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4−3−6 連絡口面積比の影響
 連絡口面積比は、主室、副室へのガスの移動、主室における噴流の生成、ポンプ損失など、燃焼、性能に及ぼす影響が大きい。そこで、性能・燃焼に及ぼす連絡口面積比の影響について調査した。連絡口面積比の影響について試験を行った時の試験条件を表4・6に示す。
表4・6 試験条件(連絡口面積比の影響)
連絡口面積比 0.9%
1.5%
1.8%
2.3%
連絡口数 6
連絡口角度  α 138°
噴射ノズル φ0.16×4-60°
φ0.55×1
回転速度 1200rpm
負荷 4/4
燃料噴射時期 15〜0 degBTDC
 
 燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°、φ0.55×1において、連絡口面積比を変えたときの性能を図4・16、図4・17にそれぞれ示す。
 燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°場合では、噴射時期を進めた場合には連絡口面積比が2.3%の方が性能が最も高いが、噴射時期の遅延とともに性能の低下があり、1.5%の方が性能が高くなる。これは、連絡口面積比が小さくなると噴射時期の遅延にともなう性能の低下がないためである。連絡口面積比が大きい場合、CO、HCの増大が著しく、これは噴射時期が遅くなるほどさらに増大している。スモークに関しても、面積比が大きくなるとスモークの排出が多くなっている。
 燃料噴射ノズルφ0.55×1では、面積比の増加による性能、NOxを除いた排気の悪化が著しい。特に、噴射時期遅延時にCO、HCの増加が極めて多くなっている。
 燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°、φ0.55×1の場合ともに、連絡口面積比が大きくなるほどNOxは低下する。燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°場合では噴射時期が10degBTDCの時に最もNOxの排出が多いのに対して、燃料噴射ノズルφ0.55×1の場合では噴射時期の遅延に対して単調に低下しており、連絡口面積比と燃料噴射ノズルとの組み合わせで異なる特性を示している。
 噴射時期10degBTDCの場合に、連絡口面積比について整理したものを図4・18に示す。
 性能は燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°の場合に連絡口面積比が2.3%の時に最も高くなっているが、1.5%の場合との差はわずかである。しかし、CO、HC、スモークの排出を見ると、連絡口面積比が1.5%を越えると急激に増加する傾向がある。
 燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°、φ0.55×1の場合における燃焼経過を図4・19、図4・20にそれぞれ示す。燃焼経過に及ぼす連絡口面積比は、特に燃焼中後期に影響を及ぼし、燃焼初期には連絡口面積比の影響はほとんどみられない。燃料噴射ノズルにかかわらず燃焼後期では連絡口面積比が大きくなるほど後燃えが増加し、燃焼期間が長くなっている。また、燃焼中期では、性能が最も高い連絡口面積比の場合に熱発生率が高くなっている。これは燃焼初期、中期にかけては副室から主室への噴出が副室内の燃焼の影響が大きく現れているためと考えられる。すなわち、燃料噴射ノズルがφ0.16×4‐60°の場合では副室の燃焼が比較的長く継続するので、連絡口面積比が1.8%程度まで拡大しても主室に噴流として主室に燃焼ガスが噴出するのに対し、φ0.55×1の場合では、燃焼ガスの主室への噴出は早期に行われるので、燃焼中、後期では連絡口を小さくしないと主室への噴出が噴流とならず、噴出した燃焼ガスと主室の空気との混合が不良となるためと考えられる。
 以上のことから、(3)で述べた性能、排気とのバランスは燃料噴射ノズルφ0.16×4‐60°と連絡口面積比1.5%が最も高いことが確認できた。
 
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図4・16 エンジン性能(連絡口面積比の影響)
 
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図4・17 エンジン性能(連絡口面積比の影響)
 
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図4・18 エンジン性能(連絡口面積比の影響)
 
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図4・19 燃焼経過(連絡口面積比の影響)
 
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図4・20 燃焼経過(連絡口面積比の影響)
 








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