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2−4−4 遮熱エンジンの基本コンセプトと構造
1)基本コンセプトと構造
 基本コンセプトを以下のように設定した。
[1] 廃食用油は粘度が高いので通常の軽油燃料を使用する噴射ノズルに対して噴孔面積を大きくした多噴孔ノズルを用いる。大噴孔径化により燃料噴霧の微粒化しにくくなるので空気との混合が悪化する。そのため、燃焼室を遮熱して燃焼室内壁面を高温化させて燃料の気化を促進し、燃料噴霧は燃焼室壁面に衝突させ、且つ副室内の強い空気流動を用いることで空気との混合を促進する。
[2] 燃焼室を遮熱することにより燃焼室から外部への熱の逃げを70%以上遮断して冷却系を除去し、排気ガス温度の上昇をはかる構造とする。
[3] 燃焼室をシリンダ−のほぼ中央に配置し、副燃焼室と主燃焼室をつなぐ連絡孔を放射状に配置し、副燃焼室から主燃焼室に噴出した燃料と燃焼ガスの混合気を素早く主燃焼室の外周に到達させて主燃焼室内の空気と急速に混合させることにより燃焼期間を短縮させて燃費を直接噴射式燃焼方式並に向上させる。
[4] 副燃焼室での燃焼は遮熱構造により燃焼温度が高温となるが、等量比が1を超える条件とすることでサ−マルNOxの生成を抑制する。主燃焼室内での燃焼は等量比が1以下となるが、膨張行程で燃焼温度が下がることと副燃焼室の配置および形状による急速な二次燃焼によりNOxと浮遊微粒子(PM)の生成を抑制する。
[5] エンジンはボア−径を110mm、ストロ−クを125mmとする。
上記コンセプトに基づく具体的な構造の設計を行った。
 
2)セラミックス部品の設計:FEMによる応力解析
 セラミックス部品の設計は組み付け荷重、熱負荷、爆発圧力の重畳応力に対し充分な信頼性を確保し、プル−フ試験の条件を設定する為にFEMを用いた応力解析を行い、その形状、構造等を決定した。セラミックス材料の許容応力は加工面で300MPa以下、AS FIRED面で150MPa以下とした。解析に使用したソフトとハ−ドを表2・7に示す。解析結果の例を図2・5に示す。
表2・7 解析に使用したソフトとハ−ド
プリプロセッサ− MSC/NASTRAN/DESIGNER
ソルバ− MSC/NASTRAN
NISAII
ハ−ド DEC CELEBRIS:PENTIUMII 266MHz
VTALPHA433AXP:ALPHA64BITCPU 433MHz
 
3)セラミックス部品の試作
 計算および解析結果をもとに設計したセラミックス部品の組み立て構造を図2・6に,試作したセラミックス部品,および初品として組み立てた単気筒エンジンを図2・6〜図2・12に示す。
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図2・5 有限要素法を用いたセラミックヘッドライナーの応力解析例
 








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