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(4)テレワーク・情報化の進展
 年齢別業務目的の生成原単位(パーソントリップ調査)の過去10年間の変化をみると、高齢者層の原単位が変化していないのに対して20歳代から40歳代後半の原単位は大きく減少している。この要因として、携帯端末機器等情報技術の発達に伴うメールやインターネット活用により、打ち合わせや会議等の機会が減少していることが考えられる。
 本調査では、過去10年間において大きく変化している「業務目的」について、若年層(40歳未満)の外出機会(生成原単位)が基本ケースより5%減少することを仮定する。
予測結果は以下の通りである。
■ 業務目的において、交通量が約3%減少する。
■ 手段分担は自動車による移動が特に減少度が大きいが、特に分担率に大きな差はない。
 
表 7-4-6 目的別発生交通量(近畿計)・千人/日
テレワーク・情報化の進展(業務発生量減少)時
    通勤 通学 自由 業務 帰宅 手段計 分担率
感度分析結果
(近畿圏計)
鉄道 2,199 403 1,086 682 3,434 7,804 18.44%
バス 114 98 315 63 420 1,010 2.39%
自動車 2,282 455 4,113 2,656 5,865 15,371 36.33%
徒歩等 1,527 1,120 6,748 1,601 7,131 18,126 42.84%
手段計 6,122 2,076 12,262 5,002 16,850 42,312 100.00%
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 0 0 0 -20 -0 -20 0.02%
バス 0 0 0 -2 -0 -20 0.00%
自動車 0 0 0 -84 0 -84 -0.06%
徒歩等 0 0 0 -51 -0 -51 0.04%
手段計 0 0 0 -157 0 -157 0.00%
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 100.0% 100.0% 100.0% 97.1% 100.0% 99.7%  
バス 100.0% 100.0% 100.0% 97.0% 100.0% 99.8%  
自動車 100.0% 100.0% 100.0% 96.9% 100.0% 99.5%  
徒歩等 100.0% 100.0% 100.0% 96.9% 100.0% 99.7%  
手段計 100.0% 100.0% 100.0% 97.0% 100.0% 99.6%  
(5)鉄道端末としてのバスサービスレベルの条件変化による影響
 駅へのバスアクセス条件の変化に伴って、自動車交通に対する「公共交通機関」利用がどのように変化し、且つ、鉄道利用に対してどのような影響が発生するかを把握する。また、公共交通機関としての鉄道整備が進むことによって、自動車交通からの転換が進み、結果として二酸化炭素等の削減等環境問題への影響を把握する。
 想定としては、鉄道駅まで(駅から)のバスアクセスによる所要時間について、駅前の道路混雑が解消された場合を想定して、基本の所要時間の半減を仮定して予測する。
 予測結果は以下の通りである。
■ 駅までのアクセス時間(バス利用による)が減少した場合、近畿全域で約486,000人/日の鉄道交通量が増加することが予想される。
 
表 7-4-7 目的別発生交通量(近畿計)・千人/日
バスサービス条件変化時
    通勤 通学 自由 業務 帰宅 手段計 分担率
感度分析結果
(近畿圏計)
鉄道 2,283 407 1,211 823 3,587 8,311 19.57%
バス 100 94 306 64 401 965 2.27%
自動車 2,238 455 4,025 2,621 5,807 15,146 35.66%
徒歩等 1,501 1,120 6,720 1,651 7,054 18,046 42.49%
手段計 6,122 2,075 12,262 5,159 16,849 42,468 100.00%
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 84 4 125 121 153 486 1.15%
バス -14 -4 -9 -2 -19 -47 -0.11%
自動車 -44 0 -88 -119 -58 -309 -0.73%
徒歩等 -26 -0 -28 -0 -77 -131 -0.31%
手段計 -0 -0 -0 -0 -0 0 0.00%
基本ケースとの増減率
(近畿圏計)
鉄道 103.8% 101.0% 111.5% 117.2% 104.5% 106.2%  
バス 87.8% 95.8% 97.2% 97.6% 95.5% 95.3%  
自動車 98.1% 100.1% 97.9% 95.7% 99.0% 98.0%  
徒歩等 98.3% 100.0% 99.6% 100.0% 98.9% 99.3%  
手段計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%  
 
■ 以下のように、バス端末所要時間の減少率を1割から5割まで変化させた場合、基本ケースと比べて近畿全体で鉄道利用交通量が12万〜49万人の幅で増減し、鉄道分担率が最大1%以上増加する。
 
表 7-4-8 目的別発生交通量の感度分析結果(近畿計)・千人/日
  バス所要時間-10% バス所要時間-30% バス所要時間-50%
目的計 分担率 目的計 分担率 目的計 分担率
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 123 0.29% 312 0.73% 486 1.15%
バス -12 -0.03% -38 -0.09% -47 -0.11%
自動車 -81 -0.19% -188 -0.44% -309 -0.73%
徒歩等 -30 -0.07% -87 -0.20% -131 -0.31%
手段計 -0 0.00% -0 0.00% 0 0.00%
(6)自家用自動車保有の変化(経済環境と交通需要)
 国民が保有する自家用自動車数は、マクロ的には国民総生産との関係が強く、相関的に増加してきたことが伺える。
 将来における自動車保有台数は既存資料(本省道路局作成)を使用するが、今後の経済環境や京都議定書における温室効果ガス6%削減目標達成に向け、自家用自動車交通に対する何らかの抑制が働くことも想定されることを考慮して、本調査では、圏域の保有台数を現況値に等しいと仮定した値を感度分析に適用する。
 予測結果は以下の通りである。
■ 自動車保有台数減少による影響は、近畿全域で自動車利用者が約44,000人/日減少、鉄道利用者が約25,000人/日増加する。その他、バス利用者が約19,000人/日増加する。
■ 交通手段分担率の変化は1%未満と小さい。
 
表 7-4-9 目的別発生交通量(近畿計)・千人/日
自家用自動車保有率変化時(将来も現況に等しいと仮定)
    通勤 通学 自由 業務 帰宅 手段計 分担率
感度分析結果
(近畿圏計)
鉄道 2,204 404 1,094 703 3,445 7,850 18.48%
バス 117 100 320 65 429 1,031 2.43%
自動車 2,274 452 4,100 2,740 5,845 15,411 36.29%
徒歩等 1,527 1,120 6,748 1,652 7,131 18,177 42.80%
手段計 6,122 2,076 12,262 5,159 16,850 42,469 100.00%
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 5 1 8 0 12 25 0.06%
バス 4 2 5 0 9 19 0.04%
自動車 -8 -3 -12 0 -20 -44 -0.10%
徒歩等 0 -0 0 0 -0 -0 0.00%
手段計 0 0 0 0 0 0 0.00%
基本ケースとの増減率
(近畿圏計)
鉄道 100.2% 100.2% 100.7% 100.0% 100.3% 100.3%  
バス 103.1% 101.9% 101.5% 100.0% 102.1% 101.8%  
自動車 99.6% 99.4% 99.7% 100.0% 99.7% 99.7%  
徒歩等 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%  
手段計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%  
(7)鉄道運行本数(昼間時間帯)の減少による影響
 
 近年の就業人口の減少や経済情勢の低迷などの影響により、鉄道需要の低迷傾向が続いている。そのため、鉄道事業者にあっては、一部閑散線区を中心として、昼間運行本数を削減することで経営の安定化と効率化を図る例がある。
 本感度分析では、仮に鉄道の昼間運行本数が2割削減された場合を仮定して、どの程度鉄道需要に影響を及ぼすかを検証した。
 予測結果は以下の通りである。
■ 鉄道利用者は近畿全域で約10万人/日の減少となり、転移先としては、自動車交通が約9.2万人/日増加するという予測結果となった。
■ 本需要予測では、昼間運行本数の増減は自由・業務目的と裏返しとしての帰宅目的に対して影響が出るモデルとなっている。仮に、ピーク時運行本数の削減を行った場合は、通勤・通学目的に対しても減少の影響が出ることとなる。
 
表 7-4-10 目的別発生交通量(近畿計)・千人/日
    通勤 通学 自由 業務 帰宅 手段計 分担率
感度分析結果
(近畿圏計)
鉄道 2,199 403 1,060 659 3,412 7,718 18.17%
バス 114 98 320 66 426 1,027 2.42%
自動車 2,282 455 4,134 2,783 5,886 15,547 36.61%
徒歩等 1,527 1,120 6,748 1,652 7,130 18,177 42.80%
手段計 6,122 2,076 12,262 5,160 16,850 42,469 100.00%
基本ケースとの増減量
(近畿圏計)
鉄道 0 0 -26 -44 -22 -106 -0.25%
バス 0 0 5 1 6 15 0.04%
自動車 0 0 22 43 21 92 0.22%
徒歩等 0 0 0 0 -0 -0 0.00%
手段計 0 0 0 0 0 0 0.00%
基本ケースとの増減率
(近畿圏計)
鉄道 100.0% 100.0% 97.6% 93.7% 99.4% 98.6%  
バス 100.0% 100.0% 101.5% 101.1% 101.5% 101.5%  
自動車 100.0% 100.0% 100.5% 101.6% 100.4% 100.6%  
徒歩等 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%  
手段計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%  







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