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7. 洋上バラスト水交換
 現在、世界的に実用可能な対応策は洋上バラスト水交換であり、バラスト水交換については、船体強度、船種、海気象、航海期間、就航航路等により物理的に実施不可能な場合が少なくない。フロースルーについても、甲板、甲板上設備の発錆を進行させ、寒冷海域においては甲板上で氷結し船舶の復原力を減少させることもある。
 洋上バラスト水交換の生物学的効果については、一般的に外洋では生物個体数が沿岸域に比べてかなり少なく、また、外洋生物は沿岸域に定着し難いことが根拠となっているが、一方で、弱った生物の代わりに新鮮な生物を取込むことになり、逆効果の面もある。
 バラスト水交換による外洋域への沿岸バラスト水排出に関し、バヌアツが南太平洋諸島への異国種侵入危害への懸念を表明し、バハマも、カリブ諸国が同様の問題に直面することになることに言及している。
 2,000米以上かつ離岸距離200海里(EEZ)以遠の外洋での実施要件が望まれているが、船舶運航上、離岸距離200海里以遠の海域は思っているほど広くはない。日本から、東アジア諸港に向け航海する場合には、実施海域がまったく得られず、東南アジア及び豪州諸港向けの場合でも、極めて限られた海域しか得られず、大型船の場合、通常2、3日又はそれ以上の日数が必要となるバラスト水交換を実施するには、船舶を止めるか又は排出可能な海域まで本来の航路から離脱して航行せざるを得ない。








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