○経済情勢の交通需要に与える影響
各交通機関における輸送人員の増加率は全体的に減少傾向を示しているが、その動きは近畿の域内総生産(名目値)の増加率とほぼ連動する結果となった。
自家用乗用車については経済動向との相関性は小さいが、鉄道についての相関性は大きくなっている。特に、私鉄や都心部の輸送需要を担う地下鉄については、その傾向がさらに顕著である。
この結果から、交通量の動きと経済動向は連動していることが伺え、経済環境が低迷している現状においては、今後の交通需要も同様な動きを示すものと推測される。
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図 2−2−21 |
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域内総生産と各交通手段との関係 |
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資料:都市交通年報、県民経済計算年報及び長期遡及推計県民経済計算報告 |
注)域内総生産は名目値であり、S60、H2の値は5か年平均値
各交通量の統計範囲は京阪神交通圏 |
e)生活スタイルの変化
○国民の生活時間・余暇時間の使い方の変化
過去10年間における国民の生活時間の使い方をみると、男女とも「買い物」に要する時間及びそれに連動する移動時間が大幅に増加しており、一方で「仕事・学業」の時間ならびにそれに伴う通勤通学時間が減少している。
一方で買い物等余暇時間に占める割合が増大し、交通に対するニーズにも変化が出ていることが考えられる。
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図 2−2−22 |
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行動の種類別生活時間の推移(15歳以上)(時.分) |
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資料:社会生活基本調査 |
○交通目的別に見た1人あたり平均トリップ数の推移
目的別の生成原単位(単位人口1人当たりの平均トリップ数)を昭和55年から平成12年にかけて比較すると以下の通りである。
・ 出勤目的(就業人口当たり):就業人口1人当たりの出勤目的生成原単位は過去20年で男女ともあまり変化はない。
・ 登校目的(就学人口当たり):就学人口1人あたりの登校目的生成原単位は過去20年で漸減傾向にある。理由としては、少子化のため(生成原単位が比較的低い)大学生の比率が多くなったためと考えられる。
・ 自由目的(常住人口当たり):常住人口1人当たりの自由目的生成原単位は平成2年から平成12年にかけて男女とも1割以上の増加となっている。
・ 業務目的(就業人口当たり):就業人口1人当たりの業務目的生成原単位は昭和55年から単調減少となっている。
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合計:原単位 |
年次 |
目的 |
性別 |
1980 |
1990 |
2000 |
1 出 勤 |
1 男 性 |
0.7466 |
0.7822 |
0.7541 |
2 女 性 |
0.7437 |
0.7863 |
0.7549 |
2 登 校 |
1 男 性 |
0.9713 |
0.9491 |
0.9215 |
2 女 性 |
0.9764 |
0.959 |
0.9309 |
3 自 由 |
1 男 性 |
0.3747 |
0.3565 |
0.4352 |
2 女 性 |
0.8198 |
0.7796 |
0.8872 |
4 業 務 |
1 男 性 |
0.9094 |
0.8538 |
0.7512 |
2 女 性 |
0.5661 |
0.4527 |
0.35 |
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図 2−2−23 |
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目的別・性別生成原単位の推移(3時点) |
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資料:第2回〜4回京阪神都市圏パーソントリップ調査 |
(2)交通手段の使われ方の変化
a)自動車交通の急速な普及
○自家用乗用車輸送人員の伸び
京阪神交通圏の自家用乗用車輸送人員は、平成7年度以降ほぼ横這い状況にあるが、平成2年度から12年度にかけて約1.1倍に増加している。
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図 2−2−24 |
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自家用乗用車輸送人員の推移 |
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資料:都市交通年報 |
○自動車保有台数の伸び
平成12年現在、1世帯あたり保有台数は0.9台/世帯であり、ほぼ1世帯に1台が保有されている状況にある。この値は、過去10年間の世帯数の伸び以上であり、約30%の大幅な増加となった。
地域別の保有状況は、相対的に都心部において低く、郊外にかけて高くなる傾向にある。
一方、平成2年からの変化をみると、京都、大阪の都心部では減少しているが、郊外部では約20%〜40%以上増加している地域がみられる。
表 2−2−11 自動車保有台数と世帯数(近畿)
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保有台数(千台) |
世帯数(千世帯) |
保有率(台数/世帯) |
H2 |
4,970 |
6,897 |
0.7 |
H12 |
7,184 |
7,861 |
0.9 |
伸び(H12/2) |
1.4 |
1.1 |
1.3 |
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注)自動車・・・ |
自家用乗用車、軽乗用車を抽出、所属不明分除く 保有台数は年度末時点 |
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資料:市区町村別自動車保有車両数、市区町村別軽自動車車両数、国勢調査 |
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図 2−2−25 |
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自動車保有率(平成12年) |
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資料:市区町村別自動車保有車両数、市区町村別軽自動車車両数、国勢調査 |
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図 2−2−26 |
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自動車保有率増加率(平成2年→平成12年) |
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資料:市区町村別自動車保有車両数、市区町村別軽自動車車両数、国勢調査 |
○免許保有率の推移
・ 免許保有率は男女とも平成2年から12年にかけての10年間で大きく上昇しており、男性で8%、女性では13%程度上昇した。
・ 年齢別に見ると男性の50歳以上の高齢層と女性の大部分で免許保有率が大きく上昇している。
・ 世代ごとの免許取得の変化を見るため、年齢スライドにより平成12年時点の年齢による比較を行った。男性については大部分の世代で免許保有率が9割を越えており、比較的若年時に大部分の男性が免許取得していることが読みとれる。一方、女性については30〜50歳の年齢層で平成2年→12年の間に免許保有率が上昇しており、過去10年の間に新たに免許を取得した女性が相当数に上ることがわかる。
以上のことから、今後は、女性の免許取得率が伸び続けていること、また、免許を保有している世代がスライドすることにより、国民の大部分が免許保有者となることが予想される。
表 2−2−12 免許保有率(京阪神都市圏)の推移
性別 |
男性 |
女性 |
年齢 |
H2 |
H12 |
H2 |
H12 |
保有率 |
64.4% |
72.2% |
32.9% |
45.6% |
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図 2−2−27 |
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年齢別免許保有率の推移(下グラフは年齢スライドによる比較) |
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資料:第3回、第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査 |
※免許保有率はパーソントリップ調査からの推計・常住人口に対する比率 |
○地域別にみた免許保有率
地域別に免許保有率の上昇度を見ると、三大都市圏中心部については免許保有率が少なく、上昇度も大きくないが、三大都市外周部と周辺山間部については過去10年で大きく免許保有率が上昇しているなど、地域差が見られる。
原因としては、都市部においては鉄道網など公共交通が発達していることや駐車場の確保が難しいことなどにより自動車のニーズがあまり高くないが、郊外については公共交通が未発達であることと、駐車場の確保が容易であること、また道路整備が進んでいることなどを背景として自動車に対するニーズが高まったことが挙げられる。
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図 2−2−28 |
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免許保有率((上)平成2年、(下)平成12年) |
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資料:第3回、第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査 |
○自動車保有率と交通手段分担率の関係
下図は、自動車保有と自動車利用の関係を示したもので、両者には高い相関性が伺える。これより自動車の保有が高まるとともに自動車を利用する機会も増加することが伺える。
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図 2−2−29 |
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自動車保有率と自動車分担率の関係(平成12年) |
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資料: |
市区町村別自動車保有車両数、市区町村別軽自動車車両数、 国勢調査、 第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査
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注)PT調査圏域内での集計 |
人口密度と自動車保有率の関係をみると、人口密度が高くなるにつれて自動車保有率の低下が伺える。このことは、人口密度の高い地域は、相対的に公共交通サービス水準が高く、自動車を利用する機会が小さくなるものと考えられる。
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図 2−2−30 |
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人口密度と自動車保有率の関係(平成12年) |
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資料:市区町村別自動車保有車両数、市区町村別軽自動車車両数、国勢調査 |
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