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3. インド洋における海洋温度差発電
 インドは、自然エネルギーの利用推進に積極的に取り組んでいる。風力発電の発電設備容量は1997年末で日本の18MWに対してインドは940MWである13)。インド政府は、この風力発電などと同時に極めて重要視しているのが海洋エネルギーである。海洋エネルギーの中でも、特に、海洋温度差発電と波力発電の実用化に向けて重点的に取り組んでいる。波力発電については、NIOTが既に瀬戸口らが発明した佐賀大学方式を採用しインド洋で実証試験が行われ成功している14)
 一方、海洋温度差発電についてインド政府は、量質ともに21世紀の重要なエネルギー源の一つとして大きな期待を寄せている。これまでの調査の結果、図2に示す範囲(約1.5×106km2)で海洋温度差発電が可能であり、そのポテンシャルは約180,000MWであることを明らかにしている15)。そこで、NIOTは50MW規模の海洋温度差発電商用プラントの実用化を目的とし、1MWの実証プロジェクトを開始した。このプロジェクトの遂行に際して佐賀大学のこれまでの知的資産に着目し、1997年9月にインドにおける海洋温度差発電の共同開発と実証試験のための協力協定を佐賀大学と結んだ。このプロジェクト成功後、インドでは積極的に海洋温度差発電の商用プラントを国内に建設する予定である。その規模は約20〜100MWのプラント1,000基を見込んでいる。
 図3に、インドの1,000kW実証プラントの係留の概念図を示す。実証試験はバージを用いた洋上式である。
 図4に、実証試験の設置予定サイトを示す。サイトは、インド南東部のTuticorin沖35kmに位置する15)
 表2に、実証プラントの仕様の一部を示す。設計は、佐賀大学と共同で行われている。温海水入口温度は29℃、冷海水は深層海水1,000mの位置での入口温度は7℃であり、温度差は22℃である。なお、熱交換器にはプレート式熱交換器が採用されている。正味出力は、発電出力1,000kWの約50%を期待している。蒸発器及び凝縮器の総伝熱面積は、約7,534m2である。
 表3に、本プロジェクトにおいてインド政府が試算した海洋温度差発電の経済性を示す6)。この1,000kWのプラントの発電単価は、0.189ドル/kWhと試算している。これを1ドル120円で換算すると19.8円/kWhとなり、ディーゼル発電より安くなることがわかる。
 なお、インド政府は更に大きな出力の場合にも試算し、それによると、100MWでは発電単価は7.5円/kWhと試算されている。
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図2 インドにおいて海洋温度差発電が可能な海域
 
表2 実証プラントの仕様
温海水
入口温度
29℃ 蒸発温度 23.85℃
冷海水
入口温度
7℃ 凝縮温度 14.14℃
冷海水
取水管長
1000 m 蒸発器
総伝熱面積
3,924 m2
冷海水
取水管径
0.88 m 凝縮器
総伝熱面積
3,610 m2
発電出力 1000.0kW 蒸発器
プレート枚数
872枚
正味出力 493 kW 凝縮器
プレート枚数
900枚
温海水
ポンプ動力
192 kW 温海水
流量
7,560 t/h
冷海水
ポンプ動力
297 kW 冷海水
流量
5.364 t/h
作動流体
ポンプ動力
18 kW 評価関数 15.3m2/kW
 
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図3 実証プラントの係留概念
 
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図4 実証試験の設置予定サイト
 
表3 海洋温度差発電の経済性
Table 3 Estimation of Unit Cost of Electricity frome OTEC Power in India (1999)
 
Power
Output
Gross
(MW)
Power
Output
Net
(MW)
Heal
Exchanger
cost
Million USS
Cost of
cold water
pipe
Million USS
Cost of
barge

Million USS
Mooring
cost

Million US$
Tublne +
Instn, cost

Million USS
Total Cost


Million US$
Cost of
electricity

USS/kWh
1.0 0.617 1.70 0.69 0.69 2.09 1.16 6.42 0.189
25.0 15.39 44.40 1.74 2.33 3.49 17.44 69.42 0.082
50.0 30.88 878.00 2.67 4.65 4.65 34.48 134.67 0.079
100.0 64.23 1526.00 4.65 9.30 5.81 69.76 242.10 0.068








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