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1. NOxについて
 NOxには、生成過程の違いによりフューエルNOxとサーマルNOxがある。前者は、燃料油中の窒素が酸化して生成されるもので、排出されるNOxの約10%を占めている。後者は、空気中の窒素が高温下で酸化することによって生成され、燃焼温度の制御等で発生量をある程度コントロールできる。
 現在は、IMO規制を下回る環境低負荷ディーゼルエンジンが多くのメーカで製品化されている。表1にNOx低減技術の一例を紹介する。


表1 NOx低減技術

低 減 技 術 概    要
多口噴射 燃料噴射口を多く設け、シリンダ内の燃料噴霧形状を制御し、燃焼時の高温部分を少なくすることによってNOxの発生を抑制する。
タイミングリタード、燃料噴射圧の変更等 燃料噴射のタイミングを遅らせ、着火時の爆発的な燃焼を抑えることにより、NOxの発生を抑制する。
EGR 排気ガスの一部を燃焼室へ循環させ、給気の酸素濃度を減少させることにより、燃焼温度を下げてNOxの排出を抑制する。
EGR(Exhaust Gas Re-circulation:排気ガス再循環)
電子制御燃料噴射システム 燃料噴射を電子制御することにより、噴射圧力・噴射時期・噴射量などを適正に制御し、NOxの発生を抑制する。
水エマルジョン燃料 水と重油を混合して乳化させた燃料を使用して燃焼温度を下げることによりNOxの発生を抑制する。
燃料・水層状噴射 水を燃料でサンドイッチ状にして噴射することにより、燃焼温度を下げることによりNOxの発生を抑制する。
A重油 燃料油をC重油からA重油へ切り替える。
メタノール、DME、LNG、水素など 重油の代わりにメタノール、DME、LNG、水素などを用いる。
DME(CH3OCH3:ジメチルエーテル)
LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)
選択接触還元脱硝(SCR) 選択接触還元/排ガス中のNOxにアンモニア等を還元剤として反応させ、脱硝する。
SCR(Selective Catalytic Reduction)
ガスタービン 「スーパーマリンガスタービン」の名称で研究開発中。A重油を用いた舶用ガスタービンで、既存の産業用ガスタービンに比べNOxの発生を1/3以下に低減する目標を掲げている。

 平成10年度船舶排ガスの地球環境への影響と防止技術の調査報告書
(シップ・アンド・オーシャン財団)をもとに作成








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