6)高速エンジン「6CZ−GT形」
ヤンマーディーゼル株式会社
1. はじめに
平成14年4月より新漁船法の適用に向けて準備が進められています。
この度、国内舶用業務用主機関として、現行法の漁船法馬力数90へ、又新漁船法に対応すべく開発を進めて参りました新機種「6CZ−GT形」を開発し、既に一部の市場に導入し好評を得ていますので、新機種開発のコンセプトと主要部の構造、特徴、性能などに付いて、ご紹介いたします。
2. 開発のコンセプト(セールスポイント)
既に、高出力、高性能、長時間耐久力エンジンに使用している弊社独自の部品材料を有効に活用して、高速、高性能、環境に優しいエンジンを開発することが出来ました。
以下、開発のコンセプトとして取り組んできた内容について紹介します。
(1)高出力・高性能
(2)長時間耐久力
(3)実用域での使いやすさ
(4)スムーズな加速
(5)日常メンテが「ワンサイド」
(6)環境に優しい(低燃費・低エミッション)
IMO(国際海事機構)のNox規制をクリヤ(予定)
3. 主要目
6CZ−GT形エンジンの主要目を表1に示します。
表1 6CZS−GT形(S仕様)主機関要目
機種名 |
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6CZS−GT |
シリンダ数×ボア×ストローク |
mm |
6−φ121.9×150 |
総行程容積 |
l(リットル) |
10,504 |
漁船法馬力数 |
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90 |
連続定格出力/回転数 |
kW(PS)/RPM |
421(572)/2,326 |
実用最大出力/回転数 |
kW(PS)/RPM |
463(630)/2,400 |
減速逆転機名称・ 減速比(前進) |
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YXH・130 2.03・2.57・3.04 |
エンジン乾燥質量 |
kg |
1,520(YXH−130) |
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4. 開発コンセプトと関連主要部分の構造
1)主要な構造として外形図を図1、及び図2に示します。
2)高出力・高性能
関連部分の構造を下記(1)〜(3)に示します。
(1)2段燃焼室
ピストン燃焼室はヤンマー独自の2段燃焼室を採用しており、全負荷域での良好な燃焼により高出力、高性能を達成いたしました。(図3)
(2)ダクタイル(FCD)鋳鉄製ピストン
高強度のダクタイル鋳鉄(FCD)製のピストンを採用し、耐久性の向上を図ると共に、燃焼室内のムダ容積を減少させることにより、良好な燃焼性能を達成しました。(図4)
(3)多噴口ダイナストリーム加工ノズル
多噴口の内側角部を流体研磨加工により、Rを付け、燃料の流量効率向上と経時劣化防止を図りました。結果、良好な燃料噴射特性、クリーン燃焼、及び低燃費を達成いたしました。(図5)
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