4−3−4 副室連絡口角度の影響
連絡口の角度を変えた場合の試験条件を表4・4に示す。なお、連絡口の角度は図4・6に示す角度αを表す。
表4・4 試験条件(連絡口角度の影響)
連絡口面積比 |
1.5% |
連絡口数 |
6 |
連絡口角度 |
138° |
100° |
152° |
噴射ノズル |
φ0.4×4-60° |
φ0.55×1 |
回転速度 |
1200rpm |
負荷 |
4/4 |
燃料噴射時期 |
15〜0 degBTDC |
連絡口噴口角度を変えた場合における性能を図4・7、図4・8に、燃焼経過を図4・9、図4・10にそれぞれ示す。連絡口の連絡口角度を138degから100degに小さくすると、すなわち、燃焼室壁面に対する噴口の角度を大きくすると、NOxは低減するものの、CO、スモークが悪化する。また、噴射ノズルにかかわらず、噴射時期を遅らせるにしたがい、図示熱効率は大きく低下する。これは、燃焼経過において、噴口角度が100degの場合では燃焼前、中期にかけては熱発生率が低下し、燃焼後期では熱発生率が大きくなり、結果的に燃焼期間が増加しているためである。
噴口角度を152degに大きくした場合では、性能、排気共に138degの場合とほぼ同等となっている。しかし、噴射ノズルがφ0.4×4‐60degの時に、噴射時期を遅らせた場合では、図示熱効率の低下が、138degの場合に比べてやや大きくなっている。試験を行った燃焼室では、構造上吸排気バルブ面が燃焼室壁面に対し約4.5mm突出している。また、連絡口は6方向におり、連絡口の6噴口中3噴口がこの突き出しに直接干渉する方向となっている。このため、噴口角度を大きくしても、噴射時期を遅らせた場合では、ピストンが下降して、主室の空間が大きくなっても常に吸排気バルブと干渉しているためと考えられる。これは、燃焼経過において、燃焼前、中期では連絡口角度が138degの場合に対して熱発生率が僅かに低下するのに止まっているが、燃焼後期では明らかに増加していることから推察することができる。
図4・5 燃焼経過(連絡口数の影響)
図4・6 連絡口角度αの定義
図4・7 エンジン性能(連絡口角度の影響)
図4・8 エンジン性能(連絡口角度の影響)
図4・9 燃焼経過(連絡口角度の影響)
図4・10 燃焼経過(連絡口角度の影響)