日本財団 図書館


(6)道路と地物
 中町を南北に走る表道路は全長約280m、道幅6〜7mの平坦な道で、舗装され、両側には側溝が設けられている。また、この表道路と交差し、中町をほぼ中央部で南北に分断する東西道路の道幅は3.5〜5.0mの範囲で狭いが、舗装されている。これらの道路については、路面の舗装などを除けば、伝統的形態を維持してきたと見られる。なお、西側街区では南側から北側に進むに従い、道路から「こみせ」路面への段差が大きくなる傾向が認められるので、中町地区は全体的に東南側から北西側へ緩く傾斜していたことがうかがえる。
 調査地域の地物としては、電柱、街灯、消火栓、カーブミラー、交通標識などの各標識、信号機、ポスト、バス停などがある(図3-62)。送電線および電話線は全て架線式で電柱の数が最も多い。
z1067_01.jpg
z1067_02.jpg
図3-62 現状地物位置図
 この他に、町並景観に現れるものとして、板塀、看板、植栽などがある。板塀は高さが2.0〜2.5mで屋敷間口の広い家で見られ、「こみせ」と一体になり、伝統的町並の連続性を強調する効果がある。看板の町並景観に及ぼす影響も無視できない。そのデザインは業種によって多様であるが、中町地区には極端に景観を壊すデザインのものはない。看板の材質については、金属やプラスチックのものが多いなかで、造り酒屋では藩政期の面影を残す木製の看板や伝統的な「杉玉」飾りが見られた。植栽の多くは坪庭のものであり、直線的で人工的な町並に対して、潤いを与えている。特にNo.1の鳴海家やNo. 24のこみせ美術館、No.28の高橋家の各坪庭とその植栽ならびにNo.23の旧松の湯の松の木は中町の町並景観にとって重要である。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION