5−3 今後の展開
本調査は、基本的に運輸政策審議会答申第19号及び20号に掲げられている今後の交通政策の方向性及び都市再生支援等に関連する指標に基づく個別路線の分析を行ったものであり、個別具体的な「F・S」を行ったものではない。
したがって、今後、個別路線の評価と妥当性の検証を行うに当たっては、個々の路線に関わる需要予測の深度化を行い、整備の目的に対応した事業化方策等の検討及び詳細な事業費算定等に基づく収支採算性や費用対効果等の定量的な分析を行い、さらに具体的な政策目標を設定し、それに照らした上で、ネットワーク効果も勘案することにより、総合評価を行う必要がある。
急速に変化している社会・経済環境や緊迫する財政状況を踏まえると、今後の鉄道整備は相対的に整備期間が短く事業費も安価な既存ストックを有効かつ高度に活用することが重要である。新線については、既存路線の活性化を通じた圏域全体のネットワーク機能向上に繋がる必要最小限の整備に留めるとともに、社会的便益の大きい路線の整備を優先する必要がある。
このことから、本調査において整理した答申第10号未整備路線を含む個々の路線についての今後の具体的な検討段階においては、既存路線全体のネットワーク機能強化、シームレス化に資するか否か、今後の都市構造に適切に対応するか否か、時間短縮に資するか否か、既存路線の混雑緩和に資するか否か、さらに既存ストック活用方策との費用対効果の比較において効率的であるか否か等を個別に分析し、圏域全体のネットワーク機能及び個々の路線に求められる機能を最大限に発揮できるような路線整備方策を検討することとする。
このような各施策の検討とともに、既存ストック活用方策と新線整備方策が最大限の相乗効果をもたらすような施策の望ましい組み合わせについて整理を行った上で、関係機関が連携のもとで、総意をもって効果的、効率的な鉄道サービス向上施策を進めるためのビジョンを策定する必要がある。
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