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序 調査研究の概要
 海洋に係わる問題は相互に密接に関連し合っており、海洋を一つの全体として総体的に捉えることが必要である。海洋問題への取り組みにおいても、海上交通と経済、海洋資源と開発、海洋環境と地球メカニズム、繁栄と平和といった面からの総合的なアプローチが必要であろうが、先ず始めに、パラダイムを大きくシフトしつつある海上交通網について、その実態を把握すると共に、そこに存在する諸問題を明確にしてみることにした。
 調査に当たっては、「人類と海洋との共生」を理念に置く「海洋の総合的管理」構想に基づく海上交通網の構築とその安定化のための諸施策の必要性を前提として、今日の海上交通網の実態を的確に把握でき、かつ、将来の在るべき姿を考察し得る資料を収集することに努めた。そのため、海運と海上交通路の実態を把握すると共に、海上交通に影響を及ぼす国際関係、災害や治安の状況、安全保障、海難への取り組みの現状、そして、「人類と海洋との共生理念」をより理解するためのオーシャン・ガバナンスの実態、といった分野を調査対象とし、基礎的データを収集したものである。
 なお、成果(論文)の全ては、調査研究報告書「アジア太平洋地域における海上交通網の巡る諸問題」及び同諸問題のシリーズ編(No.1〜No.10)に詳述してあるので、参照されたい。








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