No.18 山口ユビワ店
一見、鉄筋コンクリート造りのように見えるが、木造二階建てモルタル仕上げの店舗付住宅である。主屋は戦後の建築であるが、土蔵が2棟あり、裏側の規模の小さい土蔵は江戸期のものという。もっとも奥の米蔵まで北側に通り土間を設けている。店舗前面には鉄骨造のアーケードがつく(図3-44)。
図3-44 山口ユビワ図面
No.19 白戸家住宅
切妻造、妻入の木造二階建て店舗付住宅である。明治期の建築と見られ、棟高は4.8 mと低い。表側を子供部屋や駐車場にするなど改造も多いが、原形の姿は推定できる。北側に1間半の通り土間を設け、店舗裏には2列、さらにその奥は1列に居室が続く。これらの居室ともっとも奥に位置する土蔵とに挟まれた空間は坪庭となる。表道路側には伝統的な「こみせ」が設置されているが、柱は鉄パイプに交換されていた(図3-43)。
図3-43 白戸家住宅 図面
No.20 鈴木家住宅
昭和58年度調査では明治初期に建設された切妻造、妻入の木造中二階建て店舗付住宅で、No.19の白戸家住宅と同様に棟高は約5mと低かった。北側に1間半幅の通り土間を設け、店舗裏には2列に居室が続いていた。屋敷奥には物置小屋はあったが、土蔵はなかった。表道路側には伝統的な「こみせ」が設置されていた。しかし、これらの建築はすべて平成9年に解体され、表側を駐車スペースにして、少し奥に木造総二階建ての専用住宅が新築された(図3-45)。
図3-45 鈴木家住宅 図面
No.21 松葉堂
昭和58年度調査では木造二階建ての菓子店を営む店舗付住宅で、表側のモルタル外壁が二階屋根上までのびて店舗部分を囲む外観を示していた。幕末から明治初期頃の建築と伝えられ、北側ではなく、南側に通り土間を設け、北側に坪庭が見られた。平成10年に店舗部分から奥の土蔵手前までの建築が、平面的には前の形式をほぼ継承して改築された。新しい店舗はむくり破風を見せる切妻屋根で真壁漆喰風に仕上げ、「こみせ」も以前の鉄骨アーケードから比較的伝統的な形式に造り替えている(図3-46)。
図3-46 松葉堂 図面
No.22 岩谷家住宅
木造二階建ての洋風建築は昭和13年に歯科医院として建設されたものである。その南隣の平屋の建物は昭和54年に建設された住宅で、奥に土蔵が配置されている。なお、これらの建築の表側には「こみせ」はない(図3-47)。
図3-47 岩谷家住宅 図面