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2. 鉄道を中心とする交通の現状分析
2−1 利用者アンケート及び交通に関わる意見募集
 利用者の公共交通へのニーズを把握するために、アンケート及び意見募集を実施した。
(1)利用者アンケート
 平成14年5月30日において「公共交通に関するアンケート」を実施し、10,041人からの回答が得られた。
 
調 査 日 時: 平成14年5月30日(木)16:00〜20:00
配 布 場 所: 京都、梅田、難波、奈良駅等主要駅・ターミナル並びに関係自治体の窓口
配 布 枚 数: 約50,000枚(葉書)
アンケート方法: はがき裏面のアンケート項目(次頁参照)に回答後、投函
 
 アンケート内容は、以下の通りである。
・ 鉄道運賃に関する制度
・ 共通乗車券(スルッとKANSAI等)利用による公共交通利用機会増大の有無
・ 共通乗車券への要望
・ 駅での移動の不自由や困難さ
・ 乗換不便駅及び不便理由
・ 駅アクセスに際して、駅へ望む付加施設
・ 鉄道へ望むサービス
・ 駅に併設を望む施設
・ 公共交通への要望・希望 等
 
(拡大画面:98KB)
図 2−1−1 アンケート票(表面)
関連ホームページ:http://www.mlit.go.jp/kinki/
 
(拡大画面:123KB)
図 2−1−1 アンケート票(裏面)
 
 利用者アンケートの回答結果は、以下のとおりである。
 
a)運賃に関する制度で最も望まれるもの
・ 最も望まれているのは、「公共交通間の乗り継ぎによる運賃割引」であり、約60%を占めており、鉄道間、鉄道とバス間における乗り継ぎ料金の拡充等が望まれる。
・ 次に、駐輪・駐車場との料金割引が約20%となっている。
 
表 2−1−1 回答結果(1)
選択肢 件数 (%)
駐輪・駐車場、レンタサイクルの料金割引 1,680 17
公共交通の乗り継ぎによる運賃割引 6,094 61
ショッピングの割引 646 6
同乗者の割引 731 7
その他 529 5
複数回答 109 1
無回答 252 3
合計 10,041 100
 
b)「Jスルー」「スルッとKANSAI」カードを利用するようになって、鉄道、バスを利用する機会が増加したか
・ 公共交通の利用頻度が増加した人が約50%を占めており、利便性効果が伺える。
・ 利用機会に変化無し、カードを利用していない人についても約50%存在している。
 
表 2−1−2 回答結果(2)
選択肢 件数 (%)
はい 4,891 50
いいえ 2,952 29
利用していない 2,058 20
無回答 140 1
合計 10,041 100
 
c)「Jスルー」「スルッとKANSAI」カードにどのような機能があれば利用しやすいか(複数回答可)
・ 乗車頻度による運賃割引が必要と感じている人が約6,300人と最も多い。
・ 次いで「定期券と合わせて1枚で乗降可能」が約2,900人と多い。
 
表 2−1−3 回答結果(3)
選択肢 件数
月毎の支払いが可能 892
クレジットカードとしても利用可能 622
定期券と合わせて1枚で乗降可能 2,882
ショッピングによる運賃割引 1,395
乗車頻度による運賃割引 6,296
その他 1,092
無回答 287
合計 13,466
 
d)普段利用している駅で、移動が不自由であったり、困難な箇所があるか
・ 不自由や困難を感じる箇所があると感じている人が約40%を占めている一方、特に感じていないと回答している人も同程度の割合となっている。
 
表 2−1−4 回答結果(4)
選択肢 件数 (%)
ある 4,358 43
ない 5,174 52
無回答 509 5
合計 10,041 100
 
d)−1 移動に際して不自由や困難さを感じる箇所がある駅の路線
・ 駅数が相対的に多いJRが最も多く、約2,000人が不自由や困難を感じている。
・ 次いで大阪市交通局が多く、約600人が駅に不自由や困難を感じている。
 
表 2−1−5 回答結果(5)
順位 路線名 件数
(1) JR 1,961
(2) 大阪市交通局 643
(3) 阪急 412
(4) 近鉄 253
(5) 南海 170
(6) 京阪 153
(7) 京都市交通局 93
(8) 阪神 92
(9) JR・京阪 34
(10) 北大阪急行 28
 
d)−2 移動に際して不自由や困難さを感じる箇所がある駅
・ 私鉄や地下鉄との乗り換え利用者が相対的に多い「JR大阪駅」において最も多くの人が不自由や困難を感じているが、京橋駅の割合も高くなっている。
 
表 2−1−6 回答結果(6)
順位 路線名 件数
(1) JR 大阪 226
(2) JR 京橋 122
(3) JR 京都 115
(4) 大阪市交通局 本町 101
(5) 大阪市交通局 なんば 92
(6) JR 高槻 91
(7) 大阪市交通局 梅田 74
(8) JR 天王寺 55
(9) 阪急 梅田 41
(10) JR 石山 40
(10) 大阪市交通局 東梅田 40
 
d)−3 移動に際しての問題箇所
・ 「改札からホームまで」を問題箇所とする人が約30%を占め、駅構内におけるバリアフリー化の遅れやスムーズな動線が確保されていない状況が伺える。
 
表 2−1−7 回答結果(7)
選択肢 件数 (%)
入口から改札まで 505 12
切符購入時 220 5
改札通過時 404 9
改札からホームまで 1,358 30
電車乗降時 341 8
その他 897 21
複数回答 555 13
無回答 87 2
合計 4,367 100
 
e)普段利用している駅で、乗換で不便を感じるか
・ 「乗換で不便を感じる駅がある」と回答した人が約40%を占めている。
 
表 2−1−8 回答結果(8)
選択肢 件数 (%)
ある 3,856 38
ない 5,600 56
無回答 585 6
合計 10,041 100
 
e)−1 乗換で不便を感じる駅
・ 最も高い値を示した「大阪市交通局 本町駅」は、地下鉄1号線、3号線、4号線の乗換駅であり、路線間の動線が長いことなどを反映していることが伺える。
 
表 2−1−9 回答結果(9)
順位 線名(1)⇔線名(2) 乗換駅 件数
(1) 大阪市交通局⇔大阪市交通局 本町 226
(2) JR⇔京阪 京橋 159
(2) JR⇔阪急 大阪、梅田 159
(4) 大阪市交通局⇔大阪市交通局 天王寺 95
(4) 南海⇔大阪市交通局 難波、なんば 95
(6) JR⇔近鉄 京都 56
(7) 大阪市交通局⇔大阪市交通局 東梅田、梅田 49
(8) 大阪市交通局⇔大阪市交通局 なんば 44
(9) 近鉄⇔京阪 丹波橋 41
(9) 大阪市交通局⇔大阪市交通局 東梅田、西梅田 41
 
e)−2 乗換に際して不便な理由
・ 「移動距離が長い」と回答した人が約1,500人と最も多く、全体の約35%を占めている。
・ 次に、階段が多いなどとなっており、シームレス化やバリアフリー化の必要性が伺える。
 
表 2−1−10 回答結果(10)
選択肢 件数
移動距離が長い 1,466
階段が多い、階段が急 610
人が多い、混雑している 315
エレベーター・エスカレーターがない 325
通路・階段が狭い、乗降箇所・改札が少ない 203
乗換時間が短い 335
案内表示がない 115
一度外に出なければならない 66
その他 404
無回答 410
合計 4,249
 
f)自宅、会社から駅への移動のために、駅に欲しい施設は何か
 
表 2−1−11 回答結果(11)
選択肢 件数 (%)
駐車場 2,248 23
駐輪場 3,262 33
レンタサイクル 1,376 14
バス待合所 618 6
タクシー乗り場 330 3
その他 715 7
複数回答 239 2
無回答 1,253 12
合計 10,041 100
 
g)鉄道輸送サービスとして望むもの
・ 女性専用車両の充実・拡大への要望が多くなっているが、車両内への自転車持ち込みや通勤指定席車両が相対的に高い割合となっている。
 
表 2−1−12 回答結果(12)
選択肢 件数 (%)
自転車を車両に気軽に持ち込める 1,232 12
車両に手荷物置き場がある 928 9
手荷物を到着駅まで預かってくれる 886 9
携帯電話が利用できる車両がある 1,094 11
サイレンス車両がある 993 10
女性専用車両がある 1,349 14
通勤指定席車両がある 1,227 12
その他 935 9
複数回答 593 6
無回答 804 8
合計 10,041 100
 
h)駅に併設していると便利な施設は何か(複数回答可)
・ 「スーパー/コンビニ」と回答している人が、約5,900人と多い。
・ 次いで「銀行」と回答している人が、約4,700人と多い。
 
表 2−1−13 回答結果(13)
選択肢 件数
スーパー/コンビニ 5,859
銀行 4,725
図書館 1,638
郵便局 4,550
行政サービス窓口 2,631
保育施設 704
飲食店 2,060
その他 416
無回答 218
合計 22,837
 
i)公共交通への要望・希望
 公共交通への要望、希望を記入している人が全体の約40%あり、次のような意見がみられた。
・ 最も多く意見が寄せられたのは、「施設整備」であり、次に「旅客対応」「運賃」と続く。
・ 「施設整備」に関して最も意見が多く寄せられたのは、「駅施設(バリアフリー)」であり、内容はエレベーター・エスカレーターの設置等である。
・ 次に、「施設設備」に関して最も多く意見が寄せられたのは、「車両(改良)」である。内容としては、座席の改良や専用車両(女性・高齢者・障害者・携帯利用可・喫煙・学生)の設置等である。
・ 3番目に「施設整備」に関して意見が多く寄せられたのは、「駅施設(改良)」であり、内容はトイレの美化、ベンチの増設、待合室の設置等である。
・ 「旅客対応」に関して最も意見が寄せられたのは、「サービス(駅員)」であり、駅員の増員、接客態度等である。
・ 「運賃」に関して最も多く意見が寄せられたのは、「値下げ」である。
・ 「自動車対策」については、あまり意見が寄せられていない。







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