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2.6 燃料装置
1)燃料噴射ポンプ
 舶用機関の燃料噴射ポンプはボッシュ形燃料噴射ポンプが殆どであるが、近年、中小形機関にユニットインジェクタが使われている。
 ユニットインジェクタ本体の分解整備は工場または専門サービス店で行われており、現地での整備は出来ないが、噴射弁の交換および開弁圧の調整は現地で行う。
(1)噴射弁(ノズル)の点検と整備
(1)ユニットインジェクタより噴射弁、ノズルスプリング等(ノズル分解図、3・11図)を取り外す。
(2)噴射弁を点検する。
(3)ノズル部品(1〜10)を調整ホルダに組み付け規定トルクで締付ける。
(4)ノズルテスタにて噴射圧力(開弁圧力)を調整する。と共に、噴霧状態を点検する。
(噴射圧の調整は調整シムにて行う。)
(注)調整ホルダの締付けは、専用ボックスレンチによる。
 
3・11図 ユニットインジェクタノズル分解図
(拡大画面:22KB)
 
 
3・12図 噴射圧調整ホルダと袋ナット
 
 
3・13図 噴射圧調整ホルダ仕組
 
 
3・14図 噴射圧テスト
 
2.7 調速装置
1)油圧ガバナの点検、整備
 油圧ガバナの分解組立要領については、各製品のサービスマニュアルによる。
(1)ガバナ各部の点検
(1)ベースアセンブリ及びハウジング
 パワーピストン等の摺動面、ハウジング孔径部の損傷しているもの及びギヤシャフト、スリーブの接触面上でベース及びハウジングに打痕跡のあるものは交換する。
 また、ハウジングに圧入されたブッシュが摩耗したり動く場合はハウジングアセンブリにて交換する。
 
3・15図 ベースアッセンブリ
 
 
3・16図 ハウジング
 
(2)ギヤシャフト及びスリーブ
 ギヤシャフトの外径部またはスプライン部が損傷しているものや、オイルシールとの摺動面が著しく摩耗しているものは交換する。
3・17図 ギヤシャフトとスリーブ
 
 
(3)コンペンセータアッセンブル
 ハウジングにコンペンセータアセンブリを組込んだ状態で、パワーピストン、プッシュロッド、コンペンセンターが自重でハウジング内を上下に移動することを確認し、もし動きが不円滑の場合は修正または交換する。
〈注記〉
 パワーピストンの動きが滑らかでないとエンジン取付後、ハンチングや変動率過大等エンジン不調の原因となる。
 
3・18図 パワーピストンの動きの点検
 
(4)フライウェイトアセンブリ(3・19図
 フライウェイト内に異物が入ると、フライウェイトが円滑に作動しないことがありますので、フライウェイトがスムースに動くことを確認する。
 また、充分に洗浄を行うこと。
〈注記〉
 フライウェイトのディスク穴とパイロットバルブの嵌込みがスムーズであることを確認して下さい。
 もし、当傷・カエリ等がある場合は修正する。
 
3・19図 フライウエイトアッセンブリ
 
(5)パワーピストン、ガイドレバー及びターミナルアーム(3・20図
 ガバナ出力の伝達部であるターミナルアームのピン孔およびピンが摩耗しているもの及び、パワーピストンの内径摺動面が摩耗している場合はそれぞれ交換する。
 また、スピードコントロールシャフトの曲り及びシャフト支持部に摩耗が認められるものは交換する。
(6)レギュレーティングバルブ(3・21図
 ピストンが円滑に摺動することを確認して下さい。もし、引っかかりや摩耗が大きい場合は修正または交換する。
(7)その他の部品
 各部品の亀裂、損傷、ネジ部に異状等が認められるもの及び発錆の有無を確認し、不良の場合は修正または交換する。
 Oリング、ガスケット等消耗品は再使用せず必ず交換する。
 各種スプリングの折損、ヘタリ、発錆の有無を点検し不良の場合は交換する。
 
3・20図 出力伝達部
 
 
3・21図 レギュレーティングバルブ







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