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自然と文化 第67号(ニホンミツバチの文化誌)

 事業名 観光資源の調査及び保護思想の普及高揚
 団体名 日本観光振興協会 注目度注目度5
ニホンミツバチの生態
佐々木 正己
 
 ニホンミツバチは日本でただ一種の在来種ミツバチで、北海道を除く日本全土の山野に広く分布している。導入種のセイヨウミツバチがヒトの飼養下にあり、我が国では野生状態で系統を維持している個体群はないのと異なり、飼われているものでも野生状態のものと変わらない。野生個体群の一部が、一時的に伝統的な巣箱で飼養されてはまた山野に戻ることを繰り返している。
ヤブガラシの蜜を吸うニホンミツバチ
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アジア原産のミツバチ分布図(1998年 玉川大学ミツバチ科学研究所施設)
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1 ニホンミツバチはどこから来たか?
 ニホンミツバチ(Apis cerana japonica Rad.1887)は、分類学上はトウヨウミツバチ(Apis cerana)の一亜種である。アジアにおけるミツバチの分布を図[2]に示したが、その中でキナバルヤマミツバチやクロオビミツバチは、島や高地に隔離される形で局地的に分布しているのに対し、日本亜種を含むceranaの分布は、熱帯アジアから日本までと実に広い。それはセイヨウミツバチが、西に分布を広げ、ただ一種でアフリカ南部から欧州北部にまで分布しているのと、ちょうど対比される(表[1])。
表[1]ニホンミツバチとセイヨウミツバチの主な相違点
  ニホンミツバチ セイヨウミツバチ
群あたりの蜂数 数千〜2万匹 2〜4万匹
働き蜂の形態 体長(mm) 10〜13 12〜14
体重(mg) 60〜90 80〜150
体色 黒褐色系 黄褐色〜黒褐色系
後翅の翅脈M3+4 顕著 痕跡またはなし
腹部第六節の白色バンド 顕著 なし
働き蜂の発育期間 約19日 約21日
巣の構造 巣板間隔 狭い 広い
働き蜂巣房の直径(mm) 約4.6 約5.1
働き蜂巣房数/100cm2 約500 約410
雄蜂巣房数/100cm2 約390 約270
雄繭頂部の小孔 あり なし
原料蜂ろうの酸価 5〜7 17〜20
性質 採餌圏 狭い 広い
外部刺激に対する反応 敏感 鈍い
変成王台 できにくい できやすい
働き蜂産卵 起きやすい 起きにくい
分蜂蜂球の形成場所 太めの枝の付け根 小枝の混じるところ
逃去 頻繁 ほとんどない
巣門での換気扇風 頭を外側に 尻を外側に
蜂カーテン上での定位 上向きに並ぶ 不揃い
振身行動(対外敵) 顕著 みられない
シマリング(ヒッシング) 顕著 みられない
プロポリス 集めない 集める
盗蜂 個体単位で 集団で
対スズメバチ行動 蜂球により熱殺 刺針行動で応戦
対ミツバチヘギイタダニ 抵抗性 被害が大きい
対腐蛆病 抵抗性 被害が大きい
 
 では同じ熱帯起源でありながら、なぜセイヨウミツバチとトウヨウミツバチの二種だけが、下北半島のような寒冷の地までを住処とすることができたのであろうか?
 それは熱帯のミツバチが、ただ一枚の巣板を開放空間に作るのに対し、二種は、1.木のうろなどの閉鎖空間に居を求め、2.巣板を複数並べて配置することにより高い保温効率を獲得し、3.長い冬を乗り切るための多量の蜜を貯蔵する性質を獲得したからである。
 日本列島が大陸から隔離されるプロセスは、今から数万年前までの幾度かの間氷期に進んだ。ニホンミツバチはその隔離後、大陸のceranaから区別しうる固有の集団になったと考えられる。日本がまだ朝鮮半島を通じて大陸と地続きだったころ、ミツバチが自由に行き来していたであろうことは、韓国やタイなどのceranaとニホンミツバチとがきわめて近縁であることから想像される。ミトコンドリアDNAの類似度を調べたSmith(1991)の結果では、日本とタイのものが近く、最近のDeowanish(1997)によれば、韓国と日本のものが大変近い。対馬産のものは本州、四国、九州産のものとは区別され、むしろ韓国のceranaに近いようである。ニホンミツバチの祖先がフィリピンルートで入って来た可能性は、台湾のceranaが日本産のものと大きく異なること、南西諸島に棲息を示す確かな証拠がないことから低い。
 結局ニホンミツバチは「大陸のceranaが陸橋を通り、現在の西南日本に入り、下北半島まで北進し、北海道には入れなかった」と見るのが適当と考えられる。








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