕上、油抜プラグ位置、各ゲージ座、仮設フィルタ、配管フランジエア吹込座等本時点で、配管上、追加修正のないことを確認する。
b)配管内面検査
 管分岐部、プラグ座、フランジ各溶接部、LO主管端カバー等について行う。
c)内圧検査(耐圧及び漏れ)
 水圧の場合は最高使用圧力の1.5倍、空圧の場合は1.25倍
d)酸洗いエアブロー防錆
 前述酸洗い要領による。
e)再組立(フラッシング用配管・フィルタを含む)
(ホ)フラッシング準備作業
a)加熱装置取付け
 フラッシングは通常50℃位の油で行うので、サンプタンクにヒータを取りつける。加熱は、スチーム加熱が好ましいが、電熱器でもよい。但し、電熱器を使用する場合は、漏電引火の危険防止に注意のこと。特に、サンプタンクの油面は、ポンプ運転時と停止時で変動するので電熱器の配線接続部まで油に浸ることのない様取付位置に、充分注意すること。
 ヒータの容量は、最高温度75℃まで可能のものを選定する。
b)加振装置の取り付け
 加振装置の取り付け位置あるいはハンマリングの位置を決定する。特に加振による計器類への悪影響、取り付けボルト類のゆるみへの配慮、機器類の臨時サポート等に注意すること。
 ハンマリングの徹底のため各溶接部に番号をつけ、チェックシートにより管理すること。
c)フラッシング除外部の処理
 取り外し部分は、ゴミの浸入を防ぐため確実に閉止栓を施行する。此の際その部分に番号をつけ、チェックリストを作成し、フラッシング終了時に開放忘れのない様注意すること。取り外し部は、主軸受枝管としカム軸受枝管、歯車装置枝管、過給機注油管等は閉止とする。又、できるだけクーラには入れない。常設フィルタ使用の場合は、必要に応じ保護フィルタを取りつける。又、主軸受注油管等、取り外した部品に対する閉止栓の施行を忘れずに行うこと。
d)仮設フィルタの取り付け
 主軸受枝管出口、サンプタンク落とし口、ポンプサクション入口等には、仮設フィルタを取り付ける。
 各仮設フィルタは通油停止時異物が逆流しない様設置の位置方向に注意のこと。
(ヘ)フラッシング作業
 フラッシング作業は、その機関の型式、酸洗い等事前作業の程度、納入先等により、その仕様をメーカ及び造船所で決めているが一例を以下に示す。
a)作業内容
a. 各部点検は4時間毎を原則とする。
b. 各段階で主軸受枝管出口のフィルタに全然異物が認められない場合は24時間を待たずに次段階へ進むことが出来る。
c. ハンマリングは1段、2段、3段で行う。
d. バイブレータは1段、2段、3段で行う。
e. 空気の吸込は、1段、2段、3段で行う。
f. 主軸受枝管出口に絞りもしくは、一部を閉止して主管圧力を50kPa(0.5kg/cm2)以上に保つ(1、2、3段)。
g. クランクケースドアは挨の入らぬ様注意し、可能な限り開放する。
b)判定基準
a. 各段毎に実施、2段目迄は目視
b. 3段終了で、主軸受枝管出口フィルタにおける異物量の総計が0.05gr/24HR以下とする。
c. それ以降更に4HR施行し異物量が0で、且つマグネットに金属粉の附着しない状態で3段フラッシング完了とする。
(ト)その他
a)主系統の油濾器エレメントは一次フラッシング着工時取り外し、二次フラッシング時、正常状態に復旧し、以後使用する。
b)取り外し部分は、ゴミの浸入を防ぐため確実に閉止栓を施行する。
 この場合、その部分に番号を付しチェックリストを作成し、フラッシング終了時、閉止栓の開放を忘れないように注意する。
 取り外し部は、主軸受枝管・カム軸受枝管・歯車装置枝管等、機関内部配管とする。
c)潤滑油サンプタンク内配管、並びに各補機器は長期間放置されているので、内部に発錆があるか、又、酸洗いの状況を充分に点検してから配管を接続のこと。







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