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8. バラスト水処理技術の現状
 現在のところ各国で開発中の主なバラスト水内生物処理技術については、濾過、オゾン、加熱、酸素除去、紫外線、電気化学、化学薬品、濾過+紫外線、遠心分離+紫外線、ガス注入、機械的せん断力などによるものがあるが、処理性能、価格、運転コスト、簡便性、二次影響等の面で一長一短あり、実用化には多くの課題克服が必要な状況下にある。
 遠心分離+紫外線システムについては、200トン/時間容量のものが客船で運用されているが、IMOで審議中の国際基準を満足するものとなるかどうかは不明である。
 濾過法については、メッシュサイズよりも大きいものは確実に除去されるが、圧倒的に個体数の多いそれより小さいものは除去されない。紫外線照射については、二次影響はないが、紫外線照射に高い抵抗力を持つものも存在し、生物のタイプで効果が異なる。また、他の生物の影に入られると効果がない。濾過法等他の技術との組み合わせで効果的となり得る。
 バラスト水加熱については、36〜38℃の加熱でzebra mussel(カワヒバリガイ)を殺滅ができ、43℃以上で、多くの生物が死滅するが、かなりの熱源が必要となり、熱による船体ストレスも検討課題として残る。
 化学薬品による処理については、二次汚染への懸念があり、塩素使用の場合は、塩素処理されたバラスト水排出による、有機化合物/塩素の反応により発癌性物質を生ずる。








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