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4−3−7 低負荷低回転長時間運転の影響
 廃食用油は蒸留温度が高く、温度が低くなる低負荷、低回転において、混合気の形成が不充分となり、運転が困難になることが予想される。そこで、低負荷、低回転における連続運転を試みた。試験条件を表4・7に示す。
 
表4・7 試験条件
  回転速度 600rpm
  負荷 1/4負荷相当
  運転時間 2時間
  燃料噴射時期 10 degBTDC
  連絡口数 6
  連絡口角度 138°
  噴射ノズル φ0.4×4‐60°
 
 上記の運転期間中における15分おきに採取した性能、燃焼経過を図4・21、図4・22にそれぞれ示す。図4・21、図4・22から明らかなように連続2時間の中では排気、性能の大きな変化は認められず、また、燃焼経過においても、着火時期、熱発生率パターン、燃焼期間等に大きな変化は認められない。
 2時間連続運転後の燃焼室の状況を図4・23に示す。図に示すようにピストンクラウン、ヘッドライナーとも、壁面上全面にすすの付着が認められる。しかし、このすすは薄く、“乾いた”状態となっており、ウェスで容易に拭き取ることができ、固着したすすや生の燃料の付着は認められなかった。
 以上のことから、低速、低回転速度においても廃食用油は遮熱エンジンの燃料として使用可能であり、負荷変動の大きな使用条件においても廃食用油を燃料として適用することができる。
 
4−3−8 まとめ
 廃食用油を燃料とした遮熱エンジンにおいて、燃焼に大きな影響を及ぼす燃焼室の設計要素として連絡口の数、連絡口角度、燃料噴射ノズルを取り上げ、単気筒副室式遮熱エンジンを使用して性能試験を行い、性能、燃焼経過におよぼす影響について明らかにした。
 
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図4・21 エンジンの性能の変化(運転経過時間の影響)
 
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図4・22 燃焼経過の変化(運転経過時間の影響)
 
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図4・23 低負荷長時間運転後の燃焼室
 








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