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4 民間の歴史的建築物の再生・利活用方針
(1)地域資源を活かした観光の強化
○東亜酒造肥土工場の公開 〜人を呼び込む観光拠点の再生〜
 東亜酒造肥土工場は、歴史的な建築物が良く残されながら操業している貴重な工場で、特に店蔵および隣接する貯蔵庫は文化財としても価値の高い建築であると思われる。
 操業に支障のない範囲で工場の一部を公開し、試飲コーナーの設置や酒造道具の展示などを行ってもらうことにより、生きた歴史環境を体験できる貴重な歴史観光の資源となる。
○秩父酒所巡りコースの提案
〜広域ネットワークによる観光資源の連携〜
 旧吉田宿の潜在的な観光資源としては東亜酒造があげられる。江戸期には三軒並んでいた酒蔵も現在では東亜酒造を残すのみとなっているが、吉田町内においては上吉田に和久井酒造がある他、秩父広域市町村圏域には9つの酒蔵があり、これら酒蔵の連携を図り、秩父札所巡りにちなむ、新しい観光コースとして秩父酒所巡りコースを提案する。
 提案の実現に当たっては、秩父広域市町村圏組合、秩父開発機構、酒造組合等に働きかけを行う。
  名称 住所
吉田町 東亜酒造肥土工場 下吉田
和久井酒造 上吉田
秩父市 酒づくりの森 別所
武甲酒造 宮側
矢尾本店 日野田
柳田総本店 宮側
横瀬町 斎藤酒造所 横瀬
両神村 源作印ワイン
秩父ワイン
近藤銘醸 小森
○秩父郡域の蔵元
(2)助成等による再生・利活用の支援の検討
 東亜酒造造肥土工場をはじめ、旧吉田宿に限らず吉田町内には、民間や個人の所有する優れた歴史的建築物が残っている。しかし、これらの建築物はいまだその文化的な価値が十分に認識されていないため、今後年月の経過とともに失われていく危険にさらされている。したがって、さしあたり可能な民間の歴史的建築物を旧武毛銀行本店のように「登録文化財」として登録し、さらに重要なものについては国・県あるいは町による「指定文化財」の道を探り、再生への公的な助成を考えていく必要がある。また、全町的な景観条例等の整備を検討し、民間の景観保全に対する公的な助成を考えていく必要もある。
 さらに現地保存が難しい場合などは、将来的に旧吉田宿内の民間の建て替えに際し移築保存しながら、まちなみとして利活用を図ることなども考慮に入れていく。
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店蔵および貯蔵庫の一部公開イメージ
5 歴史的建築物等の管理運営体制
(1)初動期の暫定的な管理運営体制
○仮称・旧吉田宿交流館
 平日昼間は教育委員会職員が勤務し、休日昼間は町民有志の協力いただける方に常駐していただき、夜間は近隣の協力いただける方に鍵の管理をお願いする。
○仮称・旧吉田宿伝承館
 昼間は茶屋コーナーでの営業を委託する方々にお願いし、夜間は近隣の協力いただける方に鍵の管理をお願いする。
○仮称・旧吉田宿創造館
 敷地内の住宅に居住するアーチストにお願いする。
○公共駐車場
 町と地元民間企業や商店会が協力しておこなう。
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(2)町民運営委員会による管理運営体制の構築
○町民活力の再構築
 既存サークルや産業団体等を活用した組織づくりを行う。
○町民の自主的な運営
 町民利用施設の設計検討への参加をきっかけとして、町民の参加意識を育て、自主的な管理運営体制の構築を目指す。
○周辺市町村・秩父広域との連携
 他市町村活動団体とのネットワーク化や、秩父広域観光施策との連携(秩父アンテナショップ等の共同運営等)を図る。
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6 旧吉田宿周辺まち歩きネットワークの形成
 旧吉田宿のまちなみを周辺の魅力ある地域資源とつなぎ、下吉田地区で町民や来訪者がゆっくり散策を楽しめるまち歩きネットワークを形成する。
<歩行空間の快適化>
 比較的車が多く歩道の設置されていない区間には、路肩に余裕を持たせ、歩行者が安心して歩けるような歩行帯を設ける等の対策をおこなう。
<サイン・案内板・マップの整備>
 町を知らない来訪者が迷わずに町歩きを楽しめるように、要所にサインや案内板を設けたり、主要な施設で入手できるまち歩きマップ等を整備する。
<案内人の養成>
 希望者にはまちの来歴や逸話などを話しながらを案内できるよう、まち歩きボランティアガイドを養成する。
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まち歩きルート例








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